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第46回 接見をめぐる問題(その1)

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 前に留置場で手紙を書くときのルールだとか靴下をはいてはいけないルール等々を紹介したが、接見についても首をかしげたくなるようなことがあった。

 被疑者・被告人には無罪の推定が働いているから、できる限り一般の人と同様の扱いがされなければならない。だから、誰とでも面会をし、物の授受をすることができる権利がある。これを接見交通権という。
 しかし、身柄拘束の根拠は罪証隠滅の防止と逃亡の防止にあるから、それらのおそれがある場合には接見交通権も制限を受ける。
 それでも、弁護人と弁護人となろうとする者との間での接見交通権は、被疑者被告人の防御のために制限することは許されていない。

 私の場合、罪を犯していないのであるから証拠の隠滅もしないし逃亡などもするつもりはない。でもそれは主観的に私がそう思っているだけで、客観的ではないから当然のごとく接見禁止処分がついた。

 私の父は裁判官を定年で辞めた後弁護士をしている。その父が弁護人になろうとする資格で私との接見を申し込んだ。
 留置係官は父には何も言わなかったようであるが、接見を知らせに来た係官が私に対して「接見禁止がついているよな。弁護士資格で接見に来ているけど父親だよな。接見はダメなんじゃないの」と言ってきた。
 「弁護人になろうとする者の資格で来ていますから何の問題もありません」と答えたが、かなり渋っていた。そもそも、接見の可否は、私にではなく接見に来た父と話し合うべき事柄であって、私にいろいろと言うべきことではないだろう。

 最終的には「私的な会話はしないように」という訳のわからない制限をつけられての接見となった。
 そもそも弁護人らとの接見交通権は立会人の存在しない秘密交通権であるから、接見内容を係官が聞くことなどできないし、もし聞いたら大問題となる。だから、私的会話をするなという制限などまったくの無意味なのである。
 仮にその制限に私が違反して私的な会話をしたとしても、彼らとしては、法に反して盗み聞きしました、その結果私的な会話をしていたことが判明しましたと主張するしかなく、ありえないことなのである。

 接見禁止は、接見だけでなく、物の授受についての禁止も含んでいる。その物の授受について、一つ面白いことがあった。私もまったく知らなかったことである。
 留置場に入って2~3日後だろうか、妻から写真が送られてきた。妻は知人の弁護士から接見禁止について聞いていたのだが、手紙ではなく写真ならいいだろうと考えて、愛猫も含めた家族写真を送ってきたのだ。

 もちろん接見禁止処分を受けている私の手元には入ってこない。留置係官が写真を持ってきて、同情なのか確認なのかは知らないが、「ちょっとだけ」と言って私に何枚かの写真を見せてくれた。そしてそのまま写真は領置処分となり、他の私物と共に保管された。

 私は、その後拘置所に移るのだが、当然ながら写真を含む私物のすべてを持って拘置所に向かうことになる。ところが、拘置所ではその写真を居室内に持ち込むことができたのだ。
 えっ!いいの?なぜなの?と思いきや、拘置所を基準とすれば、その写真は既に私自身が持っていたもので、外部から入ってきたものではなく、外部との物の授受を禁止する接見禁止処分に抵触することはないというのだ。
 手紙だったらどうなるのだろうか?今の理屈でいえば大丈夫ということになる。いずれにしても留置場と拘置所の連続性はなく、法をかいくぐることも可能となってしまう結果となる。私としてはうれしかったが疑問の残る処置であった。(つづく)

元記事

第46回 接見をめぐる問題(その1)

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