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池袋のスナック「パントマイム」のベテラン美人ママさんに叱られたくて【美人ママさんハシゴ酒】

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下関マグロの「ニッポン全国美人ママさんハシゴ酒」第6回:池袋「パントマイム」千世美(ちよみ)ママ

美人ママというと、スナックっていうイメージだけど、実はこれまでスナックって行ってなかったんだよねぇ。今回、やっとスナックのママさんを取材できたよん。

場所は、池袋。池袋の待ち合わせと言えば、こちら!

「いけふくろう」。すでにカメラマンHさん、『メシ通』編集スタッフMさんが到着している。東口からサンシャイン通りへ。すぐに右に曲がると、美久仁小路がある。かつて池袋にはいくつかの小路や横丁があったけれど、いま残るのは美久仁小路と栄町だけなんだよ。

ほら、美久仁小路ゲイト付近のここ見てよ!

昔の美久仁小路の写真が飾られているよ。戦後の闇市が始まりだといわれているね。

そして、美久仁小路のお店が紹介されている。で、今回うかがうお店はこちら。

「スナック パントマイム」さんだ。

味のある小路でしょ。

看板があったぞ。

うーんこの看板のかんじ。いいですなあ。「SNACK パントマイム」ってある。もう、典型的なスナック。

はじめてのお店って、なんだかドキドキするよね。高いのか、安いのか……ママは美人なのか、それとも……。

「こんばんわぁ」

「はい、こんばんわぁ」

やってます?

「まだなんですが、いいですよ。いまこれを表に出そうかと思ってたんですよ」

おお、これが噂の。

「1時間、飲んで歌って2千円の飲み放題コースもありまーす」

おっ、安い。そして、美人ママだ。あの、こちらのママさんですか?

「美人かどうかは別にして(笑)、千世美です。よろしくお願いします」

千世美ママと乾杯したいので、飲み物をお願いします。僕はハイボールがいいなぁ。ママは?

「私はビールが好きなんだけど、年齢のせいかビールアレルギーになっちゃったんで、私もハイボールで」

ビールアレルギーって、あるんですか?

「病院に行って検査しても出ないんですけど、なぜか飲めなくなって」

それじゃ、かんぱーい!

奥にいるオッサンは上野健司さん。このお店は彼に紹介してもらったんですよ。上野さんは、以前、辰巳出版の『バズーカ』という雑誌の編集長で、僕はそこで連載させてもらってたんだよね。もう、15、6年前のことかな。今は別の出版社に勤務しているんだとか。つうことで、3人でかんぱーい!

「まずは、これ食べてて」と出されたのがこちら。

ほう、お通しですね。これぞスナックの王道ってかんじで、いいですな。

「そう、ナッツとチョコ。そして、ボトルコースのお客様にはもう一種類、お好きな料理を頼んでもらっているんですよ。前は2種類、決まったものを出していたんですけど、うちって2軒目で来られる方が多いんですよ。だから出しても召し上がらない方がいて、それで、今のようなスタイルになったんです。では、この中からどうぞ」

と、こちらを指さす。

あー、選べるお料理、いいですね。

ママ、このお店は長いんですか?

「そうね、31年目になりますね。始めたのは昭和59年。年がばれちゃうかしら(笑)」

このお店が開店したころってこのあたりはどんな場所だったんですか。

「終戦後このあたりから駅までは闇市があったんですよ、5年間ほど。そのあと整備されて、今のようになったんで、戦後70年でしょ、だから65年の歴史があるんで、うちなんかよりも古くからやっているお店もけっこうありますよ」

タバコが吸いたくなったので灰皿はあるかと聞いてみる。と、出てきたのがこちら。

おお、素敵なオリジナルの灰皿だ。

年代モノですな。

で、どういうことでお店を始めたんですか?

「もともと、自分でやりたい仕事があったんですが、ケガをしちゃって。その仕事を断念して、近所にあったスナックに働きに行ってみて、いいかな、儲かるかなって思ったんです(笑)。で、この場所を紹介してくれる人がいて、さっそくお店を開くことになったんですね。でも、ちょっと安易だったというか、人からは“よくこんなところでお店を始めたね”って言われましたよ。当時はまだこの辺ね、今と比べると怖かったですから」

しかし、なぜお店の名前が「パントマイム」なんですか。考えたのはママ?

