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脳死となった6歳未満の女の子の臓器提供。ご両親の手紙を読んで、一児の母が考えた

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先日、インフルエンザ脳症で脳死となった6歳未満の女の子の臓器提供が検討に入ったという報道があった。そして同時に、女の子のご両親が書いた手紙が公開された。

わたしはこの手紙の朗読を夕方のニュースで聞いていたが、家事をしながらの流し見にもかかわらず、涙がこみ上げるのを押さえることができなかった。

予見できなかった娘さんの死に際し、『他の人を助けることで、娘さんが生きた証を残したい』という考えを選んだこのご両親はすごい、悲嘆のなかでも冷静に広い視野をもって行動できる特別な人たちなんだ、と思いながら聞いた。

しかし、最後にお母さんからの手紙が読まれるのを聞いて、『そうではない』と強く感じた。

ごく短い、5行だけの手紙。

お母さんを

もう一度

抱きしめて

そして

笑顔を見せて

臓器提供には一切触れられていない短いメッセージから、お母さんの受けている衝撃と混乱がそのまま伝わってくる。

このご両親もまた、わたしたちと同じように、子の一挙一動に泣き笑い心を満たされていた、普通の親御さんだったはずだと感じ、言葉を失った。

子どもとのお別れを『送る側』として迎えることは、親として何よりも辛いことだと思う。

我が家にも3歳になったばかりの娘がいるが、わたしも夫も、ニュースやあるいはフィクションでさえも、そういった情報に触れるたび「辛すぎる、想像したくない」と言い合うのが常。

考えるだけで足元に深い穴が空くような感覚におそわれ、身のすくむ思いがする。

しかし子どもを持った以上、同じことは誰の身にも起こり得るのだ。

子どもに先立たれるという現実、それ自体を受け止めることすら困難ななか、臓器提供という道を示され決断を迫られる…。

もし自分たちだったらどう行動するだろう?

前述のとおり想像するだけで胸がえぐられる思いだったが、考えずにはいられなかった。

他人事ではない、と思い直させる力が、この手紙にはあった。

別の報道によれば、改正臓器移植法の施行から5年間で、18歳未満の子ども97人の臓器提供が検討され、提供に至ったのは14名。83人は提供に至らなかったというデータもある(うち17人は病院側の事情による。2015年7月14日 朝日新聞デジタルより)。

この「提供に至らなかった83名」の中には、「家族の意見がまとまらなかった」というケースも少なからずあるのではないだろうか。

それほど、いざその場で家族に突きつけられる決断として、重く難しいものだと思う。

「いざその場」で決断された、今回のケース。

しかしこのご両親も、常日頃はそんなことを意識したことはなかったのではないか。

家族をもつ以上、「最悪のケース」において、更に決断を迫られることがある。

そのことを知っておかなくてはならない。

冒頭のお母さんの手紙は、娘さんに宛てられたのみならず、わたしたち『普通の親』にそのことを教えてくれてもいると感じた。

そして今回の報道で、臓器移植というのは「『特別な誰か』の尊い選択」ではなく、『わたしたちのなかの誰か』がとてもとても辛いなかで決断することで支えられているシステムなのだ、と改めて気づかされた。

我が子のこととして考えるのはあまりにも辛いけれど、我が家でも、まずは『夫婦お互いになにかあったらどうするか』ということを話し合ってみようと思っている。

娘さんのご冥福と、臓器提供という選択によって命が繋がり、それが少しでもご両親の心の光になることを心からお祈りします。

著者:さんしょ

年齢:37歳

子どもの年齢:3歳

もと(一応)理系。印刷会社、広告代理店で約10年働き、出産を機に退職。現在は育児をしながら在宅でデザインと印刷ディレクションをしています。

※プロフィール情報は記事掲載時点の情報です。

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