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認知機能を刺激する回想法とは|効果、方法、事例まとめ

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回想法

回想法とは、認知機能を刺激し認知症の症状改善が期待されている認知症ケアの1つです。種類や方法を知ることで、家族介護の方から介護従事者まで幅広く実践出来るため、今後注目の心理療法です。今回はその回想法についてご紹介いたします。

回想法とは何か

回想法は、認知症の非薬物療法の一種でもあり、アメリカの精神科医ロバート・バトラー氏が「回想する過程は、しばしば癒す力の効用がある」と提唱した心理療法です。認知症で記憶障害が進んでいても、古い記憶は比較的最後まで保たれます。この記憶の特徴をうまく活用した方法といえるでしょう。

具体的には、特定のトークテーマについて、時には写真・歌・玩具等、過去を思い出しやすくする道具を使いながら、思い出を語ってもらうことで脳を刺激します。長期的に行うことで、認知機能改善・認知症の症状を遅らせることが報告されており(※1)、レクリエーションの一環として行っているグループホームもあります。
※1、回想法の有効性について国立長寿医療研究センターの検証より、回想法を実行した人はやらなかった人に比べて認知機能が改善したという報告が出ています。

回想法の種類

回想法には、数人のグループで行う場合と、1対1の個人で行う場合の2種類があります。それぞれの特徴・目的についてまとめます。

種類

個人回想

個人回想法

グループ回想

グループ回想法

概要
1クール4回~10回(毎週1回が基本)1対1で行う
1クール8回~10回(毎週1回または月に2回)6~8人くらいのグループで行う

特徴
個性を尊重し、じっくりと向き合い傾聴する
複数人で行うため、グループ全体で回想が深まり、お互いの関係性も深まる

狙い
参加者の生活の場で行えるため、プライベートな記憶に焦点をあてながら、深く掘り下げられる
参加者同士のコミュニケーションがとれるので、孤立しがちな方の社交性を取り戻す効果がある

回想法の方法

聞き手は回想法を円滑に進めるにあたり、参加者の情報を把握した上で質問します。参加者が抵抗なく話せるものにしなければ成立しないため、事前準備が大切です。

事前準備

参加者の個人情報(生年月日・出身地・家族構成・学歴・職歴等)と、触れられたくない話題を把握しておく
その日の参加者の状態(視力・聴力・記憶力・体調・気分等)を確認し、参加が難しい場合は無理強いしない
グループ形式の場合、参加者のプライバシーに関わるため、参加者同士で情報を共有していいか、ご本人・ご家族の同意を得ておく
参加者が話しやすい内容(テーマ)を選ぶ

テーマの決め方

参加者の幼児期・幼少期・青年期・壮年期の記憶や、お正月・お花見・お盆など季節・生活を重視した記憶からテーマを決めます。以下参考例です。

学生時代好きだった教科
初めて見たテレビ番組
10代の頃憧れてた俳優・女優
必ず入ってたおせち料理の品目
地元の桜の名所
もらって嬉しかった誕生日プレゼント

なお、グループ回想法の場合は、参加者のバランスを見て共通性があるテーマを選定します。

テーマ例

写真を使う場合

写真を使う場合

参加者が小さい頃住んでいた地域の写真や、当時の有名人の写真などを出しながら、具体的な質問で問いかけます。
例)○○さんが生まれ育ったのはなんという町ですか?

歌を使う場合

歌を使う場合

季節に関連する童謡を流し、必要があれば歌詞カードを渡して一緒に歌います。歌い終わった後に、曲の中身について、参加者が答えやすいように質問する。
例)今歌われた歌は、どこで教わったんですか?学校ですか?

玩具を使う場合

玩具を使う場合

参加者の前に玩具を置き、手に取ってもらった上で、玩具の名前や遊び方について質問します。
例)このふわふわした手触りの玩具、名前は何ていうのでしたっけ?遊び方を教えてくれませんか?

回想法を行うときの注意点

あいまい(抽象的)な質問はしない

参加者が理解できない場合があります
テーマが膨らまず、その後の話に繋がりにくくなります

回答を無理強いしない、訂正しない

過去を話すことに対して嫌な感情を抱いてしまいます
訂正されることで人格を否定されたと思ってしまいます

回想法実施を見送った方がいい方

重度の認知症の方
過去辛い経験をされたため、悲しい思い出を抱えていらっしゃる方

回想法を行っている最中に感情が高まり、泣いてしまった場合

一人にさせてしまうと見捨てられたという感情をうえつけてしまうため、席を立たずに参加者の気持ちが落ち着くまで待ちます
「ごめんなさい」など安易に謝ったりせず、参加者の思い出に寄り添うよう、快感情の共有に努めます
参加者に誤解を与えないよう、安易な肯定・否定はやめましょう

回想法の効果

回想法で得られる効果として、次のようなものが挙げられます。

心理的問題の解決

過去を語りながら記憶を取り戻すことで、自分自身を理解できるようになって、心が落ち着きます

認知症の予防・進行抑制

認知機能を刺激するコミュニケーションを行うことで、前頭葉が鍛えられます

人生に対する満足度や肯定感の向上

誰かに自分の過去の話を興味を持って聞いてもらうことで、自己肯定感が高まります
抑うつ感の改善

過去の楽しかった思い出を話すことで、塞ぎこんでいた気持ちが晴れ、精神の安定を得られます

対人交流の促進

(主にグループ回想法で)他の人の思い出を聞き、共感し合える場があることで、交流の輪が広がります

参照元:回想法 実施マニュアル 須田行雄氏

回想法の研修、資格

回想法をより深く知りたい方向けに、全国で行われている研修・講座、そして習得出来る資格をご紹介します。

心療回想士(日本回想療法学会)
回想法の技法を習得する講座を修了するともらえる民間資格です。回想法におけるインタビュー技術を身につけることが出来ます。

認知症ライフパートナー
回想法をはじめ、色々な療法アクティビティ全般を知る民間資格です。3級(基礎)・2級(応用)・1級(リーダー養成)とあるため、自身のレベルに沿って受講出来ます。

さいごに

今回紹介した回想法は、過去や習慣を知ることで今後のケアにも活用出来る心理療法です。また、思い出を語りコミュニケーションを取ることで、信頼関係を築くことも期待されてるので、日々の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
参考元
回想法 実施マニュアル 須田行雄氏(2013年)
健康高齢者の記憶機能に及ぼす回想法の効果 古橋啓介氏(2011年)
高齢者の生活支援としての回想法 西川淑子氏(2011年)
日本回想療法学会
(2016/02/15アクセス)

この記事を書いた人

認知症ONLINE 編集部

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