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朝日新聞賃金大幅カット「もっとやるべきことある」と社員

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 今年に入ってからの朝日新聞の紙面は、賃上げに関しての記事が目立つ。例えば1月20日から始まった連載「教えて! 春闘」では、月給と年収ベースの賃上げの違いについて説明。さらに同日の別の記事では「公共工事の賃金 5年連続アップ」と見出しを打ち、公共工事における人件費が全国平均で4%程度引き上げとなる見通しを報じている。25日夕刊では「経団連会長が賃上げを要請 加盟企業に」、翌26日朝刊は「経団連ベア慎重 賃上げは前向き」と続く。

 そして2月2日には社説で春闘に触れ、賃金の引き上げを含めた待遇改善を論じるなど、とにかく「賃上げ」の文字が躍る。一方で、その景気の良い記事を書いている記者たちからはなぜかため息が聞こえてくる。朝日新聞の40代社員がこう話す。

「僕らは紙面とは逆の立場ですよ。今年の初めに、『2017年の4月から給与、年2回の期末手当、春夏手当などを段階的に削減する』という案が通達された。最大で給与の約15%がカットされるという大幅な賃下げが行なわれるのです」

 これは1月4日、東京本社で行なわれた新年の挨拶において、渡辺雅隆社長による「中期経営計画」の説明の中で提示された。経営基盤の強化をうたい、総額にして100億円規模の人件費を削減する、というものだ。

 賃下げが実行された場合、最も引き下げられるのが55歳社員で、平均年収1529万円から1290万円(239万円カット)。続いて40歳は1245万円から1053万円(192万円カット)となる。
 
 これを受けて組合側は1月19日に社長と面談したが、渡辺社長は「やっていけないなら“退場門”も用意している」と早期退職制度の存在を示唆。賃下げ中止に応じる気配はなかったという。朝日新聞労働組合は、「現在、組合としての対応を協議中です」と回答した。

 2011年上半期(1月~6月)には約780万部だった朝日新聞の部数は2015年11月には663万部(日本ABC協会調べ)まで落ち込んだ。これは前年同月比で約40万部減少となる。社員の給与カットは避けられないようにも思えるが、社内からは「給料に手をつける前にもっとやるべきことがあるはずだ」(前出の社員)と憤りの声が聞こえてくる。

『新聞社―破綻したビジネスモデル―』(新潮新書)の著者である、元・毎日新聞常務の河内孝氏はこう指摘する。

「本来必要な経営改善を行なってこなかったツケを払うために、手を付けやすい社員の給与削減にもっていった感があります。マーケットが国内のみで、人口も減る中、やるべきはデジタル情報の有料化や、大手新聞社ごとに持っている印刷工場や流通経路を再編してのコストカットです。それをやらずに給与を削って社員の反発を買うようでは本末転倒です」

※週刊ポスト2016年2月19日号


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