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Album Review: マラヴォワの長いキャリアで培われた技とフレンチ・カリビアンの心地よさに身を委ねる『オリウォン』

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 80年代にワールド・ミュージック・ブームの洗礼を受けた方なら、マラヴォワの名前を清冽に記憶しているのではないだろうか。1969年にデビューしたカリブ海の島マルティニークを代表するグループで、フレンチ・カリビアンの代名詞ともされている。キューバ音楽に影響を受け、ラテンならではの軽快にスウィングするリズムと、どこかヨーロピアンな雰囲気をたたえたストリングスのアンサンブルは、一聴するだけで、マラヴォワであることがわかるほど特徴的だった。6年ぶりの新作『オリウォン』は、そんな彼らがまだまだ現役であることを証明した傑作である。

 この新作のコンセプトは、様々な豪華ゲストを交えたコラボレーション・アルバム。冒頭は、マラヴォワの顔として長年活躍してきたラルフ・タマールがはつらつと歌い、以降も一曲ごとにヴォーカリストが変わっていく。社会派シンガー・ソングライターのコロ・バルストが、ハスキーな声で哀愁を帯びた旋律を歌ったかと思えば、同じくカリブのハイチで人気を誇るエメリーヌ・ミッシェルが、しっとりと色っぽく囁いていく。そして、ジャン=マリー・ラガルドがゴキゲンなズークのリズムに乗れば、ドミニカ国のミシェル・ヘンダーソンはソウルフルに熱唱していく。このように、楽曲ごとに表情が変わっていくのが面白い。

 しかし、マラヴォワのサウンド自体は、一切ぶれずに不変。スウィンギーなリズムと躍動するストリングス、そして華やかに彩るコーラスなどが一体となっている。いくらヴォーカリストが入れ替わっても、グループ本体の土台が安定しているというのは、長いキャリアのなせる技だろう。しかも、肩肘を張らず、ひょうひょうとした演奏も魅力だ。あらためて彼らの実力ぶりに圧倒されるとともに、フレンチ・カリビアンの心地よさに身を委ねたい。

Text: 栗本 斉

◎リリース情報
『オリウォン』
マラヴォワ
2015/12/20 RELEASE
2,700円(tax incl.)

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