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鈴木亮平「仕事のテーマは、いかに人に甘えるか」

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鈴木亮平が『ライ王のテラス』という舞台に主演する。カンボジア最強といわれた王がハンセン氏病を患うなかで、今なお威容を誇るバイヨン寺院を完成させる物語。病に冒されて崩壊していく肉体と、そこで際立っていく屈強な精神を対比して描いた三島由紀夫最後の戯曲だ。1969年に北大路欣也主演で初演された作品を、演出・宮本亜門、主演・鈴木亮平でこのたび上演。カンボジアの伝統文化を受け継ぐ舞踏家や楽士ともコラボするという。こんな超重量級プロジェクトを目の前にして、どんな準備をするのか。仕事との向き合い方を中心に聞いてきた。

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――12月に台本が届いたそうで、そこからどんな準備をされてました?

「12月に届いたのは今回の上演台本です。今回お話をいただいてから、すこしずつ準備をしてきました。戯曲をまず読み、それは一旦寝かせて、その後は三島作品をずっと読んできました。まずは三島さんの考えていることに共感できるようになろうと。そして、上演台本が届いてからは、本格的に台本にとりかかりました」

――本格的にというのは?

「細かいところにまで焦点を合わせて自分なりの解釈をしていく。“王という特殊な身分の人が、王族という特殊な身分の人としゃべっている”というのがひとつ。さらにセリフは単に物語をすすめるものではなく“三島さんの哲学を語っているもの”。なので、論理と感情の両面で理解しないといけないんです。もちろん全部が自分でわかるわけではなくて、半分ぐらいはわかったつもりになれるまでやっていって、あとの半分はわからないまま稽古に臨むんですよ。みんなと作り上げていく“余白”はあってしかるべきなので」

――稽古はどんな段階なんですか?(取材は1月末)

「みんなで意見を言い合ってます。亜門さんの問いかけに、いろいろ考えてきたことを返すんですけど…たとえば10回自分の意見を言ったら、10回とも亜門さんのほうがより深いところからの解釈を戻してくれるような状態ですね(笑)。まさに演出家たる所以ですよ! その都度“ああ!こういうことか!”って」

――それは鈴木さんも準備して突き詰めてきたからこその納得というか。

「まあ、準備していなかったら、何を聞いても“はーそうスか”ってなっちゃいますもんね」

――ひとりで作品に取り組むような作業ってどこでやるんですか?

「どこでもやっちゃいますね。台本読みながら研究していろいろ書き込んだりするのは、だいたいファミレスです。基本黙読ですけど、声が出ちゃうこともあります。声に出すのは、準備段階では歩きながらが多いかな。大きな声を出すのはやっぱり稽古場に行ってからですね。そうすることで初めて気づくこともあります。あと、カンボジアにも行きました。随分イメージはふくらみましたね」

――役者を始めた頃から、そのような準備の仕方をしてました?

「姿勢は変わってないです。僕はそういうやり方で芝居を教わってきましたから。レッスンを受けていた時には毎週ノートに書いていました。その役がどういうバックグラウンドで、どういう育ちをし、どういう服を着てどういう家に住んでいるか。他の登場人物ひとりひとりがどういうことを考えているのか。時には絵も描きましたし、シーンに出てくるものはすべて持ち込みでやっていたので、それも準備しました」

――衣装とかを自分で準備されるのは、前に『情熱大陸』(2014年12月7日放送)で見ました。

「あー、あれは特別です(笑)。まあとにかく想像力。役に対してどれだけ具体的なイメージを持っておくか。原作があったら読むべきだし、実際の場所が舞台になってるなら行くべき…だから時間とお金が許す限りはそうしてきましたし、それは僕にとって自然なことなんです。もちろん全部の役に関してできてきたわけではないですけど」

――そういう取り組み方ができるか否かは、仕事を受ける/受けないのポイントになりますか?

