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植田真梨恵、東京キネマ倶楽部にてピアノワンマンツアーが終幕

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2016年1月16日、故郷・福岡よりスタートした「植田真梨恵Live of Lazward Piano "Old-fashioned."」。植田とサポートピアノ西村広文の二人だけで回るこのライブツアーは、2013年より毎年新年のこの時期に開催され、今年で四度目の開催となる。追加公演を合わせると7都市10公演という、植田真梨恵史上最大規模で行われた2016年のピアノワンマンツアーは、追加公演である横浜公演を残し、2月13日に完売の東京キネマ倶楽部にて最終日を迎えた。

静かに流れるチェロの音がフェイドアウトし、植田の登場を待ち構え静まり返る客席に、打ち寄せる波の音が深く響きだす。深い海に包み込まれるかのような感覚の中、ステージに登場した植田の姿に大きな拍手が沸き起こった。真暗なステージに、きらきらとしながらもどこか懐かしいようなピアノの音色が流れ出す。

Lazward Pianoツアーの一曲目を飾るのは「さよならのかわりに記憶を消した」。物語を紡ぐような切なく悲しいバラードで観客をぐっと引き込むと、続く「優しい悪魔」では優しく噛み付くように、そっと各々の心に痕を残してゆく。

MCを挟み、ライブでの演奏が稀な「流れ星」でより深く痕跡を残したかと思うと、「1234!」の掛け声とともに、アコギとピアノが絡み付く様に交わる「スメル」、音と音が突き放すようにぶつかる「心と体」で会場の空気を一変してゆく。ベース、ドラムのいないステージ。ピアノとアコギのみでうねるようなリズムとダイナミクスを生み出す二人に激しく感情が揺さぶられ、客席も息をのんでその姿に見入っているようだった。

「改めまして皆さんこんばんは!元気ですかー!!よく来ましたね(笑)。どうもありがとうございます!「植田真梨恵Live of Lazward Piano “Old-fashioned.”」、いよいよファイナルとなりました!早かった、本当に早かった!!東京キネマ倶楽部でこのツアーは一応終わってしまうのです。皆さんも余すところなく楽しんでいってくださいね。私も楽しんでいこうと思います!」

植田のMCに笑顔がこぼれ、会場が和んだところで「サファイアー!!!」という叫び声を合図に、インディーズ1stシングル「心/S/サ」から「サファイア」が演奏された。全身を使って飛び跳ねながら、弾き出されるピアノに合わせ、振り絞るように歌う植田。会場とのコール&レスポンス、ステージ脇に備えられたサブステージで歌う等、じっとできないぐらい楽しげな様子の彼女に、見ている側も嬉しい気持ちが込み上げる中、「せーの!!」という大きな声に続いて、さらにテンポを上げ「FRIDAY」「よるのさんぽ」が披露された。楽しい気持ちが飛び出し、まるで転がるようなスピードに乗せて、大きな手拍子が鳴り響く。軽やかに、感情豊かに歌い上げると、跳ねるようなリズムの「ハイリゲンシュタットの遺書」、続く「アリス」では時に淡々と、「ペースト」では揺るがない強さを感じさせる歌声で、観客を魅了してゆく。

ライブも中盤に差しかかってゆく中で植田の魅力が尽きることはなく、「ノスタルジックな風景にとらわれている」というMCに続いて演奏された「昔の話」では、揺らめく水面にたゆたうように満ちた心地にさせ、透明感溢れる「クリア」では、何物も吹っ切ったような清々しい心持ちにさせてくれる。曲に合わせて自由自在に声や音を操り、時に包み込むように、時に突き刺すように、心に届けられる曲の数々に、会場もじっと耳を傾けているようだった。

「今現在の私の夢は、本当に自分の中に抱えていることから切り取って、それがまず形に、歌になることが大事だなと思っています。曲を書き始めた頃の私は、何を曲にしたらいいのか全然わからずに、日常の中にあったぎりぎりの、本当に忘れてしまいそうなことも曲に書いてみたらと思い、日々ピリピリと過ごしていたことを思い出します。私が今から歌う曲を作ったのは18歳の頃です。当時の気持ちを細部まで全部思い出すことは今となってはとても難しいことですけど、18歳当時の心の悲しみを思い出して歌おうと思います」

