「会社を辞めて起業」は無謀?起業の成否を分けるポイント

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「会社を辞めて起業」は無謀?起業の成否を分けるポイント

 ここ20年ほどで、「起業」という言葉はずいぶん身近になったのではないだろうか。
 日本政策金融公庫総合研究所が2014年11月に実施した「起業と起業意識に関する調査」によると、男女全体で、「起業に関心あり」と答えたのは18.3%、「以前は起業に関心があった」と答えたのは13.0%。この数字を多いと取るか少ないと取るかは人それぞれだろうが、日本人の約3割近くが起業に無関心ではないということが分かる。
 だが起業に興味はあっても、実際に行動を起こすかどうかといったら、それはまた別の話。起業した後のことを考えれば、「よほどのこと」がない限り踏み切れないという人は少なくないだろう。

 今回紹介するのは、その「よほどのこと」があって起業に踏み切った星渉さん。星さんは、自身の起業体験をベースに書きあげたビジネス小説『鈴木さんの成功。』(マネジメント社/刊)で、会社員から起業した時に待ち受けている真実を、その壁を乗り越える方法と共にわかりやすく紹介している。

 星さんが起業に踏み切った理由である「よほどのこと」とは何だったのだろうか。そして、起業して成功する人とそうでない人の違いはどこにあるのか。今回は星さんにお話をうかがった。

――実際に、これまで多くの起業家の方の支援をしてきたなかでの実感として、「会社を辞めてから起業の準備を始める」ケースと、「会社に勤めながら起業の準備を進める」ケースとでは、どちらのほうが成功しやすいと思われますか。

星:一概には言えませんが、やはり「会社を辞めてから」のほうが成功しやすいとは思います。その分、「背水の陣」で臨むことになりますから。
また、「会社を辞める/辞めない」以外に、「時間」という物差しもあると思っています。結論から言ってしまうと、結果が出る人はたいてい起業して6か月以内にブレイクする。逆に、6か月経ってもブレイクできない人はいつまでもブレイクできないという傾向が見られます。もちろん、可能性ゼロではないんですが。
私の門下生の場合、起業して6か月以内に月収100万円を超える人が全体の9割を超えます。

――なぜ「6か月」なのでしょう?

星:まず、私のコンサルティングプログラムの仕組み上そうなるという部分はあるでしょう。というのも、最初の3か月でビジネスモデルを作り、それを実行に移して試行錯誤して…という感じで進めていくと、6か月経つころには成果が出はじめるんです。
それともうひとつ、私のところへ通っていると、そのように「6か月で結果を出す人」を当たり前のように目の当たりにするから、というのも大きいでしょうね。つまりは「環境」。どんな人に周りを囲まれているかによって、本人のパフォーマンスは変わってくる。
こんな話を聞いたことがありますか? 「自分と親しい友人5人の年収を聞いてみる。そこから割り出される平均値が自分の年収の最高額だ」という話を。人間というのは面白くて、周囲に「引っ張られる」ようにして成長することもあれば、逆に堕落してしまうこともあるんです。

――環境によって、本人のなかで「ここまでならできそうだ」という基準が変わっていくということなのでしょうか。

星:そうですね。あることに対して、「自分はできる」と思っているか、「どうせ自分には…」と思っているかによって、当然結果は違ってきます。男子100メートル走の世界には長らく「10秒の壁」というものがありました。当時、人々にとっては「100メートル走で10秒という記録を破れるのか?」ということが大きな関心事だったというわけです。1960年に10秒00という世界記録が樹立されてから、平地の公式記録でこの壁が破られるまでに何年かかったか知っていますか? 
答えは23年。なぜそれほど長い間、10秒を切れなかったのかといったら、それは当時の報道の仕方が原因だったのでは、というのが私の考えです。当時、メディアでは、「10秒を切ることは人類には無理だ」という報道が繰り返されていました。そう言った思い込みを刷りこみがなされていたために、なかなか10秒を切ることができなかったと思っているんです。
実際、カール・ルイスが1983年に10秒を切り、そのたった2か月後には、別の選手がルイスの記録を抜いています。この事実が示すのは、ルイスが10秒を切ったことで、他の選手は「10秒を切ることはできないだろう」という思い込みから自由になれたということなのではないでしょうか。

――最後になりますが、読者の皆様へメッセージをお願いします。

星:もっともお伝えしたいのは、起業するにあたって「自分はどう生きたいのか」ということを明確にしていただきたいということですね。同じ起業をするにしても、従業員を100名規模で雇いながら働きたいのか、あくまで個人でフリーランス的に働きたいのか。まずは、その方向性を定められるかどうかで、その後の成功確率は変わってくると思います。
私の場合は完全に後者でした。さらに言えば、起業して間もないころ、私は「こんな感じのホテルのラウンジで、こんな感じの人と話をしながら仕事をしたい」とイメージすることから始めたんです。具体的には、Googleで画像検索をして、自分にとっての理想的なラウンジはどこなのかと探したり……。
そして実は、そのとき「これだ!」と思って、画像をプリントアウトし、部屋の壁に貼っていたのが、この本の中にも出てくる京王プラザホテルのラウンジだったんです。
自分はどう生きたいのか。それはどんなイメージなのか。また、その「理想の状態」を実現している人を見つけたなら、その人の近くに1分でも長くいること。そうすればおのずと、人生は変わっていくと思います。

(了)


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