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藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」 #26 経皮毒

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福山雅治さんは、石鹸を使わないと公言している。すでに有名なエピソードだから知っている人も多いと思う。タモリさん、ローラさんなども同様にお湯だけで済ましている。
ん?となった人は、一般的な常識を持っている人で、汚れはどうするの?という疑問がそのあとに続くだろう。
私達は、物心つく前から、親や園長先生に刷り込まれてきたはずだ。「手を石鹸で洗いなさい」と。
この世は、ありとあらゆるバイ菌が繁茂していて、私達人類の繊細な体の中に侵入して悪さをする。だから、石鹸でいつも手を綺麗にして彼らの企てを未然に食い止めなければいけない。大方、そう思わされ続けてきたのだ。
私もそれにさしたる疑問を持たずに生きてきて、それで不具合はなかったのだが、ある時にふと、自然界には石鹸はないよな、猫だって犬だって石鹸を使っていないし、本当にこれは必要なのだろうか?と、素朴な疑問を持ってしまった。
自然界に存在しないものを、人間が作り出し、それが無いと不自然になっている状況というのは生活の随所に見られる。歯磨剤、シャンプー、リンス、コンディショナー、洗濯洗剤、マウスウォッシュ、除菌シート、などなど。
当たり前に思えることに対して、?を付けていくことは、私のクリエイターの端くれとしての癖のようなものであるが、学問や、進化には必要なことでもある。当たり前を疑うこと。
私の場合は、自然界に存在しないものには、功罪両方あるという前提でものをまずは見ている。
ちょっと例が飛躍するが、例えば新幹線。速くて便利なのだが、人間の身体というのは頑張って走ったとしてたかだか時速二十キロ程度しか出ないし、それを基準に身体の耐性がセットされていると思う。新幹線の時速三百キロというのは、快適な車内に居ることで、風圧や気温の変化から守られているが、あの速さというのは、目に見えないストレスがかかっていると考えている。現に電磁波の被害は現にすごいと聞くし、たとえ電磁波などの被害がなくても、ただ猛スピードで移動しているというだけでも、なにか負に落ちない。
飛行機しかり。8千メートルの上空からのシベリアの風景を見下ろす度に、これは神様の視点だなと感じる。人類が決してその身体能力では上がれない地点からの眺めというのは、肉体だけでなく精神にも負荷がかかっていると考える。身の程、という言葉があるように。
ちょっと話が逸れたが、要は、自然界に存在し得ない状況や状態、プロダクツに対して、私はそれが便利だからといって安易に盲信することには注意している。
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そんなものだから、ある日、ふと石鹸をやめてみようと思い立ったのだ。やめてみたのは石鹸だけではない。歯磨き粉、シャンプー、リンス、など、体を清潔に保つために必須と信じられている物を中断してみたのだ。
以来数年間、私はそれを再び手にすることは滅多にない。シャンプー、リンス、などの洗髪溶剤、歯磨き粉は完全に断ち切り、どうしても落ちない手の汚れ(マジックのインクなど)がある時のみ石鹸を使う。
体を洗う時は、お湯とスポンジのみ。それで十分に汚れや不要な油分は除けている実感はあるし、匂いもない。そもそも、匂いというのは食生活との兼ね合いが原因となっていることが多いので、(羊肉を食べれば羊の匂いが体臭となるように)汚れとして匂いがきついということは実は少ない。個人差はあれど、老廃物の匂いというのは拭けば除けるほどのものだ。
かの福山雅治さんは、デリケートゾーンすらもお湯とスポンジだけで問題ないと言っている。これは彼の身体が異常にもとから清潔で、汚れることがない、というわけでは勿論なく、そういうものなのだ。卑近な例で言えば、私もそれで事足りている。