「ええ、私が考えたんですけれど、なんでもよかったんですよ、ただね、『スナック千世美』にはしたくなかったってことなんですよ。今の時代なら、むしろそれでもいいと思うんですけど、当時はいやでした」

で、ママはパントマイムできるの?

「できません。それ、よく聞かれるんですけど、できないんです。友達がパントマイムをやってたんで、つけたってだけなんです」

じゃ、店名に深い意味はないんですね。

「そうなんです、ないんです、すみません。取材になんないわね、ハハハ」

なんだか明るくて気っ風のいいママだ。

「ママ、おしぼりないよ」と隣の上野さんが言う。

「あー、忘れてたぁ」とママ。

と、電子レンジでおしぼりをチンするママ。

「前は保温器があったんですが、いま壊れちゃったんでレンジです」

うわ、アーチチチ。

めちゃめちゃ熱いおしぼりだ。

顔拭いていいですか?

くーぅ、気持ちいい!

こうやっておしぼりで顔拭くと、スナックに来たってかんじだね。

ママ、このおしぼり、すごく気持ちがいいですね。

「そうそう、業者のおしぼりじゃなくて、私が家に持って帰って洗って干すんですよ」

ああ、それを聞くと、またいいかんじだ。

あ、「それから」っていう焼酎もらいましょうか。

水割りで。

この31年間って、いろいろなことがあったと思うんですけど、お店のピンチってありました?

「うーん、そりゃ、何度もありましたけど、それは世間様と同じですよね。まず、バブルがはじけて、それからリーマンショックに大震災でしょ。とくに震災のときは大変でしたね。だって、街も暗いし、お酒飲んでカラオケって気分じゃないしね」

そうかあ。これだけ長い間お店をやっていると、いろいろあったんだろうなあ。

ところでママ、そこの冷蔵庫は家庭的ですね。中を見せてもらってもいいですか。

へえ、なんかいいなぁ、冷蔵庫の中。

ところでママ、ここはママに怒られたいお客さんが来るので有名らしいですね。

「ああ、そういえばつい先日も、普段は有名な学者さんがいらっしゃって。まあ、たまにくるお客さんなんですけど、自分は普段はこんないい店に行っているんだ、なんて自慢話が延々と始まっちゃって。そのお客さんとその日たまたま2人きりだったので、学校じゃ偉いひとなんだろうけど、ここに来たらみんな平等なんだからね、みたいな厳しいことを言っちゃったんですよ」

「でもね、あとからちょっと反省したんですよ。いつも本音でお客さんに接しているけど、これでお客さんを1人無くしちゃったかなって。それが金曜日のことだったんですけど、次の月曜日に、そのお客さんが懲りずに『どもぉ』ってきているんですよ(笑)」

なんだか、ママに叱られたら余計にこの店にはまってしまうみたいな話だ。でも、千世美ママに怒られるのは、そんなに嫌なかんじがしない気がする。

ちなみに私の隣にいる上野さんも、いつも怒られてるみたいですけど。

「上野さんに怒るときは、もう、うちに来なくていいよって、けっこう厳しく言っちゃってますね。それも何回か(笑)」とママ。

「いや、僕が悪いんですよ。ちょっと悪い飲み方をしちゃったりすることもあるし……」と上野さん。たぶん上野さんやほかの常連さんも、千世美ママに叱られるのがきっとみんな心地いいんだろうと思う。ママには、そんな不思議な人間としての魅力があるのだ。

じゃ、「梅キュー&もろキュー」をもらおうかな。

ママの手がきれいですね。

「こうやって、氷水につけるんですよ」とママ。

そうそう、こういうちょっとした手間が料理を美味しくするんだよね。

「はい、出来上がりました」

おいしそう、いただきます。

おっと、これはおいしい!

