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【藤森香衣のがんコラム】Vol.5: 身内が、がんになったら

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祖母のこと

私が高校生の時、祖母が体調を崩し入院しました。

なかなか体調が戻らないため精密検査をし…その検査結果を聞く日になりました。

祖父や家族が医師と話をする間、孫の中で唯一、時間がとれた私は、祖母に付き添い、病室で待つように言われました。

いつもなら、おばあちゃんは私の学校のことや、小さい従兄弟たちの話をしてくれるのに、その時ばかりはなぜか、【自分が女学生だった時のこと】を語りだしました。時代背景も、あまり分からないまま、一方的に話をする祖母を不思議に思いながらも、私は黙って話に耳を傾けていました。

しばらくすると、祖父や家族が戻ってきました。

「おばあちゃん、何でもないって」

私の母がそう告げた途端、祖母は震える両手で私の手を強く握り、

「香衣ちゃん、何でもないって!なんでもないって…良かった」と、目を真っ赤にしながら、何度も呟きました。

その姿を見て、私は初めて『祖母は不安で、怖かったのだ』と気づいたのです。

体力の回復がまだ必要なため、祖母をそのまま病室に残し、私たちは病院をあとにしました。帰りの車の中、私は祖母が話してくれた女学校の頃の話をみんなにしましたが、家族は興味がないのか、あまり聞いてくれません。そして家についた時、祖母が末期の「すい臓がん」であると、母から教えられました。

誰もが、それぞれの不安を抱えている

祖母のあの時の表情や闘病生活を振り返り、いま思うことは、【何歳だろうと関係なく、病気になるのは嫌だし怖い】ということ。一番つらいのは、もちろん病気になった本人ですが、そうした人を支える家族や、周りの人たちも、また違った不安や現実と向き合わなくてはなりません。

家族だからこそ、そうした“不安な気持ち”をお互いに直球でぶつけてしまい、相手のことを想っているのに、逆に相手を傷付けたり、衝突してしまうことも多いのではないかと思います。

兄弟だから、家族だから、恋人だから…

「これぐらい、言わなくても分かるだろう」と思っていても、相手には全く伝わっていないという事が、闘病生活を支える間に増えてしまうかも知れません。

また、患者さんの気持ちや環境などは、日々どんどん変わっていきます。3日前に話し合って決めたことでも、「もっと、こうした方がいい」と、真逆に変化することも少なくありません。支えるご家族も、それぞれの生活の中で大変ですが、「みんなで支え合う」ということが患者にとっても、周りの人にとっても、病気と闘う力になると思います。

専門家に助けてもらうことも大事

日本には、「心のケア」をしてくれる場所が、まだまだ不足しています。

もちろん、緩和ケアなどは存在しますが、病気になった誰もが「カウンセラー」を紹介されるわけではありません。

そんな中、私が注目しているのが「精神腫瘍学(サイコオンコロジー)」です。

がんと診断された患者やご家族の心のケアをするために、専門のお医者さん(または医療従事者)がサポートしてくれるのです。

治療にも、その後の人生のためにも、「心を保つこと」がとても必要です。

誰かに話すことで、次の一歩へ繋がることもあると思います。

時には周りの人たちも、こうした専門家や、カウンセラーの力を借りながら、ご自身が深呼吸する時間を作ってみてください。

~モデル:藤森 香衣~

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