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産経・加藤達也氏の裁判 ソウル地裁判決文の85%が罵詈讒謗

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 執筆したコラム記事が「朴槿恵大統領への名誉毀損」にあたるとして起訴された産経新聞の加藤達也・前ソウル支局長は、韓国で17か月にわたり法廷闘争を繰り広げた。最終的には無罪を勝ち取ったが、加藤氏が長く韓国を見てきた作家の井沢元彦氏とソウル中央地裁の「無罪判決の実態」を語り合った。

井沢:裁判所は、判決公判の日程を昨年11月26日から12月17日に延期しました。その間、韓国側から「改悛の情を示せ」という働きかけがあったそうですね。

加藤:そうした動きは確かにありました。産経新聞社の社長に対し、韓国政府の意向を受けた日本の政治家らが面会を求めたと聞いています。「謝罪はできないとしても産経新聞として遺憾の意を示せないか。そうすれば韓国側も振り上げた拳を下ろすことができる」などという働きかけです。

井沢:でも加藤さんも産経新聞も「遺憾の意」や「改悛の情」は示さなかった。もしそれを示していたら、韓国は「ほら加藤はやっぱり悪人だった」という議論を振りかざし、言論の自由は守られなかったでしょう。

 判決で加藤さんは3時間にわたって立たされたと報じられましたが、裁判所にはどんな意図があったと考えますか。

加藤:韓国では妊娠中や高齢など特別な理由がない場合、判決は立って聞くことになっているそうです。が、一般的に判決言い渡しは数秒から数十分程度。3時間は異例でした。1時間40分ほど経ったところで弁護士が裁判長に「被告人を着席させてもいいか」と聞きましたが、認められませんでした。裁判長は、初公判の際に「この裁判はルール通りやる」と宣言していました。きっと、あとで「ルールにのっとっていない」と文句を付けられるのを避けたいという狙いなのでしょう。

 判決が長くなったのは理由がありました。裁判長が読み上げた判決文の中身の85%くらいが「産経新聞の報道はひどい」「加藤という記者はろくに取材をしていない」という罵詈讒謗なんです。そして最後の最後で「韓国国民としては受け入れがたいが、日本の読者に向けて韓国の政治、社会状況を伝えた記事なのは明らかだから、罪には問えない」と結論にやっといたる。

井沢:終わりの1割くらいの結論だけで十分だけど、最初の85%を省くと「親日派の裁判長だ」と非難されてしまうから、もったいぶった判決を下したわけですね。

加藤:韓国メディアの報道も判決と一緒で「産経新聞の加藤はとんでもない記者だが」とたくさん前置きを書いてから「検察は国際社会に恥をさらした」と国を批判していました。それが韓国文化の「黄金比」なのかもしれませんね。

【PROFILE】いざわ・もとひこ●1954年生まれ。週刊ポストで『逆説の日本史』を連載中。2月5日、『逆説の日本史 別巻5 英雄と歴史の道』(小学館文庫)が発売。

【PROFILE】かとう・たつや●1966年生まれ。1991年産経新聞東京本社入社。社会部、外信部などを経て、2010年からソウル特派員。2011年、ソウル支局長。現在は社会部編集委員。裁判の経験を綴った『なぜ私は韓国に勝てたか』(産経新聞出版)が発売中。
 
※SAPIO2016年3月号


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