聞き取れないのは周波数のせい?英語のリスニング力を高める「ながら学習」

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英語を習得しようと思うと「ノートを買って毎日勉強しないと」「文法からやり直そう」など、ついつい学校の勉強のように学習しようという意識が働いてしまうのが生真面目な日本人の性。

ただこうしてまじめに勉強しているのに、なぜかいざ実際に急に英語で道を尋ねられたりした際に、相手の言っていることが理解できなかったという経験はありませんか?

知識以前に必要なのは、耳のトレーニング

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書き起こすと全部わかるのに、なぜか聞き取れない

英語で会話をしているとき、相手の言ったことがどうしても聞き取れなかったのに、ひとつひとつの単語を書き起こしていくと何ら難しいことはなかった、なんてことありませんか?

これは自分で勉強しているときに想像している発音やスピードと、実際の発音・スピードとのあいだにギャップがあるからです。そして、このギャップはいくら勉強をして知識を詰め込んでも埋まりません。実際にリスニング経験を積み、耳を慣らすことが必要です。

英語は頭ではなく、身体で習得する

例えばダンスを例に考えてみましょう。ダンスの動きをひとつひとつ覚え、体のどの部分をどう動かせばそうなるかを完璧に理解しているからといって、実際にそのダンスを完璧に踊れるのでしょうか?

「このタイミングで足をこうして、腕はこっちに持ってきて、この時に姿勢が曲がらないように気をつけて・・・」などと考えているうちにタイミングを逃してしまうでしょう。

これは先ほどの「文字に書き起こすと全部理解できるのに、なぜか聞き取れない」という状態に似ています。原理や理屈はわかっているのに、身体が対応できていない状態です。

そもそも日本語に存在しない音に慣れる必要がある

“L”と”R”や”TH”などが代表例ですが、英語には日本語には本来ない音がたくさんあります。しかし、実は多くの日本人が一番聞き取れていないのは母音の違いです。

日本語には「あ・い・う・え・お」の5つの母音しか存在しません。「でもそれはa, e, i, o, uしかない英語も同じじゃないの?」と思われる方もいるかもしれませんが、実は英語には20近くの母音があると言われています。

また、これらの母音の違いは日本語では表記しづらく、実際に聞いてみないことには正しい発音が理解できません。

例えば”bus(バス=乗り物)”と”bass(バス=魚)”は日本語では全く同じ表記になりますが、音に明確な違いがあります。まずはこれらの母音の違いに慣れる必要があります。

日本人が英語を聞き取れないのは周波数のせい?

ロンドン大学やNTTコミュニケーションズなどが共同で発表した研究によると、日本語と英語では音の周波数が違い、日本語は1500ヘルツ以下なのに対し、英語は2000ヘルツ以上を使っています。例えば時報でいうと、最初の「ピッ」という音は440ヘルツ、「ポーン」という音は880ヘルツですので、440ヘルツの音の違いでもあれだけの音域の差が出ます。一見ただ周波数が違うだけで大した問題ではなさそうにも思えますが、実は日本語の周波数に慣れている日本人の耳は2000ヘルツ以上の周波数を”雑音”として処理するようにできています。

周波数の違う言語を意味のある言葉として捉えられるようになるまでには、まず耳が英語の周波数に慣れる必要があります。これは150キロ近い球を打つために野球選手たちが動体視力を鍛えるのと同じで、知識や技術以前に身体をトレーニングする必要があるということです。

周波数に慣れると、言葉が自然と浮かんでくる

一旦この周波数に慣れてくると、これまでただの雑音のようにしか聞こえなかった音の中から知っている単語がいくつか浮かび上がってきます。最初は”No”や”Good”などしかわからなかったのが、文中にでてくる単語がわかるようになってきます。

これは耳が英語の周波数に慣れてきた証拠なので、そうすると英語を聞き取る力が格段にアップします。

英語を生活の一部にした”ながら学習”がカギ!

