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「チイチイパッパは嫌」というお年寄りにも喜んでもらえる音楽のコツ

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ご高齢者や認知症が進んだかたにも楽しんでいただけるコンサート「音楽の花束」を主催しておりますGOTOです。何より一番大事にしているのは、「演奏家と参加者が幸せになれるようにお手伝いをする」ということです。音楽を通して知った認知症のかたへの接し方について、お話したいと思います。

日頃の接し方と音楽提供の仕方に共通すること

ファミリー向けのコンサートを主体に活動していたGOTOですが、高齢者施設で音楽提供の仕事をスタートするにあたり「認知症サポーター養成講座」で認知症の症状や感情の変化、周囲との関係の作りかたなどのことを知りました。また、「きらめき介護塾」代表の渡辺哲弘さんの講演でも、より詳しく脳の働きや認知症の起きる仕組み、具体的な症状や行動とその予防、対処方法などを学びました。こうした講習会を通じて、認知症の方は不安を感じると、叫ぶ、その場から離れたがる、パニックになるなどの症状が出るため「ゆっくりていねいに話す」ことに留意し、コンサートを行っております。ただ、話し方や動き方など、一歩間違えると「子ども扱い」になりかねません。

丁寧に接することと子ども扱いは違います

GOTOの祖母は現在98歳で施設にお世話になっています。以前は「歌や体操をチイチイパッパとやるのがいやだ」とデイサービスに通うことも拒絶していました。GOTOが動きを伴った音楽を提案するとき、またはご一緒に歌う曲のご説明をするときにいつも頭をよぎるのはこの祖母の言葉です。「ていねいに」「繰り返し話す」などの対応も、「チイチイパッパ」と受け取られないようにと考えなければならないと思います。高齢の方が「子どもみたいに扱われるのが不愉快」ということはよく聞かれることです。

先日行った杉並区のデイサービス「空の花」のコンサートでは、歌手のさちちひろさんとともにご利用者との対話を大切にしながら進行したところ、日頃物静かな方が「自分もなにか歌おうか」とステージに飛び入りをしてくださるほど楽しんでいただける会になりました。

押し付けない、一緒に楽しむことが大事

地元の高齢者施設や勉強会に足を運び、認知症のかたへの接し方についてさらに多くのヒントをいただいた中で、印象深かったお話をします。どちらの施設も看取りを含めたケアをしておられますが、一般的な言葉で言えば「QOL、QODを高める」ということを目指しています。

「練馬キングス・ガーデン」の施設長、中島真樹氏

キリスト教主義に基づく理念を持つ練馬キングス・ガーデンの施設長:中島真樹さんの講演で「福祉はひと」「ご利用者さまがさまざまなことを教えてくださる」という言葉を聞きました。お世話をするというような考えではなく「共に支え合う」というありかたに驚きました。音楽提供の場面でも認知症の方に寄り添い、ご一緒に楽しむという気持ちを持つことの必要性を強く感じました。

グループホーム「きみさんち」の管理者、志寒浩二氏

練馬で一番古いグループホームきみさんちの管理者:志寒浩二さんは「認知症であっても最後までひとは成長し続ける」と語っておられました。「共に生きている。助けてと言い合える関係を作っていくだけ」と、飄々と、そして尊敬の念を持って認知症の方々と向き合っておられます。制限したり命令したりするのではなく、理解し、支援し、見守ることを大切にしておられ、特に「高齢者が支援されていると気づかないのがほんとうに上質な支援だと思っている」という言葉がたいへん素晴らしく、音楽提供も押し付けであってはならないと強く自戒しました。

認知症のかたの尊厳を守る環境作りを、音楽を通して行っていきます

「人生を最期まで尊厳を持って生きることができるように」
冒頭の「認知症サポーター養成講座」で講師の塚本さん(練馬ゆめの木:当時)がおっしゃった言葉です。認知症の当事者とご家族にとって、これはとても大切なことかと思います。
GOTOも。
音楽をただ音楽として特別に考えず、生活の中の一場面として認知症のかたの尊厳を守る環境づくりのお手伝いがしたい。それはたとえば祖母が「これなら一緒に参加しても良い」と思って喜んでくれるような音楽プログラムを作ること。そしてもっと、音楽でできることがあるはずだと思っています。

GOTOの高齢者向けコンサートへの模索はまだまだ手探り。
次回も引き続きお付き合いください。

この記事を書いた人

後藤 京子(GOTO)

「音楽の花束」代表。星美学園短期大学講師。東京音楽大学卒、同大学第2副科オルガン専攻修了、邦楽演奏コース長唄三味線専攻修了。1986年日本ピアノコンクール全国大会第3位、受賞記念演奏会出演、1987年読売新人演奏会出演。NHK邦楽技能者育成会に学ぶ。短大西洋音楽史講師、小学校音楽科教諭を経て2004年より「音楽の花束」のプロデュース活動を始める。2015年きらめき認知症シスター(きらめき認知症トレーナー協会認定)取得。カトリック東京カテドラル関口教会オルガニスト。>>公式サイトへのリンクはこちら「音楽の花束」

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