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企業が労働移動支援助成金を悪用?

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 雇用を守るための助成金が、人材会社のビジネスの道具になっている可能性があるという報道がされました。雇用調整の手段として、退職勧奨を行い、退職勧奨で退職した人について労働移動支援助成金(再就職支援奨励金)を受け取っており、その手法について人材会社がノウハウを提供しているとみられるという内容です。
 今回は、この労働移動支援助成金とはどういうものなのか、見てみたいと思います。

 労働移動支援助成金とは、雇用対策法高年齢者等の雇用の安定等に関する法律に基づき、事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者に対して、その再就職を実現するための支援を民間の人材会社に委託して行う事業者に対して支給される助成金です。
 すなわち、社員を転職させる企業に対して国が支援金を出すという制度、といえます。

 以前から制度はありましたが、日本再興戦略の「失業なき労働移動」を実現するために、平成26年3月からその対象が拡充されました。
 拡充以前は、基本的に中小企業向けで、人材会社に支払う転職支援費用の半額が助成されるというものであったのに対し、拡充以後は、大会社も対象となり、また費用の3分の2までが助成されることになりました。
 助成のタイミングについても、以前は転職が実現した時だけが対象であったのに対し、支援を委託した段階での受け取りが可能となりました。

 この制度の目的は、業績が伸び悩んでいる産業において人員整理を行い、他の業績が好調な産業への転身を促すものと言われており、目的としては合理的であり、人々の役に立つものであると思われます。
 しかしながら、この制度については、リストラ支援であるという批判も少なくありません。また、再就職活動の結果が出なくとも、人材会社に再就職支援を委託した段階で、結果が出なくとも手付金として10万円を支払うことになっているシステムは、人材会社が潤うだけのものである、という批判も出されています。

 今回問題となったのは、人材会社が関与して、人材削減の手法を提案し、退職者の再就職支援については同じ人材会社が引き受けて、助成金が流れているという一連の流れがあることについてです。
 利益が人材会社に入ることによって、必要以上のリストラが誘発されかねない状況と言われています。

 制度の目的自体は決して悪いものではありませんが、本当に救われなければならない人が救われず、企業や人材会社だけが潤うような濫用的な使われ方は決して許されるものではありません。

 厚生労働省は要件の厳格化を検討しているとのことですが、要件だけでなく、人材会社が関与してリストラが誘発されていないかについても常に監視をし、そのようなことが発覚すれば厳しい措置をとることも視野にいれるべきではないでしょうか。

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企業が労働移動支援助成金を悪用?

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