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英語を”聞いている時間”をできる限り長くする

耳を英語の周波数に慣らすには、とにかく英語をたくさん聞くことです。ここで注意してほしいのは、英語を聞く”時間”です。

1日何時間以上聞くべき、というような目安はありませんが、英語を聞く時間は長ければ長いほどよいです。そのため、たとえば週に1回、1時間の英会話スクールに通う、というだけでなく、普段から英語を聞くことを習慣化し、耳を鍛えることが大切です。

一番効果的なのは、英語を生活の一部にすることです。「これから英語の勉強をするぞ!」と考えるのではなく、普段の生活の中でも使える”ながら学習”を取り入れていくことで、英語に触れる頻度を増やしていきましょう。

意味なんてどうでもいい!聞き流しながら英語の”音”を習得

目的は内容を理解することではなく、耳を慣らすこと

耳を慣らすトレーニングのコツは、内容を理解できないからといってカリカリしないことです。

もちろん、最終的には英語で言われていることをすべて理解したいのですが、このトレーニングの目的は何よりも「耳を慣らすこと」なので聞き取れないのが当然です。文章の意味がわからなくても一切気にする必要はありません。むしろその中から単語をひとつでもつむぎ出せたら喜ぶくらいの気持ちがいいでしょう。

これは動体視力を鍛えるために行う「電車の窓から外の看板の文字を読もうとする」というトレーニングに似ています。最初は全く理解ができませんが、そのうちちらほらとわかる単語がふと浮かび上がってきます。こうしてゲーム感覚でやっているうちに自然と鍛えていきましょう。

また、「疲れたらいつでも休憩していい」というくらいのリラックスしたスタンスでやりましょう。繰り返しになりますが、目的は耳を慣らすことです。「こうして聞いているだけでも確実に耳は慣れていっているんだ」と自信を持って聞き流しゲームを楽しみましょう。

どんなものを聞き流せばいいの?

聞き流す音声は基本的になんでもいいのですが、続けるためにはやはり何か自分が興味のあるジャンルなど、たとえ聞き取れなくても興味をもって続けられるようなモノを選びましょう。

また話している人の声の好き嫌いなども考慮しましょう。その人の声が気になって全く音声に集中できないのでは元も子もありません。逆に「何時間でも聞いていたい」という素敵な声の人を見つけたら、とことん聴き込みましょう。

耳が慣れてきたら、聞こえた”音”をそのまま言ってみる

耳が慣れてきたら、次はその音を自分で実際に言ってみましょう。ここで大切なのは、知っている単語がでてきたからといって、これまでに覚えてきた言い方をしないということです。発音やイントネーションを自分がこれまで習ってきた言い方に合わせず、その場で聞いている音声から聞こえてくる音をそのまま自分で再現してみてください。これを「シャドーイング」といいます。

実際にシャドーイングをしてみるとわかりますが、英語で使う音の中には、耳ではわかっているのに発音がしづらい言葉があります。シャドーイングはこの差を埋めていく作業とも言えるでしょう。また、何度もやっていくうちに自分の発音の弱点も見えてくるので、リスニングの練習をしながら発音の練習もできます。

周波数に耳が慣れたら意味を理解しよう

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耳に英語をたくさん聞かせて周波数に慣れてきたら、今度は聞き取れた単語の意味を理解していきましょう。もしスクリプトがある音声なら、そのスクリプトを利用しましょう。ただ、これはあくまで耳が慣れたあとの話です。

耳が慣れる前にスクリプトを見てしまうと、音声情報より先に文字情報が自分の中にインプットされてしまういます。あくまでまずは耳から得て、それが合っているかどうかの確認にスクリプトを利用するようにしてください。

いかがでしたか?こうしてまず耳から鍛えておくことで、発音する際に自分が正しい音を発しているかどうかを判別することができます。よくモノマネのうまい人は耳がいいと言われますが、まさにその通りです。

リスニングに自信がつけば、英会話中でもリラックスしていられるようになり、自然と会話が弾みやすくなるでしょう。ぜひ通勤時間や少し空いた隙間時間などを利用して耳を鍛えてください。

監修:ワンドロップス株式会社 代表取締役 村重 亮。防衛大学校・陸上自衛隊幹部候補生学校を経て渡米しゼロから英語を習得。その後4か国に駐在し、20か国以上と取引をした豊富なグローバルビジネス経験をもとに超実践英語道場 Spark Dojoを設立。 武道の「トレーニング」や「スパーリング」のような形式で日本人に圧倒的に足りない実績と経験値を補い、脳科学に基づいて日本人が世界で戦うために必要な自信・英語力・コミュニケーション力を鍛え上げる。

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