澄んだピアノの音色にあわせ、呟くように歌い出した植田。言い表せない心の不安を、言葉にし曲に乗せた「ソロジー」は、1月20日にリリースされたニューシングル「スペクタクル」のc/w。歌声もピアノの音色も優しく温かいのに、時折チクチクとトゲを刺されるような感覚を覚える中、同じく「スペクタクル」のc/w「カレンダーの13月」が演奏された。架空の“13月”に、永遠となった思い出を重ね合わせたバラードは、<頁がない 頁がない 頁がない>と繰り返される言葉に切なさが募る一曲。植田のやるせない歌声に、演奏後会場からは惜しみない拍手が送られていた。

「今から歌うのは、私自身本当に前なんか向けないかもしれないと思ったことがあったのですが、日々は目まぐるしく過ぎてゆく中で、お天気のようにそれを受け入れていくしかないんだなと実感し作った曲になります。皆さんもそういうことを受けとめて、前に進めるといいなと思っています。今日こんなに沢山の皆さんに来ていただき、本当にありがとうございました!」

本編ラストに演奏されたのはニューシングルより「スペクタクル」。自身をも鼓舞するかのように力強く、声の限りに思いをぶつける植田。真剣な眼差しで客席を見つめ、一言一言大切に言葉を届けていくと、最後まで変わらぬ勢いを持って曲を締めくくった。

ステージを後にした植田に、沸き起こるアンコールの拍手。鳴り止まない拍手に迎えられて、ピアノ西村広文との長めのMCを挟んだ後、アンコール一曲目に披露したのは3rdシングル「わかんないのはいやだ」。軽快なイントロから、吹き抜ける風のように疾走感を伴って一気に駆け抜けてゆく。絶えず満場の手拍子が鳴り響く中、「ありがとう」と囁くように一言挨拶した後、ゆっくりと互いの顔を見合わせ曲を締めくくった。

「色々と変わっていくこともありますが、皆さんの中の変わらないもの、大切にしたいものをちゃんと持ったままで、ずっと夢を見ていられますように。今日は皆さん来てくださって本当にありがとうございました!」

本日最後を飾る曲のイントロが流れ出す。優しいピアノの音色、愛する人を思う日々を歌った「愛おしい今日」。“決まった運命なんか無い”“決まった明日なんか来ない”“愛に保証なんかいらない”明日の気持ちなど計り知れ無い、不安な気持ちに反し毎日を懸命に生きようとする人の姿を、艶やかな歌声に乗せて客席へと届けてゆく。ピアノワンマンライブにふさわしい、植田の魅力が最大限に引き出された楽曲が演奏され、本日の公演は終了となった。

音楽を志した時の気持ち、苦しかった思い、幸せに滲み出す暗い影。今まで歩んできた道をこのライブを通して振り返るように、一曲一曲噛み締めて歌っていた植田。同時にこれから進むべき、希望が生まれる何かを自身でも探すよう真剣にステージに向かっている姿は、見る者に明日へと進む勇気を与えてくれる、そんな気がしてならなかった。

今回の「植田真梨恵Live of Lazward Piano “Old-fashioned.”」は、植田真梨恵史上最大規模で行われたということもさることながら、故郷の福岡を含め初めてピアノワンマンツアーで訪れることが出来た土地、中央公会堂という歴史的建造物での開催等、彼女のシンガーとしての歴史の中で一つの区切りを迎えたライブだったと言えるのではないだろうか。

ピアノワンマンツアーを終えたばかりの植田だが、2月20日(土)には追加公演となる『植田真梨恵Live of Lazward Piano “Old-fashioned. “Special Edition!』がMotion Blue yokohama にて、また4月3日(日)には Billboard Live OSAKAにて『植田真梨恵Live of Lazward Piano「カレンダーの13月 again」』と題された一夜限りのスペシャルライブが決定している。2013年1月に初めて行われたピアノワンマンライブ『カレンダーの13月』。たった二日間のライブでのみ演奏された20分を超える幻の楽曲『カレンダーの12か月たち』が、一夜限りのスペシャルライブで再演される。Live of Lazward Piano “Old-fashioned.”の余韻冷めやらぬ中、ピアノワンマンツアーの原点とも言えるライブをぜひご覧いただきたい。詳細は植田真梨恵Official Web Siteまで。

『植田真梨恵Live of Lazward Piano “Old-fashioned. “Special Edition!』
2月20日 神奈川・Motion Blue yokohama
1st Stage OPEN 15:15 / START 16:30
2nd Stage OPEN 18:15 / START 19:30

『植田真梨恵Live of Lazward Piano「カレンダーの13月 again」』
4月03日 Billboard Live OSAKA
1st Stage OPEN 15:30 / START 16:30
2nd Stage OPEN 18:30 / START 19:30

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