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なぜ日本にシェア文化が根付かないのか?カギは日本人の「古い意識」にあった

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なぜ日本にシェア文化が根付かないのか?カギは日本人の「古い意識」にあった

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安藤 美冬

フリーランサー/コラムニスト
1980年生まれ、東京育ち。雑誌『DRESS』の「女のための女の内閣」働き方担当相、越後妻有アートトリエンナーレオフィシャルサポーターなどを務めるなど、幅広く活動中。これまで世界54ヶ国を旅した経験を生かし、海外取材、内閣府「世界青年の船」ファシリテーター、ピースボート水先案内人なども行う。『情熱大陸』などメディア出演多数。著書に『冒険に出よう』、『20代のうちにやりたいこと手帳』、新刊に『会社を辞めても辞めなくてもどこでも稼げる仕事術』などがある。
公式サイト:http://andomifuyu.com/

旅行者が現地の人から使っていない部屋や空き家を借りることのできるサービス「Airbnb(エアビーアンドビー)」。知らない人を家にあげることに抵抗を示す人もいる一方、空きスペースの有効活用として、あるいは新しい国際交流の形として、日本でも少しずつ利用者を増やし、認知度を深めてきました。

今回は、Airbnbを使って世界を旅し、独自のノマドライフを送る安藤美冬氏に、日本におけるシェア文化の可能性について話を伺いました。なかなか広がっていかない理由には、日本独特の「住まいの価値観」が関係しているのだとか…?

日本人の平均引越回数は6回
アメリカ人は…17回!

ーー日本と欧米では、住まいの価値観が違うと聞きました。

安藤 そうなんです。日本人の平均引っ越し回数は、生涯で6回。それに対してアメリカは、なんと17回!アメリカでは家具家電付きのサービスアパートメントが多く、気軽に引っ越しできる環境なので単純に比較はできませんが、実に3倍もの差があるのは驚きです。

引っ越しが多くなるということは、自分に最適化した住まいを、ライフステージごとに考えなければなりません。一部の人は、買った家をその都度売りながら転々とするかもしれませんが、日本の場合は買った家に一生住む人も多いんじゃないでしょうか。住まいに関して、欧米と日本では価値観が全く違うことがわかります。

年15万戸の新築マンションが
Airbnb流行の足かせに

ーー不動産事情の違いも関係しているんでしょうか?

安藤 Airbnbやカウチサーフィンのような「場所をシェア」するサービスが、アメリカを中心に流行っています。ニューヨークやパリのような東京と並ぶ大都市では、住める場所が限られていることから、新しい物件を建てるよりも今あるものを修復して大事に使おうという文化がとても強いそう。こういった不動産事情も後押ししているんでしょうね。

日本は新築の数が多く、アメリカの10倍、フランスの200倍にもなるそうです。毎年15万戸の新築が建てられていて、もう飽和状態。しかも一人暮らし用の住まいが多いのは異様な光景に映るみたいですね。使われなくなった人気のない部屋がたくさん余っていて、それを何とかしたいという対症療法的な盛り上がり方をしているのが、日本における「場所のシェア」です。シェアに至るまでの流れがまったく違うことがわかるんじゃないでしょうか。

キレイなことばかりじゃない
「ルームシェア」のリアル

ーー安藤さんは、今までに様々な住まい方を経験してきたと聞いています。海外の方とのルームシェアで何か感じたことはありますか?

安藤 私がこれまで11回引っ越ししてきた中には、実家住まいもあればオランダ留学のときのルームシェアもあり、初めての一人暮らしでアパート住まいだったときもあります。自宅と事務所を兼ねた倉庫暮らし経験もあります。そんな様々な住まいの経験から思うのは、外国人とのルームシェアやシェアハウス暮らしって、東京に単独で住むような「個」で暮らす生き方では得られないことがたくさんあったんです。

もちろん良いことばかりではないですよ。シェアはつながりや絆といった流行りの言葉で語られることが多いですが、現実はアメリカの青春ドラマのようにキレイなことばかりではありません。

冷蔵庫に入れておいた食べ物が勝手に食べられていたり、調味料の分量が減っていたり、高めの化粧品をルームメイトが勝手に使っていたり、朝急いでいるのにシャワールームが占領されていてなかなか家を出られず遅刻するなど、いくらでもトラブルはありました。でも生活のちょっとした譲り合いや諍い、面倒臭さを20代のうちに経験しておいて良かったなと思っています。昔のように大家族で同じテレビ番組を観るようなことって、なかなかできないですから。

「心配が先に立つ」と
新しい文化は根付かない

ーー日本は、新しいことを始めようとする人が出てくると、すぐに規制しようとする傾向がありますよね。

安藤 日本はシェアの制度に関して法整備を整えようとするのではなく、潰そうとする圧力を強く感じます。旅館業法的にグレーな部分も多いですし現状はコソコソやらざるを得ないところがあるのは事実ですが、私はどうせならオープンにやりたいですね。

というのも、欧米が育んできた「場所をシェア」することの楽しさや喜び、おもてなしの心を共有したいからであって、副業で稼ぎたいとか部屋が余っているからやりたいわけではないんです。根底にはシェア生活に慣れ親しんできた彼らのホスピタリティがあると思うんですよ。その理念に賛同したからには、クローズでコソコソやるのは何か違うんじゃないかって思ったんです。

ただ、理想を高く持つと使える物件が見つからないのも事実。オーナーも不動産仲介業者もリスクを恐れてやりたがらないんですね。家は「生きもの」ですから絶対にクレームが出ないなんてことはありえません。場所のシェアに関して一番ネックになる部分が「心配が先に立つ」ことなんじゃないでしょうか。まずは始めてみて、問題が起きたら後でトラブルシューティングするような、アメリカのアントレプレナーシップ文化が日本にないことも関係している気がします。

シェア文化の定着を邪魔する
日本人の「古い意識」

ーー問題が起こる前に、不安の種を摘んでおく、というわけですね。既存の法律を当てはめて、目が出る前に潰してしまうこともあるかと思います。

安藤 もちろん法律は守らなければなりませんが、何十年と変わっていない古い法律は、果たして現在に合っているのかを考えなければならないと思います。

私がシェアオフィスを借りていたときに、ある一定の世代の人がよく言っていたのは、「お金がなくてオフィスを借りられないからシェアしているんでしょ?」という言葉。シェアオフィスでいろんなところから出たアイデアがコラボし、新しいサービスが生まれることに意識が及んでいないんですよ。別にそれがダメというわけではないんですが、「お金がないから」という理由だけでシェアオフィスが選ばれると、本来この仕組みが持つ効用を発揮できないと思います。

海外ドラマの「SEX AND THE CITY」にも出てきた、服やカバンを月額数千円で借り放題になるシェアクローゼットという新しいシェアサービスが日本でも始まりました。欧米では服装のオンオフを切り替えるパーティ文化が根付いていて、それに紐付いたサービスとしてシェアクローゼットが生まれたんですね。日本にはそういった土壌がないのでスムーズにはいかないと思いますが、「中古品を使いまわすのってダサくない?」という古い意識が邪魔しなければ、日本でも受け入れられるかもしれません。

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