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認知症介護を「楽しい!」と感じるのはどんな時?介護経験者100名に聞きました

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メディアでは辛いことがフォーカスされやすい認知症の介護。認知症ONLINEでは介護における「面白さ」や「楽しさ」についてフォーカスし、認知症介護経験者100名にアンケート調査を実施いたしました。

問1.認知症介護を「楽しい」と感じたことはありますか?


「楽しい」「面白い」と感じたことが「ある」が88.0%、「ない」が12.0%という回答でした。認知症介護経験者の9割近くが「楽しい」「面白い」その面白さをと感じたことがあるという結果になりました。
(※「ある」と答えた方の属性内訳:介護福祉職72%、介護家族20%、無回答8%)

問2.どんな時に楽しさや面白さを感じますか?


トップは、「本人と信頼関係を築けた時」(67.0%)。最初は症状が落ち着かなかった人が日に日に穏やかになる、 あるときから「ありがとう」等の感謝の言葉をかけられるようになる等、信頼関係の構築に面白さを感じる、という意見です。

続く2位は、「予想外の言動に遭遇した時」(64.0%)。次の行動やを予想できない、予想を超えるリアクションが返ってきた等、認知症特有の現象に面白さを感じる、という意見も目立ちました。そして3位は、「本人の理解を深められた時」(42.0%)。今まで気づかなかったご本人の一面を知った、素の部分を知った時に面白さを感じる、という内容です。

一方で、「専門知識が身につく時」(21.0%)や「介護技術を高められた時」(17.0%)という意見は比較的少数派で、知識や技術よりも人と人との関わりを通した面白さが上位を占めていることが特徴的でした。

自由回答で寄せられたコメントの一部をご紹介します。

■表情の乏しい利用者さまに、声をかけ手を握らせていただき、温もりを伝えあった時、パッと表情が明るくなり笑顔を見せてくださる瞬間は、なんとも言えず幸せを感じます。 (45~49歳/特養 介護士、女性)

■ほとんどは悲しい事でしたが、母が「今が一番幸せ」と言ってくれた事が未だに思い出されます。(40~44歳/女性)

■面白い発言、発想、解釈が聞けた時は抱腹絶倒。(40~44歳/女性)

■身につけた知識や技術を活用し、何度も何度もコミュニケーションを図り、その方の不安、好きなこと、生活歴や反応するキーワード等の情報を得た上で、更に深いコミュニケーションが図れたとき。 その繰り返しで得ることのできた信頼関係。(30~34歳/男性)

■ありのまま、自分の命を全力で生きておられるお年寄りの方と関われることはとても楽しく、わたし自身の心の奥底にあるものに訴えかけてくるものがあります。 最期の大切な時間を共に過ごさせていただけることへの喜びも大きいです。(35~39歳/女性)

問3.認知症介護をしていて「面白い」「楽しい」と感じた具体的なエピソードを教えてください。

たくさんのエピソードが寄せられました。いただいたご意見の中から、厳選して10個のエピソードをご紹介します。

■知らなかった父の新しい一面と出会えた
父の故郷は開発により埋め立てられてしまった漁村。35歳で陸に上がった父を、42年ぶりに船釣りに連れ出した。 難聴がひどく会話やコミュニケーションもうまくいかないが、名人でも釣れないコンディションでも2匹釣り上げ、記憶もクリアに。 真冬でも風邪もひかず、楽しんでくれた。 認知症にならなければ、実現しなかった。内向的な父の新たな一面をたくさん見せてもらっている。(40~44歳/女性)

■めくるめく認知症ワールドが奥深い
ショートステイに入所されたときに、ご本人の中では、ロシアから今やって来た事になっていて、認知症の方のワールドっておもしろいなぁ!と思いました。 同僚から聞いた話。明け方、キャーという声に訪室すると、あるご利用者が他ご利用者の寝ている所へ行き、足を引っ張っていたそうな。どうしてか尋ねると、大根収穫して出荷せんといけん!でも、細い大根ばかり…と嘆いていらっしゃったそうで…大爆笑してしまいました。(40~44歳、女性)

