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新幹線開業で勃発する「函館ホテル戦争」の期待と不安

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 北海道初の乗り入れとなる新幹線開業(3月26日)まで1か月強と迫っているが、北の玄関口となる函館周辺では、観光客の大幅増加を見込んだホテルの新規開業計画や改装が目白押しで、顧客争奪戦が激化しそうだ。

 函館港に面する人気のベイエリア地区では、「センチュリーロイヤルホテル(札幌)」を運営する札幌国際観光が2017年のオープンを目指して200室規模のリゾートホテルを建設予定。またJR函館駅前の市有地では大和ハウス工業がホテルと物販の複合施設の建設を提案しているほか、新幹線駅の新函館北斗駅前でも、地元経済界がホテルやレストランの入る施設をつくる計画となっている。

 既存ホテルのリニューアルも着々と進んでいる。リーマン・ショックなどの影響で閉鎖されていた函館市内のホテルを買い取ったWBFリゾートは、2014年に「函館グランドホテル」、2015年7月に「函館グランドホテル別館 ラ・ジョリー元町」を次々オープン。会議室や展示場などのコンベンションを備える「函館国際ホテル」もおよそ3億円を投じて客室を大改装した。

 注目ホテルはまだある。ホテル評論家の瀧澤信秋氏は、〈サービス拡充〉〈周辺余波〉というキーワードで2棟のホテル名を挙げる。

「口コミサイトなどで“朝食のおいしいホテル”としての人気が定着している『ラビスタ函館ベイ』は食事だけでなくサービス全般の拡充に力を入れています。

 また、新幹線駅からは少し距離がありますが、人気リゾート地として知られる大沼公園周辺では、ホテル営業が一旦休止されていた『クロフォード・イン大沼』が新幹線開業に合わせてリニューアルオープンする予定です」

 さらに、湯の川温泉地区の旅館改装も急ピッチで行なわれている。オリックスグループのオリックス不動産が観光ホテル「ホテル万惣」を買収して全面改装をしているのはその一例だ。

 その他、「東横イン」「ルートイン」「スーパーホテル」など全国チェーンのビジネスホテルも鎬を削る中、函館ホテル戦争は“新幹線特需”の奪い合いの様相を呈してきた。

 しかし、不安要素も多いと指摘するのは、前出の瀧澤氏だ。

「函館は『さっぽろ雪まつり』のような注目イベントが少なく、ホテル業界も夏の繁忙期と冬の閑散期の稼働率の差に苦しめられてきました。昨年は中国の航空会社が相次いで函館との定期路線就航を果たしたおかげで中国人観光客に救われましたが、インバウンド効果はいつまで続くか分かりません。

 もちろん、新幹線の開業に伴って本州からの観光客も集中するでしょう。しばらくはホテルの予約が取れないほど盛況になるのは確実ですが、北陸新幹線が開業した金沢などと比較すると、どうも街の話題性が少ないことが気になります。

 ホテルは観光地の人気を如実にあらわします。そういう意味では、北海道新幹線の開業によって函館の実力が試されるといってもいいでしょう」(瀧澤氏)

 いま、函館の観光業界は、単に施設や名所を巡る「見る」観光だけでなく、体験型プランなどを組み込んだ「する」観光を前面に掲げ始めている。ホテル業界も同様、リピーターを増やす集客策を練らなければ、いくら立派な施設を築いても一時的な新幹線効果で終わってしまうだろう。

●写真提供/瀧澤信秋


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