ママ、焼酎おかわりください。

うまいなぁ。

簡単な料理だけど、おいしいですねぇ。これは31年間の重みを感じますね。いくつかのピンチを乗り越えて、ずいぶん稼がれたじゃないですか?(笑)

「でもね、お金を貯められない性格なんですよ……いろいろと散財しちゃうタイプなんですよね。ハハハ」

豪快だねぇ。

ママ、それじゃ、玉子焼きをもらいましょうか。

「甘いのとしょっぱいのとどちらがお好きですか?」

へえ、どっちも作ってくれるんだ。うーん、それじゃ、甘いのください。

なんだか慣れた手つきですねぇ。これまでどれだけ玉子焼きを焼いたことか。これはきっとおいしいはず。期待しちゃうね。

「料理は愛情込めて作りますよ」

とママ。少し口数が少なくなりますねぇ。

「甘いほうが大変なんですよ。焦げないように、そう、目が離せないんですよ」

「そうだ、ママ、青江美奈の『池袋の夜』のカラオケの映像に、この店出ているんでしょ」と上野さん。

「もう25年前くらいのものなんですけど、うちの店がチラッと出てくるんですよ」と説明してくれた。

と、さきほどやってこられたご常連の紳士が「歌いましょうか」とマイクを受け取った。

おお、25年前の「パントマイム」がチラッと出てくる。店中に歓声と拍手が沸き起こった。

うーん、これぞまさに「池袋の夜」だ。

スナックって、たのしいなあ。

ママの玉子焼きが完成。見た目も美しいですねぇ。

あー、ふわっふわの玉子焼きですね。こりゃうまい!

箸でつまむだけで、そのふわふわ感がわかる。

「そうそう、ママの若いころの写真がいいんですよ。すごい美人だったんですから」と上野さん。

「あ、もちろん今でもすごく素敵ですけどね。いまでも僕がママのこと、狙ってますから(笑)」と半ば本気でかぶせる上野さん。きっとこのお店が大好きなんだろう。

へえ、ママ見せてよ、と言うと、スマホをチェックさせてもらう。

「なんだかちょっと恥ずかしいわね」とママ。

うわあ、美人だ。

昔のママ、なんだかアイドルみたいだね。

「これがたぶん、10年くらい前の写真かな」

思わず、 facebookの「いいね!」を押しちゃいます。

じゃあママ、得意な歌をお願いします。

「それじゃぁ、中島みゆきの『糸』を歌いましょうか」

あの有名なイントロが流れる。

この曲を何度も何度も歌ってきたであろうママの歌声は、とても心に染み入る素晴らしい響きだった。

カラオケは苦手だけど、せっかくだから私も歌っちゃおう。

これこれ。

まさに、これぞスナックですなぁ。

なんだかすっごくたのしくなってきたぞ。

美人ママFile #006

池袋「パントマイム」千世美ママ

お店のモットーを教えてください。

「ウチに来てくれたお客様には明るく元気になって帰ってもらいたい、というのがモットーですね」

ママさんの好きな男性のタイプは?

「気はやさしくて力持ち。金太郎さんのような男性が好きですね」

自分の性格をひとことで言うと?

「男に生まれたほうが良かったような性格かな」

いちばんの得意料理はなんですか?

「これと言った得意料理はありませんが、憎たらしいお客にも愛情をこめて料理を作ります(笑)」

どんな言葉で口説かれたらドキッとしますか?

「好きなタイプの男性が言うセリフだったら、どんな言葉でもOKです」

『メシ通』の読者にひとことお願いします!

「おひとりでも気軽に覗いてみてくださーい!」

ママ、ごちそうさま、またくるね。

「はい、東京オリンピックまでは頑張りますよ」

と大きく手を振ってくれた。

お店情報

スナック パントマイム

住所:東京都豊島区東池袋1-23-4 美久仁小路

電話番号:03-3971-5638

営業時間:19:30~25:00

定休日:日曜・祝日

写真:平山訓生


書いた人:

下関マグロ

(しものせき・まぐろ)1958年生まれ。山口県出身。出版社、編集プロダクションを経てフリーライターへ。『東京アンダーグラウンドパーティー』(二見書房)、『歩考力』(ナショナル出版)『まな板の上のマグロ』(幻冬舎)など著書多数。

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