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この鍋を食べずして冬を終わらすな! 「秋田だまこ鍋」のつくりかた教えます 

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ひと口に「」といっても、日本中いろいろありますな。

2015年秋に紀文さんが全国1400人を対象にした調査によると、

日本人の好きな鍋は「おでん→すき焼き→キムチ鍋→寄せ鍋→しゃぶしゃぶ」

という結果だったそうです。

またこの調査によると、福岡ではやっぱり水炊きが人気だったり、

大阪から西はふぐ鍋人気が高かったりと、郷土色がそれぞれに出るんですね。

ここがまた、おもしろいところ。

そう、郷土の鍋!

私は以前に雑誌で、2年半にわたり日本各地の郷土料理を調べていたんです。

そのとき、

「ああ……これ、今まで食べた中で一番うまい鍋だっ!!」と、

感激したものを、きょうはご紹介したいと思います。

その名も、秋田の「だまこ鍋」。

新米の季節になると、秋田の『メシ通』たちが食べたくなる鍋なんだそうですよ。

だまこ鍋の三大柱その① 秘密は「セリの根っこ」

まずご用意いただくのは、長ネギ、マイタケ、ゴボウ、鶏もも肉。

※あとで分量つきのレシピにまとめますね

そして忘れてはならないもの、それがセリ!

秋田のセリは、ひと味違います。

ひと味というか、1パーツ違うというか。

どうですこの根っこ!!

秋田県南部の湯沢市三関(みつせき)地区で育てられるこのセリ、

通称「三関セリ」といって、有名な地元野菜。

この根っこから、セリ独特の濃厚なふかーーい香りが出てくるんです。

タイ料理に詳しい人ならピンときませんか?

あちらはパクチーの根っこを、香り出しによく使いますよね。

あれと一緒で、セリの根っこも香り出しにバツグンの部位。

そこを見逃さなかった昔の秋田人、すごいっ。

「土がついてたりして、汚いんじゃ……?」と懸念される人もいるかもですが、

地元の農家さんが徹底的に洗浄して出荷しているので、どうぞご心配なく。

東京・有楽町にあるアンテナショップ「秋田ふるさと館」では、

定期的にこの三関セリが入荷されています。

今回、僕もこちらで購入しました。その日は3束で1千円ぐらいだったかな。

大手デパートや大型青果店でも扱っている場合もあり。

手に入らない場合は、一般的なセリで代用OKです。

だまこ鍋の三大柱その② 新米を丸めた「だまこ」

しかしそもそも、名前にもなっている「だまこ」って、なんだ?

これです。ごはんを軽く潰して丸めたもの。

「玉っこ」から転じたのかとおもいきや、向こうの言葉で「丸める」という意味の「だまける」からきたという説や「お手玉」をあらわす秋田言葉「だまこ」からきているとする説もあるよう。

秋田では新米の季節になるとこのだまこ鍋、よくやるのだそうです。

ごぞんじ「きりたんぽ」ってありますね。

あれも新米シーズンによく食べられるものなんですよ。

炊いたごはんを潰して秋田杉の棒につけて焼くのが本来のきりたんぽなのですが、

その簡略版がこの「だまこ鍋」と思ってください。

今回は「やっぱり秋田の米でつくらねば!」ということで、

秋田県産 あきたこまちを用意。

それをこんな感じで半分量ぐらいをつぶしていきます。

ちなみにこれ、地元の言葉では

「はんごろしにする」って言うんですよ。

秋田美人が「あ、お米はんごろしにしておいてー」なんてサラッと言います。

ちなみに秋田出身の美人といえば壇蜜さんや藤あや子さんが思い浮かびますね。

あや子にはんごろし。されてみたいものです。

さて、ごはんをつぶしたら直径4センチぐらいにまとめて、完成!

