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ママの就活、立ちはだかるハードル。派遣切りから子持ち復帰までの長い道のり

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長男を産んだ5年前のこと。

派遣元とこじれた結果、育休の取得ができず、産休明けをもって契約が終了した。(派遣切りに遭ったエピソードはこちら)

ベビーカーでハローワーク

さて、退職時に私は、派遣元の担当からこのように言われていた。

「妊娠を期にした契約終了ということになるので、この書類を持ってハローワークに行ってください。お金すぐ出ると思うんで」

ありがたいのだか腹立たしいのか、よくわからない感情が渦巻いたが、とりあえず背に腹は変えられない。よく考えるまでもなく、お金は大事だ。

まだA型ベビーカーをフラットにしないといけないような乳児を連れて、私はJRで一駅先にあるハローワークへと向かうのだった。

部屋着と区別がつかないような授乳服を着て、ベビーカーを押しながら職安……。

これ以上に悲壮感の漂うヴィジュアルもそうそうないと思ったが、狭い通路にベビーカーを止めさせてもらい、端末で求人票を検索し、いくつかをプリントアウトしては係に提出する。

こんな生活がスタートした。

子どもがぐっすり寝ているときにはファミレスに立ち寄ることにした。

これがまたちょっとした開放感で、無職の重みと慣れない育児で鬱々としていた時期だっただけに、甘いものは私を幸せにした。

乳児を見ながらの在宅ワーク

時期を同じくして、昔の同僚からメールが来た。

「よかったら在宅で仕事請けてもらえませんか?あんまり出せないんで申し訳ないんですけど……。」

出産前はそこそこの稼ぎがあったために、失業保険も少ない額ではなく、貯金もあったので困っているわけでもなかった。

それでも今までの手取りの3分の2しか入ってこないので、これはありがたいお話だった。

こうして、WEBデザインとコーディングを受託することになったのだが、やろうとすると赤子が泣く。

まだ3時間おきにミルクを欲するお年頃。

幸い夜はぐっすり寝る子だったので、自然と作業時間帯は深夜になっていき、明け方、倒れこむようにベッドに入ると5時ごろ泣き声で起こされた。

日中はお散歩やお世話、銀行や買い物など、昼間しかできない用事を済ませ、夜になると働く生活。

「……私はいつ寝たらいいのだろう。」

ある日そこに気づいてしまい、このままでは何かが破綻する!と危惧した私は、就職活動に入るのだった。

ママの就活、立ちはだかるハードル

就活する!と息巻いてはみたものの、あてがない。

ネット応募できる求人サイトで片っ端から送ってみるも、乳児のいる状況はあきらかに分が悪かった。

“休むかもしれない”“残業できない”というこの二つは、私が働こうとする業種ではリスクとしか見てもらえなかったのだ。

「困ったときの派遣かな」

前回の反省を元に、育休がちゃんと保障されている派遣会社を数社ピックアップした。

その当時、二人目を考えなくもない、という気持ちだったからだ。

さっそく連絡を取ると、登録会に呼ばれ、その場で数件案件を紹介された。

ところが、最後の段取りになって「保育園は大丈夫ですか?」の部分がネックになり、いくつか話が流れるのだ。

『働いてないと保育園に入れない。保育園に入れないと働けない。』

なんという矛盾だろうか……!

そんな中、「就職活動中」という低いポイントにもかかわらず、うっかり保育園が決まってしまうという事態になり、2ヶ月以内に就職先が決まらないとキャンセルになると通達が来た。

……これは困った。

もうなんでもいいから、多少無理してもいいから働かないと、全部計画が狂ってしまう!

あせりだした矢先、家が大きく揺れた。

2011年3月11日のことである。

進んでいた案件は、一旦リスケとなった。

話がなくなるわけではないけど、方針が決まるまで社員も自宅待機で、面談ができないといわれた。

交通機関も麻痺し、最寄りのバス停には黒いゴミ袋がかけられた。

運行休止になったからだ。

テレビで生中継を見てしまい、心が少し疲れてしまった私は、晴れて静かな春先の東京を、ベビーカーを押して隣街まで歩いた。家にいると頻繁に揺れて怖くなるからだった。

入園説明会も終わり、園長先生から「お母さんお仕事は……?」ときかれてしどろもどろになったりした。

私がどうこう言っても天災には勝てない。

運を天に任せるのみだった。

あと1週間で4月にならんとしていたある日、急にばたばたと仕事が確定し、4月1日から勤務が決まった。

好転するときは何事もうまくまわるものだが、これまでの人生、運に助けられてきた部分が大きい筆者である。

このときは結果オーライとなったが、もうこんな綱渡りは正直ごめんである。

子を持った状態での再就職はほんとうに壁が険しい。

できれば妊娠・出産を期に退職に追い込まれないような制度と風潮を作ることが大事であり、これから働こうとする子持ちのみなさんにやさしい社会になることを願ってやまない。

著者:kikka303

年齢:39歳

子どもの年齢:4歳11ヶ月・0歳7ヶ月

1976年東京生まれ、都立北園高校出身。東京モード学園に進学するもインディーズブランドブームにのって学校を中退、以降フリーランスのデザイナーとして活動。その傍ら、複数のテレビ局にてデジタルコンテンツを担当。2010年に結婚&出産。現在は都内某所にてWEBディレクター職についている。超イクメン夫、チャラい長男、食いしん坊な次男との4人暮らし。

※プロフィール情報は記事掲載時点の情報です。

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