【東京人は知らない】あの「関西風玉子サンド」を自宅で再現してみた【料理解析・旅情編】
厚焼き玉子のサンドイッチ
「関西の玉子サンドって関東のとまったく違うよね」と私。
「うん、塩味の分厚〜いアツアツの玉子焼きがはさんであって、アレ美味しかったよね」と妻。
「作っておくれ」
「一年以上前に京都旅行で食べたっきりだし無理。味覚えてないもん」
「じゃ関西行こうよ、大阪行こう!」
「お金はどーすんのよ。それに、ただでさえ忙しいのに」と醒めた返答の妻。
「『メシ通』に頼んでみる」
「は?」
「土下座して頼んだら交通費と取材費出してくれるって」
(※編注:↑誇張表現が含まれております)
「はぁ!?」
「だから味見しに行って完璧なの作っておくれ」
「あぁん!?」
というわけで一路大阪へビューン!
大阪に到着。
空堀商店街へ。
余談ですがここは小説『プリンセス・トヨトミ』(万城目学著、文芸春秋刊)の舞台となりました。万城目氏曰く「坂を抱いている」と言わしめた商店街。
急な坂道にある珍しい商店街。大阪城の空堀跡に出来たから空掘商店街なのだ。このあたりは派手なお店がいっぱいで、いよいよ大阪に来たなという感じです。
脇の路地に映画のロケ地になったお好み焼き屋さんがあったりします。
とりあえず目に入った喫茶店に入って、さっそく玉子サンドを注文。
バッチリ関西風の玉子サンドです!
これ、東日本の出身者だと「食べたことない」って人が多いんですよね。
パクリ。
これはシンプル。いままで関西風の玉子サンドも色々食べてきましたが、ここのが一番美味しいかもしれません。
厚焼き玉子がフワフワなのは当然として、全体にミルフィーユ状になっていて、あいだが少し半熟状態という絶妙の仕上がり。
まさに職人ワザです。
そして珈琲との相性が良いこと。
コレを食べていると、何時でも(たとえ夜に食べていたとしても)「朝だな……」という感じがしそうです。
関東で玉子サンドというと、中身が玉子サラダになっているあの例のサンドイッチ。実はコンビニ等の普及で、関西でも玉子サラダサンドが増えて来ており、関西風の玉子サンドは押され気味なんだそうです。
それはいけません!
ぜひ関西風玉子サンドの喧伝と普及に努めねば。
(※ちなみに関東だと「オムレツサンド」と銘打っている喫茶店が多いようです)
果たして再現は可能なのか?
「どう? 作れそう?」
「あのさ、似たようには出来るけど、あのお店の味そのものを再現するのは難しいかも」
「そっか……。でも我々関東に住んでるしね。なかなか食べられないから“家でアツアツを食べたい”なぁって」
「う〜ん、じゃあお店のを再現するんじゃなくって一般的な感じの、いわゆる関西風玉子サンドを作りましょう」
「作ってくれるんだ! やった!」
「アナタって食い意地だけしかないね」
「そうだね!」
「今日何の日だか覚えてる?」
「うん、だから結婚記念日のお祝いに豪華大阪旅行!」
「取材じゃん!」
というわけで前回に引き続き結婚記念日を『メシ通』のネタに使ってしまったバカな夫婦ですが、(というよりこの場合バカなのは私なのですが)次の日には東京に舞い戻り、さっそく妻は料理に取りかかってくれたのでした。
さあチャレンジです!
材料は6枚切りの食パン2枚、卵Lサイズ4個、生クリーム大4、塩小1、サラダ油大2(テフロン加工のフライパンなら油は少量でOK)、バターとマスタードとマヨネーズは適量。
厚焼き玉子の焼き方は、下の動画を参考にして下さい。
(※tamago.m4v入る)
ポイントは、卵を泡立て器で混ぜるときに“泡立たないように”白身を切るように混ぜること。
熱したフライパンに卵液を投入し、強火で焼いていきます。
最初は菜箸で大きく外からぐ〜るぐ〜ると内側に向けて、スクランブルエッグを作る感じで混ぜていく。
この時、あんまり混ぜすぎると炒り玉子みたいにバラバラになっちゃうんで注意。
あんまり焼きすぎないで、半熟の部分がほんの少し残る程度のふんわりとした感じの仕上がりがベスト。
火加減や焼き時間はコンロやフライパンによって違いますが、一応の目安になると思います。
ちょっと端っこが失敗しちゃったんですが、完成です。
動画を撮影しながらだったので、さすがの妻も緊張して、ちょっとイビツになっちゃいましたが味は完璧!
ちゃんと作り直すとこんなだったり、
こんなに素敵だったりします。
味付けは薄口ですが、このぐらいが玉子の優しい味が楽しめておススメ。
濃くしたい場合は、食べる時に塩をふるのがよいです。焼く時から塩を多めにすると意外に調節が難しくて、塩っぱくなりすぎちゃったりします。
厚焼き玉子をふわっと仕上げるのにコツがいりますが、何度か作ると意外にすぐ上達します。
妻曰く「ふわっふわに仕上がると自分でも感動モノ」だそうです。
「でもいつかまた大阪の本場の喫茶店の玉子サンドを食べに行きたいね」
「そうだね! じゃあ来年の結婚記念日に」
「う〜ん、ソレはどうかなぁ……」
作った人:
浅見ゆき
吉田の妻。吉田が自宅の仕事場で編集者と打ち合わせをしていると、突如居酒屋「路地亭」を強制的に開店し、酒と肴をお見舞いする。料理解析家(だいたいの料理は一度食べれば再現できる!)。
書いた人:
吉田いつし
東京出身。エディトリアル・デザイナー。書籍の装幀や雑誌のデザインをしながら、散歩のフリーペーパー『路地と道くさ』を発行。東京ストローラブラボ代表。HPでブログ「路地と道くさな日々雑感」を毎日更新中。 HP:東京ストローラブラボ
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