ちょっと余談ですが、こんなものも地元では売られていたりします。

ちっちゃなきりたんぽ。使いやすくておいしい。もちろん新米製。

秋田って最後が「こ」で終わる言葉、多いんです。この「ミニっこ(子)」もそうだけど、「いぶりがっこ」とかね。ちなみに「がっこ」は漬物全般をさす秋田の言葉。

しかし秋田の人々はことのほか新米を祝い、堪能するなあ。

だまこ鍋の三大柱その③ すべてを包みこむ「鶏ガラの滋味スープ」

さてさて、だまこ鍋のベースとなるスープは鶏ガラです。

こんな感じで、パックの製品が向こうではよく売られているんです。

しかし味にうるさい秋田人は、ガラから取る人も少なくない!

香りの強いものをまとめるスープですからね。いわば鍋のベース。この味がしっかりしてないと台無し! 秋田が誇る比内地鶏のガラスープが最高ですよ

地元の人はよく、こう言うんだよなあ。

よっしゃ、これは引き下がるわけにはいかないぞ。

今回は比内地鶏のガラを入手して……とまではちょっとできませんでしたが、スーパーで売ってるガラからつくりました。

鶏ガラ、安くてありがたい。

仕込みのポイントは、一度ゆでこぼすこと!

こんな感じです。

1:鍋にガラと水を入れて中火にかける

2:沸騰したらざるにすべて一度あげる

3:鍋を水ですすいで、汚いようならサッと洗う

(泡残りがあると台無しなので気をつけて)

4:ガラは水で全体を洗い、鍋へ。

ゆでこぼしたガラを鍋に入れたら、ひたひたになる量の水をそそぎ、また加熱します。

アクを取りつつ30~40分ほど、煮立たないぐらいの火加減でスープを取りますよ。

セリの風味と新米だまこの“しみしみ感”がたまらない!

さて、それでは具材とスープを鍋に入れて煮れば、もう完成!

味つけは醤油とお酒、塩少々。

鍋に具をたーーーっぷり盛りつけましょう。

ジャーン!

そして火が通ってくると……

ジャジャーン!!

煮えてくると、部屋のなかになんともいい香りが満ちてきます。

ゴボウ、セリ、マイタケ、そして鶏スープのうまみ……それぞれ主張の強い香りが次第に溶け合って、これがまあ……なんとも、たまらない。

さあ、いただきましょう!

ある程度食べたら、またどっさり三関セリを投入。うーん、なんとも贅沢。

野菜をたーーーっぷり食べられるのも、だまこ鍋のいいところです

このぐらい煮詰まったときのスープ、もう最高なんです……。

新米だまこに味が”しみしみ”になって、これがごちそう。

「新米をつぶすなんてもったいない!」と思うなかれ。

スープのからみが格段によくなって、これはこれでいいものですよ。

三関セリは手に入らずとも、ぜひトライしてみてほしいなあ。

以上、秋田のおいしい郷土鍋のレシピでした!

だまこ鍋レシピまとめ

<4人分の材料> ごはん 2合程度 鶏ガラスープ 2リットル程度 鶏もも肉 500g セリ 2束 長ネギ 2本 ゴボウ 1本 マイタケ 2パック

※好みで、しらたきを入れてもおいしい

A 薄口しょうゆ 大さじ3~4 ※少し薄いかな、と思うぐらいがちょうどいいです。だんだん煮詰まってくるので 酒 大さじ2 塩 小さじ1

<作り方> ゴボウはささがきにして5分程度水にさらし、ザルなどにあげておく。長ネギはななめ切り、鶏肉はひと口大に、マイタケは小分けにほぐし、セリは3センチ長さぐらいに切っておく。 炊き立てのごはんをボウルなどに移して、5割程度つぶす。手を水で軽くぬらし、直径4センチ程度に丸める。 鶏ガラスープを鍋に入れて、鶏肉、ゴボウ、調味料のAも加えて、ひと煮立ちさせる。だまこ、長ネギも加える。マイタケ、セリはすぐ火が通るので食べる直前に入れる。


書いた人:

白央篤司(はくおうあつし)

フードライター。『おとなの週末』『栄養と料理』オムロンのカルチャーサイト『リズム』などでコラムを連載。居酒屋・お雑煮研究・郷土料理がメインテーマ。初の著書『にっぽんのおにぎり』(理論社)がただいま5刷目で発売中! facebook:atsushi.hakuo ブログ:独酌日記

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