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ドラマ『わたしを離さないで』 豪華布陣も最低視聴率の理由

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 今クールの連続ドラマで、まさかの低視聴率にあえでいるのが『わたしを離さないで』(TBS系)だ。綾瀬はるからを起用し期待度の高い作品のひとつだったが、ふたをあけてみれば、4回の平均視聴率が6.8 %と低迷。これは午後9時、10時台の連ドラでは最低の平均視聴率だ。いったいなぜか? 毎クール全てのドラマをチェックしているテレビ解説者の木村隆志さんが分析する。

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『わたしを離さないで』は、TBSの意欲作というだけでなく、今期の目玉作品の1つ。キャストに綾瀬はるかさん、三浦春馬さん、水川あさみさんの実質トリプル主演を配したほか、「ノーベル賞に近い」と言われるカズオ・イシグロさんの原作小説を、『JIN-仁-』『とんび』『天皇の料理番』などの実績を持つ森下佳子さんが脚本化するなど、最高クラスの布陣で臨んでいます。

 しかし、仕事疲れがたまり、癒しを求める視聴者が多い金曜の夜と、「臓器提供」「クローン」という重く暗すぎる題材のミスマッチ感は否めません。放送前の時点で「このドラマは共感できない」と心のシャッターを下ろしてしまった。あるいは、1話冒頭の臓器移植手術や人体焼却シーンに拒絶反応を起こした人は多かったのではないでしょうか。

 近年『金曜ドラマ』は、「イヤミス(嫌な気分になるけど癖になるミステリー)の女王」と呼ばれる湊かなえさんの『夜行観覧車』『Nのために』をはじめ、『アリスの棘』『家族狩り』などの重く暗い作品を放送してきました。しかし、今作はそれらを遥かに超える絶望感で支配されているため、この結果はある程度仕方がないのかもしれません。

 また、「臓器提供」は、同じ『金曜ドラマ』で2年前に放送された『アリスの棘』、1年前に放送された『ウロボロス』でも扱われた題材。それだけにドラマファンの間では、「この時間帯は臓器提供ばかり」と敬遠されてしまったところもあります。

 視聴者にしてみれば、「臓器提供」や「クローン」、さらにそこから感じる重さや暗さの先にあるテーマがはっきり見えないため、「このドラマを見る理由」が見出せないのでしょう。しかし、この作品が本当に描きたいのは、「臓器提供」や「クローン」の是非ではありません。

 描こうとしているのは、「人間は過酷な状況の中で、愛や友情、希望や絆をどのように育んでいくのか」「その上で、どのように人間らしく生きていくのか」。原作や映画版とは異なる力強いシーンも見せはじめていますし、これまで前半で深い闇をしっかり描いてきた分、後半では愛や友情、希望や絆がよりドラマティックに描かれるでしょう。森下佳子さんは、『世界の中心で、愛をさけぶ』や『白夜行』で、絶望的な物語を感動作に昇華させた実績があるだけに、終盤の展開に期待が持てます。

 視聴率に関しては、1話と2話の裏番組として放送されていた『天空の城ラピュタ』と『魔女の宅急便』の影響は間違いなくあるでしょう。ジブリ映画の明るい世界観に敗北したことや、低視聴率を揶揄したネット記事の悪影響も重なって、今後も苦戦必至。ただ、「サクッと一話完結」の作品が大半を占める中、これほどの絶望的な状況を連ドラらしく丁寧に描いた当作は、見た人の心に深く刻まれるはず。「最終回が放送されたあと、低視聴率ではなく、内容面で話題になるのではないか」と感じています。

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月20~25本のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』などに出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。


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