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第47回 接見をめぐる問題(その2)

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 前回に続いて、接見について書いていく。
 接見禁止処分は、外部と物の授受禁止でもあることは前回にも触れた。弁護人との間では、物の授受も禁止されないのであるが、すべてが許されるというものではない。
 そもそも弁護人との関係で接見禁止処分が及ばないのは、被疑者・被告人の防御のためであるから、弁護人との間で予想されているのは、訴訟記録の授受や裁判についての打合せである。加えて、拘置所勾留の本来の拘禁目的を害するおそれがある場合には、弁護人からの物の差入れも認められない。

 弁護人との間で手紙のやり取りをしていたのだが、あるよく気が回る弁護士が、事務所の宛名を印刷し、しかも切手まで貼った封筒を何通か送ってきた。私の便宜を考えてのことであった。
 ところが、彼だけでなく私もまったく知らなかったのであるが、これが入らないのである。

 刑務官が、封筒の束を持参してきて、これは入らないんだよと見せてくれた。何も知らない私は、どうしてなんですかと聞いた。
 切手を貼ってあるのがダメだそうだ。その理由といえば、貼った切手の裏側が問題だということだそうである。それ以上は詳しく聞かなかったが、貼った切手の裏に何かを書いていたり、それこそ、覚せい剤を溶かした溶液で貼っているような場合もあるらしい。
 妙に納得してしまった。かつてそういうことがあったのだろうか、それともそういうことも考えられるとして禁止しているのだろうか。

 ある女性の建築紛争事件を受任していたが、その女性が何と事件の打合せのため、裁判官に接見禁止の一部解除を申し立て、これが認められた。某月某日某時から某時までの間の1時間、その女性について接見禁止が解除されるのである。
 もちろん、刑務官の立会いがあるが、記憶では1時間程度の接見が許された。

 私には記憶がなかったのだが、彼女の事件を受任するに際して、彼女から「どんな書類でも用意できる」というような、虚偽文書の作成も厭わないようなことを言われ、そういうことなら、他の弁護士を当たってくださいと私が返答をしたそうである。
 この話を引き合いに出して、まるで立会いの刑務官に向かって言うように、「そういう返事をする先生が、内容虚偽の文書を作成させるなんていうことがあるわけないじゃないですか!」と息巻いていた。

 その後、何かの話で以前に出たのだろう、私が坂角の海老せんべいが好きだということを覚えていたその女性は、後でそれを差し入れておきますと言った。
 基本的に立会いの刑務官は、接見内容の要旨を書き留めるだけで、口出しをしないのであるが、そのときには、それは入りませんと彼女に言った。私も、食べ物は検査ができないから、入らないことを御礼と共に伝えた。

 そのうち、刑務官がそろそろ時間ですと告げた。そのとき、彼女は猛然と、「私も時間を見ていますが、まだ1時間は経っていません」と抗議した。
 刑務官の計測の起算点が、どうやら接見申込み時からのようであった記憶で(刑務官の勘違いかもしれないが)、正味1時間を彼女は主張したのである。
 彼女の勢いに押されたのか、正味1時間の接見となった。(つづく)

元記事

第47回 接見をめぐる問題(その2)

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