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前代未聞 10歳と9歳の兄弟が「虐待」で宮城県議を訴えた

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 児童への虐待やネグレクト(育児放棄)のニュースが後を絶たない──。今年1月9日、埼玉県狭山市のマンションで顔に火傷を負った3歳児が放置され死亡。母親と内縁の夫が暴行容疑などで逮捕された。同27日にも、暴力団組員の男が交際相手の長男の3歳児に「かかと落とし」などの暴行を加え死亡させるという残虐な事件があったばかりだ。

 そんな中、前代未聞の訴訟が仙台地裁に起こされた。驚くことに原告は10歳の長男と9歳の次男の幼き兄弟。母親Aさんの交際相手の男性から虐待を受けたとして、兄が550万円、弟が550万円の計1100万円もの損害賠償を求めたのである。

 被告となったのは宮城県議会議員の境恒春氏(36)。境氏は以前、歌手活動をしていた元タレントだった。2011年11月にみんなの党から県議選に出馬し初当選。昨年10月には維新の党から出馬し2期目の当選を果たしている。

 仙台地裁に提出された訴状や陳述書などによると、境氏はAさんと震災後に“内縁関係”になり同居。Aさんが前夫との間にもうけた2人の男児と共に4人で気仙沼市内で暮らし始めた。

 2012年春頃から境氏は気に食わないことがあると、幼い兄弟に暴力を振るうようになる。日常的に殴ったり、物を投げつけたり、「死ね」「ゴミ」などの暴言を発した。「箸の持ち方がおかしい」と言って深夜3時頃まで眠らせず、100粒ほどの米粒を箸で皿から皿に移させたこともあったという。Aさんの父で、兄弟の祖父にあたる高橋清男・気仙沼市議が語る。

「彼の第一印象は好青年で、この人なら娘と孫を任せてもいいと思えたが、それが間違いだった。2014年8月のことです。伯父(Aさんの兄)が長男の額に大きなコブを発見したのです。問い詰めたところ境氏に殴られたことがわかりました。伯父が兄弟を児童相談所に連れて行き、そこで改めて事情を聞くと、暴力の数々が明らかになったのです」

 児童相談所は虐待を認定し、一時保護を決定。その後、兄弟は児童養護施設に送られることになった。

 施設での生活を余儀なくされた孫たちを不憫に思った高橋氏は、児童相談所に対し「(孫たちを)自分のもとに引き取らせてほしい」と何度も懇願したが、実現しなかった。そこで高橋氏が弁護士に相談し、養子縁組して親権を引き取ることに。昨年6月、Aさんから親権が移され、兄弟は児童養護施設を出た。

 高橋氏は東日本大震災で妻を亡くし、現在も気仙沼市内の仮設住宅で暮らす。幼い兄弟はそこに引き取られた。高橋氏が言う。

「私が養子として引き取るまでの約10か月間、孫たちは養護施設で精神的に辛い思いをした。その損害は誰が補填するのか。もう孫自身が境氏を訴えるしかないと判断しました。娘は子供を取らないで男を取った。娘は死んだものだと思っています。妻を亡くした私にとって孫の存在は生きがい。今は孫を立派に育てることだけを考えています」

◆1発ゲンコツしました

 境氏は〈子供と子育て世代の環境整備〉という政策をオフィシャルサイトで掲げている。その一方で虐待していたとすれば、宮城県民への裏切り行為でもある。宮城県議会のベテラン議員に同氏の評判を尋ねると、驚いてこう語った。

「まだ2期目ということもあり、議会の中ではあまり目立たない存在ですが、人当たりが良く、虐待なんてするような人には見えない」

 渦中の境氏を直撃した。

──虐待の事実はあるのか。

「訴状にあるような虐待はしていない。子供たちが悪いことをした時に叱ったことは何度かありますが……」

──一昨年8月に長男を殴り、額に大きなコブができたとある。

「それには理由があるのです。あの日は私もAも外出する用事があり、子供たちに鍵を預け、“外には遊びに行かないように”と言っていたのですが、鍵を開けっぱなしにしたまま遊びに行ってしまった。

 Aが激昂していたので、“私が叱るから”と彼女をなだめました。子供たちと正座して向き合い、Aが見ている前で長男の頭に1発ゲンコツをしました。

 その時に出来たコブによって昨年11月に高橋さんから傷害で刑事告訴もされましたが、子供を叱って告訴されるなんてありえない。Aも検察に“あれは虐待ではありません”と証言しています」

──児童を深夜まで寝かせず、米粒を箸で皿から皿に移動させたことは?

「あれは次男が上手く箸を使えていなかったので、私と一緒に30分間くらい米粒を使って練習しただけです。“100粒”や“深夜まで”というのはデタラメです」

──ならば、虐待の事実はないと?

「はい。ありません。訴訟についてはこちらも弁護士を立てて対応します。困るのはこれ以上、騒ぎが大きくなってしまうこと。私も大きな声で反論したいですが、今は子供のことを考えて控えている。

 私は子供たちと一緒に卓球やサッカーをするほど仲が良かったのです。一昨年の父の日にはプレゼントももらいました。彼らも私に懐いてくれていました」

 双方とも“子供のため”と強調するが、ならば訴訟などせずに話し合いで解決すれば良かったはず。釈然としない話である。

※週刊ポスト2016年2月19日号


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