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アニマル・コレクティヴ、最新作はラモーンズからも影響された現代的なポップ・ミュージック作に(Album Review)

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 現在、彼らのオフィシャル・ホームページは最新アルバム『Painting With』仕様になっており、メンバーの顔アイコンを動かすとページ上をサイケデリック模様のアニメーションに塗り替えることができる。来訪者に向けて開かれたページとなっているわけだが、それと同じくらい、新作『Painting With』は風通しの良い、極めてポップなアルバムだ。

 前作『Centipede Hz』からは3年半ぶりで、一時メンバーに復帰していたディーキンは今作では不参加。現在はソロ・アルバム発表の準備が進められているということで、エイヴィー・テア、パンダ・ベア、ジオロジストの3人編成による作品となっている。英ドミノからのリリースとなった『Strawberry Jam』(2007)以降、アニマル・コレクティヴはエレクトロニックな実験的ポップの道を追求してきたが、今回はそのめくるめくハーモニー・ワークを軸に据え、驚くほど音像の整理された(と言っても、あくまでもアニコレにしては、という条件付きだが)作風へとシフトしている。

 冒頭を飾るトロピカルなシングル曲「FloriDada」からして、本作のキャッチーかつ魅惑的なデザインは窺えようというものだろう。続く「Hocus Pocus」では、USオルタナ・サウンドの祖と呼ぶべきジョン・ケイルが刺激的なサウンドスケープを担当しているが、やはり美麗なハーモニーが際立つ一曲に仕上げられている。

 最も驚くべきなのは、5曲目「The Burglers」以降「Natural Selection」、「Bagels in Kiev」と続く、再生時間3分台のファスト・チューンが畳み掛けられる展開だろう。本作『Painting With』制作にあたり、メンバーはNYパンクのレジェンド=ラモーンズを参照したという。もちろん、だからと言ってアニコレの楽曲がシンプルなパンク・ソングになるわけではない。しかし、サウンドを整理して核となる部分を前面に押し出すというアイデアは、現代ポップ・ミュージックの飽和しがちなサウンド・デザインから脱却するという意味で有効だし、重要だ。

 「Spilling Guts」やシングル曲「Golden Gal」も、瑞々しい歌声のフックを聴かせるためのナンバーになっていて素晴らしい。従来のアニコレの、過剰で尖ったポップ・サイエンティストぶりを期待していた人には、20分越えの最終ナンバー「Michael, Remember」が応えてくれる。レトロなビデオ・ゲームのミニマル感を再現してしまうような、ドローン・サイケの大作だ。やはり、ポップ作と言っても一筋縄ではいかない、それがアニマル・コレクティヴなのである。(小池宏和)

◎リリース情報
『Painting With』(ペインティング・ウィズ)
2016/02/19 RELEASE
輸入盤

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