■病気自体が、不思議で面白い
病気自体が、不思議で面白い。(レビー小体型認知症) 介護を通じて親と深いつながりを感じられ、長年の心のわだかまりが消えていった。 薬の副作用で急激に悪化して大変だった時以外は、一緒に笑いあうことが多かったし、教えられることが多かった。 人生についての哲学的な発言も多く、親の素晴らしさをあらためて発見した。(50~54歳/女性)

■チャーミングな妄想行動で大笑い
女性介護員が夜勤の時、「隣の部屋のワルが女の人にイタズラをしに行くから、巡回してるんだ」と真顔で言って、夜中に帽子を被り、サングラスをかけて、両手にスキーのストックを持って歩き回る爺さんには、心底笑わせて貰いました。(40~44歳、女性)

■今日は何が起こるのか楽しみ
認知症介護を14年してますが、毎日の表情、行動が変わる、今日は何が起こるのか、楽しみです。また、コミュニケーションでは、否定はせず、会話をしていると、硬い表情から優しい表情へかわり落ち着いていかれるのには、介護して側としても楽しいです。最近は、経験で得た引き出しを上手く使いながら、コミュニケーションがはかれ、ケアも出来ています。(35~39歳/男性)

■本来の優しさが見えた
普段は 口が悪くて 介護も拒否されて 暴れる利用者さんが ある日 いつものように バタバタと仕事していると ちょっと アンタ そんなにバタバタして 疲れたやろう ここに来て座り 休憩しよし と言ってくれた時 凄く嬉しかったですね(50~54歳/女性)

■飾らない人間の本質を垣間見た
例えば、小さい子供を見たとき、美味しいものを食べた時の母の笑顔。(45~49歳、女性)

■症状が進行しても残っている父の癖
アルツハイマーになる前から父は嫌となると口からあれこれポンポン言って逃れ様とします。それが重度のアルツハイマーでも残っていて問答になってこちらも頭を使いますが、同時に面白く思います。(40~44歳、女性)

■認知症のおかげで戦争体験の苦しみから解放された
戦争体験をした祖母は旦那や子どもを亡くした、辛いことの多かった人生でしたが、認知症により、その事実を忘れ、私の兄を子ども(私達の叔父)と最期まで勘違いしていました。 でも、それは幸せそうでした。 辛いことを辛いまま生きていく必要はないと思います。 認知症により、祖母の忘れがたかった痛みが救われたなら、私は認知症によって祖母は苦しみから解放されたと感じています。(35~39歳/女性)

■ドラマを見ているみたい
その人の人生や経験やいろいろな感情を聞いたとき、凄く楽しいと思います。 なんでそんなことするんだろうとか、なんでそんなこと言うんだろうっていうことが、会話から分かったとき。 ドラマ見ているみたいで、凄く楽しいし、いろいろな経験を聞けて人のすごさを感じる。(45~49歳、女性)

まとめ

今回のアンケートでは、認知症介護について、記事で紹介しきれないほどたくさんの「面白い」「楽しい」エピソードをいただきました。障害があるからこそ見えてくる本来の人間性や、新しく構築できる人間関係、病気やご本人を理解していく達成感など、多くの発見がありました。

もちろん、認知症の介護は楽しいことばかりではありません。特に介護中のご家族は、身近なだけに本人の変化を受け入れられなかったり、感情が先行して葛藤する場面も多くあります。「仕事であれば優しくできるけれど、身内にはできない」と、苦しんでいる方は大勢います。

一方で、認知症介護を楽しんでいる方も沢山います。辛くて苦しい面ばかりでなく、「楽しい」「面白い」と思えるポジティブな面にも積極的に目を向けることで、介護と前向きに向き合え、ご本人の穏やかな暮らしにも繋がるのではないでしょうか。

今回アンケートにご協力頂いた多くの皆さま、誠にありがとうございました。

【アンケート調査概要】
・調査期間:2016年2月12日(金)~2月14日(日)
・調査対象:認知症の介護経験を持つ全国20代~60代の男女100名(対象:認知症ONLINEの読者)
・年齡割合:20代 7%、30代 15%、40代 48%、50代 22%、60代 6%、70代 2%
・男女割合:女性80%・男性20%

認知症オンライン
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