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大物OBがキャンプで熱血指導 「理論が真逆」のありがた迷惑

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 今年もプロ野球のキャンプには野球評論家として大勢のOBが訪れた。グラウンドに降りて選手と話ができるのは、現役時代に輝かしい成績を残した元・名選手ばかりだ。それだけにそれぞれが技術や理論には絶対の自信を持っており、現役選手を見ると、昔の血が騒いでつい指導を始めてしまう。でも選手からするとありがたいような、迷惑なような……。

 沖縄・名護の日本ハムのキャンプに、1人の大物OBが現われた。張本勲氏、御年75歳。日本ハムのOBにして、日本プロ野球史上唯一の3000本安打を達成した好打者だ。お目当てはもちろん“二刀流”大谷翔平である。「ランチ特打」に臨んだ大谷の打撃を、打撃ケージの裏で見守っていた。

 大谷はバットの軌道や弾道を確認するように60スイング。そのうち4本が柵越えした。最後は2連発で締めくくったが、「安打製造機」は何か物足りないと感じたのか、ケージ裏に大谷を呼びつけてアドバイスを始めた。

「大谷はヘルメットを脱いで小脇に抱え、背筋を伸ばして聞いていました。張本さんは身振り手振りを交えながら指導していましたね」(日本ハム担当記者)

 その時の様子が、21日に『サンデーモーニング』(TBS系)で放送された。張本氏が「喝」と叫ぶことでお馴染みのスポーツコーナーを持つ番組である。指導状況を再現する。

張本:近めの球(内角)、こんな打ち方じゃ詰まったりするし、良い当たりでも右にファウルになりますよ。

大谷:ハイ。

張本:(バットを)立ててバーン! と打つと。

大谷:……(半笑い)。

張本:まあしっかり練習して。

大谷:ハイ。

張本:楽しみにしているから頑張って。

大谷:ハイ、ありがとうございました。

 張本氏には気の毒だが、明らかに聞き流している。前出の記者が続ける。

「その後、大谷に感想を聞いたら、“参考になるんじゃないですか”と、大して興味を示していませんでした」

 また張本氏はヤクルトのキャンプにも出向き、昨年のトリプルスリー・山田哲人の特打にも密着。同様に教育的指導を行なった。

張本:今度は4・4・4(4割40本塁打40盗塁)行こうか。

山田:いや、4・4・4はさすがに……(と困惑)。

張本:4割は難しいけど40本40盗塁はできるわな。

山田:……(いや無理だろ、という顔)。

張本:まあ頑張ってくれ。

山田:ハイ、頑張ります。

 やっぱり聞いてない。ただ張本氏も自覚している様子だった。スタジオでは、「いったって聞きやしませんよ。こちらが先輩だから聞いてるだけ」と苦笑しながらコメントしていた。

 こうしたOBの視察・熱血指導はキャンプの風物詩である。メディアの専属評論家として取材に訪れるケースがほとんど。そのため本来は話を聞くのが仕事なのだが、やはりそこは野球人、グラウンドに立つと血が騒ぐらしく、教え始めてしまうのである。パ・リーグの球団関係者が語る。

「今のコーチと理論が合っていたらまだいいんですが、大抵が真逆だから困るんです。しかも昔の人ほど、“ガーンと行け”などという抽象的な擬音混じりの指導で意味不明だし、“とにかく投げ込め”とか精神論になる。でも聞かないわけにはいかないから、選手たちは、“ハイ。ハイ。ハイ。頑張ります(ありがとうございます)”という定型文を繰り返して流しています(笑い)」

※週刊ポスト2016年3月11日号


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