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【Dr.野菜ソムリエのコラム】vol.1: 野菜がからだに与える影響は正しく評価できる?

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食の健康への影響を探りたいが…

野菜は、私たちが健やかに生きていくために欠かせません。

このコラムでは、野菜の栄養素による健康や病気への影響を中心に、野菜の植物としてのおもしろさや旬の野菜を取り上げていきます。

健康や病気への影響を評価するにあたって欠かせないのが、ヒトを対象とした研究です。

すなわち、習慣的に、何を、どのくらい、どのように摂取していると、どの病気を防ぐことができるかを探るものです。

今後、このような研究を紹介していきますが、そもそも、それらの一つ一つが正しい結果を導き出せているのでしょうか。

ニンジンの橙色の色素物質、β(ベータ)カロテンを例に考えてみましょう。

βカロテンは、

・細胞の老化やがん化を促す活性酸素の働きを抑える

・免疫機能を高める

といった作用を持っているため、がんの予防に関する研究においてしばしば登場する物質です。

食べ方でずいぶん違うβカロテン吸収率

問題です。

1日に1本分のニンジンとともに10gの油を摂取する場合、

【1】一度の食事ですべてを摂取する方法

【2】二度の食事に分け、一度につきニンジン1/2本と5gの油を摂取する方法

どちらで、より1日のβカロテンの総吸収量は高くなるでしょうか。

答えは、

【1】の一度ですべてを摂取する方法です。[※1]

予想外ではありませんか?

このように、食べ方によりβカロテンが体に吸収される割合は変わります。

ニンジン1本が含むβカロテンが16mgであるとします。

油とともに摂取しない場合、そのうちの3mgが小腸より吸収されますが、油とともに摂取した場合、6mgも吸収されるのです。[※2]

また、βカロテンは酸性度が強い条件で油に溶けやすくなるため、胃炎などで胃酸の分泌が不十分であると、その吸収率も低くなります。[※3]

同じ食材から同じ量を摂取する場合でも、β‒カロテンの吸収率は、

・食べ合わせ

・調理法

・摂取する人の健康状態

・遺伝的背景

により、3-96%まで大きく異なりますので、健康への影響に差が出るのも当然です。[※4]

野菜の栄養素の恩恵を知りながら、美味しい野菜生活を

上にあげた栄養素の吸収率の差を考えると、ある食習慣とある病気の発症との関係を調査する際、全対象者のこの1年間のその食習慣について、量のみならず、調理法、食べ合わせ、食事時刻を調査し、さらに胃腸内の環境も知りたいところです。

しかし、それは現実的に不可能です。

野菜の栄養素も、季節・品種・栽培条件で変わりますが、ここに至るや情報量が膨大で、研究者の手に余ります。

このように、食習慣の正確な把握の難しさや、個々の健康状態のばらつきが、「Aを多く摂取すればBが防げる」という報告とそうでないという報告を、同時に生み出しているゆえんともいえます。

食習慣とヒトのからだの関係は、とても繊細です。

研究の結論は、すべての人にあてはまるものではないかもしれません。それでも、野菜の栄養素の恩恵に期待を寄せたくなる研究結果が日々発表されます。

少し“もの知り”になりながら、野菜を美味しく食べられる、このコラムがそのきっかけになれば幸いです。

~医師:吉田 菜穂子~

脚注

[※1] Goltz SR et al. Nutr Res. 2013 May;33(5):358-366.

[※2] Veda S et al. Mol Nutr Food Res. 2006:50(11):1047-1052.

[※3] Rich GT el. Lipids. 1998:33(10):985-992.

[※4] 厚労省「日本人の食事摂取基準」(2010年版)

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