真冬の北海道でも半袖・短パンを貫く 「男は生きざま」な店主が作るフレッシュカレー
キラリと輝くおもしろいお店が大好きで、北海道を拠点に食べ歩いています、メシ通レポーターの裸電球です。
今回ご紹介するのは、筋肉ムキムキの店主が営むクレイジースパイスというお店。まるで筋トレをしているかのように時間をかけて炒める玉ねぎの使用量は、年間なんと3.8トン!「男は生きざま」と語る店主の容姿からは想像もつかないフルーティーでフレッシュなカレーが登場します。
現役のプロ野球選手も足繁く通うという、知る人ぞ知るお店です。
コンセプトは片田舎のボールパーク
旭山動物園の爆発的なヒットで一躍有名になった旭川市。噂のカレー屋さん店主は、一年中Tシャツ一枚で営業しているそうです。
日本の最低気温−41度を叩き出したのもここ旭川市。濡れたタオルを振り回すとアッという間にカッチコチになる真冬でも、半袖・短パンにこだわっているそうです。これはおもしろそうなニオイがプンプンするではありませんか!
思っていたよりもキレイで立派な外観がお出迎え。その名も「クレイジー・スパイス」。筋肉ムキムキの店主と聞いていたので、「道場」のような場所を勝手に想像していましたが、ビシッとクールな佇まいのお店です。
入り口にはお店のスローガンが掲げられています。日本語にすると「お前はガッツリいくの?それともお家へ帰るの?」といったところでしょうか。なんとも体育会系なエントランスです。
まるで野球のダッグアウトのような通路を発見。勇気を出して潜入します!
ガチャ、こんにちは〜。
最初に目に飛び込んでくるのがこの謎の部屋。鍵がかかっていて入れません。なんだここ! 面白いぞ!
なるほど、お店は2階にあるようです。
アメリカンでポップな飾り付け、それにイラスト。もしかして、すごくいい雰囲気のお店じゃないですか。
壁には野球のユニフォームが飾られています。なるほど、半袖とはもしかして、ユニフォームを着て営業しているということでしょうか。
いらっしゃいませ! と元気に迎えてくださった店主の斉藤さん。
はい、予想は外れました。ユニフォームではなく、筋肉ムキムキのTシャツ姿。一瞬でもスポーツバーのマスターを想像した私は撃沈です。胸には「男は生きざま」とプリントされています。
力こぶがすごいです。こんもり!
「コンセプトは片田舎のボールパークなんです」
なるほど、確かに! やっぱり野球と密接な関係のあるお店のようです。
店内にホームベースまで見つけました。原寸大なんですって。お店の入り口はダッグアウト、すぐに目に飛び込んできた「謎のフェンス」は選手のロッカールームをイメージしているそう。
そして階段をあがった先にあるのが、このホームベース。まもなく試合開始です!
見た目と違ってヘルシーなカレーの数々
ルーカレーのラインナップです。今回は「半熟オムのチーズカレー」800円をオーダー。カレーが完成するまで、再び店内を見て回ります。
すごい! テーブルがボールではありませんか! 硬球に使う革と同じ素材を使って再現したというこだわりです。そこに有名選手のサインが書かれています。
他にもファンならヨダレもののレアな野球グッズが展示されています。まさか、先ほどの「男は生きざま」の店主が元・プロ野球選手とか、そういう類のお店なのでしょうか。
野球ファンが集う店は数々あれど、ここはなんと「プロ野球選手」が通うお店だというのです。聞くと、日本人メジャーリーガーや外国人野球監督の通訳を務めていた方が、店員として働いていたそう。そんな縁で、超有名選手たちの憩いの場となり、さらに大先輩を慕う現役のプロ野球選手たちが、旭川市でのゲームのたびに通っているということなのです。
店内を散策していると、オムカレーが登場です。ご飯をふんわり卵が包み、ドロっとしたルーが囲んでいます。
フルーティーでフレッシュ。驚くほどにあっさりしていて、これまで食べたことのないルーカレーです。店主がスポーツインストラクターだった経験から、徹底的にラードをカットしたカレーとのこと。
食べた後に胃もたれすることがないと、女性や年配の方のファンも多いそうです。
こちらは「若鶏の野菜カレー」 800円。若鶏はもも肉を使用し、脂身をとってボイルしたあとに味付けをしているそう。さらにご飯は北海道最高ランクの「ななつぼし」を契約農家から仕入れているそうです。
どうりで美味しいわけですね。
店主斎藤さんに聞いてみた!
ムキムキの店主が作っているのが信じられないほどに繊細な味わいです。もう気になってしょうがないので、思い切って聞いてみました。
──元・プロ野球選手ですか?
「違います」
──それでは、もともと何をされていたのですか?
「スポーツインストラクターです」
──Tシャツの言葉はどういう意味ですか?
「そのものズバリです」
なるほど、もう少しだけ聞かせてください!
──何枚くらい持っていますか?
「年に数回、7枚作ってローテーションです」
──冬は寒くないんですか?
「寒くて寒くて死にそうです」
知り合いのいない旭川でお店を始めたときに、少しでも覚えてもらおうと、マイナス20度以下の極寒でもTシャツに短パンで出前を始めたそうです。まさに「気合」。
このスタイルが周知された今でも、生きざまとして貫いているのだとか。真冬は痛いほど寒いようで、なんだかウルっときます。
ちなみに、1階の開かずの間は期待通り「筋トレ専用ルーム」でした。
60キロのダンベルを軽々とあげる斉藤さん。カレー屋さんにいることを忘れてしまいそうです。時間があるときはひたすら身体を鍛えます。
仕込みもまさに「筋トレ」です。40キロの玉ねぎを12キロになるまで炒めます。年間の玉ねぎ使用量は3.8トン! まさにクレイジー!
さいごに
ということで、半袖ムキムキ店主が手がけるのは、「食べた後の責任も店にある」という考えのもとに作られるヘルシーなこだわりカレーでした。これはまさにスポーツインストラクターという経歴から生まれたカレーと言えるでしょう。
ひとつひとつの食材を吟味し、最高に美味しいものを作りたいという姿勢には、並々ならぬストイックさを感じます。
ちなみに最高にかっこいいお店のローンは……75歳くらいまで働いて、ようやく返せるそうです。死ぬまで現役。まさに男は生きざまなお店でした!
お店情報
クレイジー・スパイス
住所:〒070-0823 北海道旭川市緑町19丁目
電話番号:0166-55-9014(ゴーゴークレイジー)
営業時間:[平日]11:30~15:30,17:30~21:00(LO 20:30) [土日祝]11:30~21:00(LO 20:30)
定休日:水曜日(水曜日が祝祭日の場合は営業・翌日振替休業)
書いた人:
裸電球
北海道を拠点に食べ歩き。CATVでグルメ番組のレポーターを担当したことをきっかけに、ハシゴ酒が趣味となる。入りづらいお店に突撃するのが大好き。現在はフリーで、映像制作とライターの仕事をしている。 Twitter:@hadaka_denkyu ブログ:「裸電球ぶら下げて」
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