そもそも人間に限らず生物は自浄能力がある。皮膚を乾燥から守るために必要な油分が分泌されているのを、脱脂力が強い石鹸で洗い切り、無くなった油分を補うために、わざわざオイルや保湿剤を塗っているという不思議なことをしているのだ。そのオイルや保湿剤には体に有害な界面活性剤、湿潤剤が含まれている製品も多い。本来体のバリアーとなってくれている油分をわざわざ取り除いて、無防備となった皮膚に有害なものを塗った結果、肌荒れの原因になることが多い。コラーゲンやアルロン酸などの皮膚を健康に保つ成分は、実は分子が大き過ぎて皮膚から浸透することなく、表面に残ってしまう。
なので、よくよく知識を得てからでないと、お金と時間の無駄にもなる。
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こういう肌から不用意に健康を害する物質を吸収してしまっていることが実は日常化していて、肌を経由して毒物を摂取してしまう現象を総括した言葉に「経皮毒」がある。
文字通り皮膚を経由して毒を吸収してしまうわけだが、口から吸収する経口吸収に比べて、経皮吸収は、吸収するための速度が段違いに速く、わずか数秒と言われている。経口だと消化に時間がそれなりにかかるので、早急な薬効を必要とする時には、皮膚や粘膜から投与することになる。
これは裏返せば、毒物なども皮膚を通して素早く吸収されてしまうことを意味し、なおさら皮膚に触れる製品には注意が必要だということになる。
「経皮毒」の概念を提唱している薬学博士の竹内久米司、稲津教久両氏によれば、アレルギー、花粉症、気管支ぜんそく、癌などは、日用品に含まれている有害物質が原因とされていて、シャンプーや台所洗剤を変えただけで、症状が改善される例も多いとのことだ。
やっかいなのは、製品の成分表記には、わざわざ毒物だとは書いていないということ。リスト中には体に本当に良い成分も混在しているので、悩ましい。なので、ネットで検索した毒物表などを片手に買い物しなくてはいけなくなる。これはかなり面倒なことで、目安としてカタカナ成分がやたらと多いのは避けるといいだろう。
自分の体を守るためには予備知識が必要なのは、仕方がないことだが、食事同様、あまりにも知識に支配されてしまうことは、別のストレスを生む事になる。
なので、私はすっぱり断つことを試しているわけだ。皮膚に直接触れるものだけだから、アイテムとしては洗髪まわりのもの、石鹸、そして歯磨き粉だ。
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歯磨き粉の代わりとして使っているのが、重曹液で、これは市販の重曹をただ水に溶かしただけのもので、歯磨き前後にそれを口に含み、1分ほどブクブクするだけ。ブラシの使い方も良いのだろうが、ここ数年それで虫歯知らずだから、もう再び歯磨き粉を使う気にはなれない。
洗髪剤、石鹸もすでに別世界の物体となっている。それらの有効成分にも流行があるが、もう流行を追いかける必要もなく、対岸の景色になっている。
とはいえ、いきなりシャンプーなしは、ハードル高いなあとほとんどの人は思うだろう。
そこで一手。これは友人のヘアスタイリストからかつて教えてもらった自家製洗髪剤なのだが、仮に「小麦粉シャンプー」と呼ばせていただく。
名の通りのもので、水に小麦粉を溶いてそれをシャンプーとするだけのいたってシンプルなものだ。彼も仕事柄シャンプーに含まれている有害成分について日頃から胸に痛みを感じ続けていたのだが、つまり悪いものと知りつつ顧客のために使用することに違和感があった果ての「小麦粉シャンプー」なのだった。
その都度、溶くのは面倒だが、料理の一手間ぐらいに思えたらしめたもの。安価で安全で、使い慣れるに従って、余計な油分も分泌されなくなり、自身の自浄力が高まって安定するとのこと。是非お試しあれ。特に妊婦さんには、赤ちゃんに影響大な経費毒を避けるためにも。
ジブリの宮崎監督も愚痴るように言っていた。「大切なことはだいたい面倒くさいものだよ」と。
(つづく)
※『藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」』は、新月の日に更新されます。
「#27」は2016年3月9日(日)アップ予定。

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