「“受ける/受けない”は自分で決めてないんです」

――え、そうなんですか! どなたが?

「事務所に全部任せてます」

――それはなぜですか?

「事務所は、俳優をプロデュースするプロなので。その点において僕が自分で決めるより間違いなく良い判断をしてくれると信じています」

――鈴木さんが戦略的に選んでるもんだとばかり思ってました。ノーガードだったんですね!

「(笑)僕は、基本的にその道のプロに任せるほうを信じます。信頼できない人だったら任せません。信頼できるからこそ一緒にいるわけで。同じように芝居においては演出家の言うことをすべて叶えたい、まな板の上の鯉タイプ。イメージとしてはチェスの駒でありたいんです。ひとつひとつが、考えて感じる駒であろうと」

――今回は宮本亜門さんからかなりのプレッシャーかかってますよね。「鈴木亮平がいたからやる」って。ビビるほうですか? 楽しみですか?

「楽しみですね。もちろん不安になるんですけど、そうじゃないと仕事ってつまらない」

――毎回みっちり準備してると、経験値もたまっていきますよね? するとビビるような仕事って減っていきません?

「そういうなかでも“あ、ここはどういうふうにやろう?”って思える部分を見つけ出しながらやりますね。“これ前のパターンと完全におんなじやん!”っていう役は…僕のところにはあまりきません。その辺は事務所というプロを信用してますので。僕の仕事のテーマのひとつは、“どうやって人に甘えるか”。自分一人の能力なんて限られてるので、チームを組んで人の能力に頼れば、それで自分を高めてもらうことができます。僕の仕事は俳優なので、ずっと表現していくことになります。枯れてしまったら続けられない。だから変化し続けていかないといけない。自分の考えも及ばない範囲のことが来るほうが、自分をどんどん変えてもらえると思ってるんです」

――以前、役作りへの取り組み方を見せるのはネタばらしみたいなものだから抵抗があるっておっしゃてたんですが、今はスムーズにお話しいただけてますね。

「僕、そんなに頑なじゃないんですよ(笑)。役にまつわる努力をまったく見せたくないと思ってるわけではないですし、見に来てくださるきっかけになるなら宣伝にも使ってほしいです。そのへんは職業として冷静に見てるつもりではあります。役者がバラエティとかに出てもカッコつけてしゃべらないまま成立するとは思っていないので、一所懸命やってます。そこは受け入れてるんですが、その分、僕らはかつての俳優さん以上に、飽きられるリスクにもさらされてもいるわけです。自分をどんどん変化させていかなくちゃいけないっていうのは、そういう危機感をベースにしてるところもありますよ」

――今回、いっぱいインタビュー受けられてて、同じこともたくさん聞かれると思います。そこは鈴木さんどうなんですか? 変えていこうと思ってます? 本当のことだから同じでもいい?

「前者ですね。自分が飽き性なんで、同じことを言い続けるのに嫌悪感すらあります(笑)。だから少しでも変えます。それで時々全然違うところから話の取っ掛かりを持ってきて、“ああ! まとまらなかった失敗した!”ってこともよくありますよ。媒体さんには、何かひとでも新しいことを持って帰ってもらえればいいなと思ってます」

――ホントありがとうございます。

「でも、絶対に言わないこともいっぱいあります。嘘はつきませんけど。小出しにしたり、前は絶対言ってなかったことが、年齢とともに言えるようになったり」

――目標は世界っておっしゃってますね。

「そう書かれるんですけどねえ…(笑)。僕の理想の形は自分が出た作品が世界に出て行っていろんな人に見てもらえること。僕が海外の作品に出る、ということでもいいんですが、あくまでも日本人というアイデンティティを背負ったまんまで、海外で評価されたり海外の人たちと仕事をしたりして、日本人の存在感を上げていきたいと思ってるんです」

(R25編集部)

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※コラムの内容は、R25から一部抜粋したものです
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