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文化の数だけ常識がある − 日本を出てから気付いたこと

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Photo credit: Takenobu Matsuo「インドネシア・シンガポール一人旅

こんにちは、TRiPORTライターのSeinaです。
私は現在家族とシンガポールで暮らしています。様々な用事で日本とシンガポールを行き来することが多く、その分お互いの「常識の違い」に驚くことも多くあります。特に私が違いを強く感じるのは、片付けの習慣に対する考え方です。

フードコートにて

東南アジアの多くの国では様々なスタイルのフードコートがあります。いろいろなものをお手頃価格で食べられる、とても楽しい場所です。シンガポールでは「ホーカーズ」と呼ばれており、様々なところにあります。日本のレストランのようにキレイではない場所も多いので、敬遠する観光客もいますが、とてもおいしいお店も多いので、私はよく訪れます。

ここで飲食していると、日本人なら誰でも気になることがあります。それは、飲み食いした状態を片付けない人が多いことです。食べ終わったあと、日本人なら食器を持ってうろうろしてしまいますが、現地で生活している人はそのまま置いていきます。

では誰が片付けるのでしょうか? ここには片付ける係の人がいるのです。彼らは順番に席をまわり、食事が終わったころを見計らって食器を片付けていきます。ぼやぼやしてると食べている途中でお皿をもっていかれてしまうことも…。

Photo credit: Seina Morisako「Foods in Singapore

片付けるべきか、片付けないべきか

片付けに対する考え方というのは実に様々です。シンガポールで過ごしていた冬休みのある日(気温32度でも冬休みです!)、息子が所属しているサッカークラブの練習を見学しました。3時間の練習の間の休憩時間には、コーチが子供たちのためにスナックなどのお菓子を用意してくれていました。

おとなしく食べればいいのですがそれができないのが子供というもので、彼らは遊びながら食べていました。その流れで息子がスナックを床に落としてしまったので、私は息子に「何やってるの!片付けなさい!」と、すぐに注意。そしてしぶしぶ片付け始めた息子に向かって、インド人のチームメイトがこう言ったのです。

「何やってるの? そういうのは僕たちがやるべきことじゃないでしょう」

文化の数だけ常識がある

インド人のチームメイトの意見は、すごく理解できます。なぜならインドでは「後片付けは、それを仕事とする人が行う」のが常識だから。なのでインド人の彼が、息子の行動に対して「自分で片付けをするのはおかしい」と思うのは当然です。

私はこの場面で、「食べて自分が汚したら自分で片付けるのが常識」と思いました。それが日本で生活していた私の「常識」だからです。しかしここはシンガポール。現在多くの国から来た人たちが共存して生活しています。ここでは私の常識である「食べて自分が汚したら自分で片付ける」ということが、私“だけ”の考える常識にすぎないと気づきました。多様性が当たり前の世界ではその人のアイデンティティ、文化の数だけ常識があるです。

ちなみにインド人のチームメイトは私が「日本スタイルは自分で散らかしたら自分で片付けるのよ」と話したら「そうなんだ!」と納得してくれました。息子は「なぜ恥をかかせるのか」と私に怒ってきましたが、チームメイト全員が「君の国では汚した人が片付けるんでしょ」と納得してくれたので、誰も揶揄しすることはなかったのです。

筆者撮影

私は日本で生活していたときから周囲の「◯◯が常識」「みんなやっているから◯◯すべき」という指摘に強い憤りを感じることもありました。でも今、日本を離れて気付いたことがあります。私が憤りを感じていたのは「◯◯すべき」指摘内容ではなく「多様性を認めない姿勢」なのだなとわかったのです。

多くの人が旅に出て、そして多くの驚き、憤りを感じると思います。その憤りの根源は「こうすべきなのにどうしてしてくれないの?」という自分の中の常識から湧き上がる怒りです。異国の地で憤りに出会ったときは逆にチャンス。「自分の常識」と「自分じゃない人の常識」を並べてみましょう。そうすれば、もうそこに意味のない怒りは存在しません。そして自分の中の世界がまた一つ広くなっていきます。

大きな違いに出会ったとき、新しい常識の発見を喜んでみてはいかがでしょうか。視点を変えてみるというちょっとしたことで新しい世界が自分の中に生まれることでしょう。

ライター:Seina Morisako
Photo by: Takenobu Matsuo「インドネシア・シンガポール一人旅

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