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国際アニメ短編賞受賞・二瓶紗吏奈

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毎年9月にカナダの首都・オタワで開かれる世界4大アニメーション映画祭のひとつ「オタワ国際アニメーションフェスティバル」。昨年、その短編部門で日本の二瓶紗吏奈(にへい さりな)さんの作品『Small People With Hats』がグランプリに輝いた。イギリスの名門「ロイヤル・カレッジ・オブ・アーツ(=RCA)」の卒業制作として取り組んだ7分弱のショートアニメは、すべてのカットを手描きした文字通りの力作。一躍その存在と力量を国際的に知らしめた若き日本人女性クリエイターが、自分の絵を動かすまでの“ストーリー”をたどってみよう。

「小さなころから絵を描くことが好きで、授業中も教科書やノートに落書きをしていたような子供でした。ただ、おとなしかったかというとそうでもなく、中学校3年まで器械体操をやっていて、東北大会にも出場するくらい打ち込んでいたんです。でも、高校進学のタイミングで何となく『体操はもういいかな』と思ってしまって…。高校ではバイトをしたり、新しい生活の空気を楽しんでもいましたが、『好きなことを職業にしたい』と将来のことを考えてもいたんです。それで、絵を描いて生きていけたら…と思い立ち、高校2年の終わりに美大進学を志しました」

美大を受けるには、遅めのスタートだった。しかも、通っていたのは商業高校。簿記の資格を取得して生業を立てる道もあったが、二瓶さんは自分の気持ちに正直な選択をする。

「高校2年の時にイギリスへ短期留学したんですが、向こうで受けた刺激や、いろいろと考えたことが、帰国してからも自分の中でずっと残っていたんです。『私が本当にしたいことって何?』と、もう一度考えてみたら、やはり絵だと。遅いスタートだとはわかっていましたけど、後悔したくないという思いから、懸命に勉強して…多摩美術大学に入学することができました。もしも違う美大へ行っていたら、アニメーションを制作することもなかったかもしれません」

彼女の進んだ多摩美大のグラフィック科は、アニメーションが必修科目。この時、自分の絵を動かす楽しさに目覚め、創作意欲をさらに深めた。結果、目を世界へ向けていくことになる。

「大学生活も後半になると、同級生たちは広告代理店などへの就活を始めていましたが、私はもっと自分の可能性を広げたいと思っていました。実は、高校卒業のタイミングでも留学したい気持ちがあったんですけど、そのころはスキルがまったく足りず…断念したんです(笑)。そんな経緯もあってRCAの大学院アニメーション科へ進んだんですが、最初は言葉の壁もあって、やはり苦労しました。でも、思い返すと楽しかったことばかりで、最高の2年間でしたね。同級生がみんな一風変わっていて…でも才能にあふれていて、そんな彼らが真面目にスタジオでの作業に取り組む姿に、すごく刺激を受けました。良き仲間でありライバルに恵まれたことで、制作に意欲的になれたのも確かです」

そして生まれたのが、冒頭で触れた『Small People~』だった。現世の不条理を鋭くえぐり出しつつも、暗澹とした気持ちだけでは終わらない作風。そして何より手描き独特の画風が、異彩を放つ。

「フランス人絵本作家のトミー・ウンゲラーが描く、単に明るいだけでなく、どこか毒のある絵が好きなんです。アニメーション作品もエストニアのプリート・パルンという人の、シニカルで不条理な作品が好みなので、そういった影響はあるかもしれません。それに…世界ではたくさん悲しい出来事が起こっているのに、ハッピーな要素だけで物語をつくることはできないな、という思いが自分の中にはあります。だけど、ただ暗い話じゃなくて、エンターテインメント性のある作品をつくりたいという気持ちも強いので、ユーモアを感じさせるシーンを入れるようにしています」

帰国後、日本国内で催されるフェスティバルのいくつかに応募したが、結果は芳しくなかった。それだけに、「オタワ国際アニメーションフェスティバル」での受賞は大きな糧となった。以前はバイトをしながらの制作だったが、その比重は変わりつつある。

「一応、まだバイト先に籍は置いているんですけど(笑)、イラストレーションの仕事もいただくようにもなって、夢見ていた『絵を描いて生きていく』という生活に近づきつつはあります。また、今年は世界4大アニメーションフェスのひとつである『広島国際アニメーションフェスティバル』に『Small People~』を出品したので、いい反応が得られたら、うれしいですね」

(平田真人)

■TOP WOMAN 第9回
(R25編集部)

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※コラムの内容は、R25から一部抜粋したものです
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