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マンション価値やセキュリティの維持には、Airbnb禁止が必要!?

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自宅などを提供する「ホスト」と宿泊を望む「ゲスト」を結びつけるネット上のプラットフォーム、Airbnb(エアー・ビー・アンド・ビー)。日本でも、外国人旅行者の急増や2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えて注目を浴びている。ただ、こうした「民泊」は、旅館業法などいくつかの法律に抵触すると言われる。国は規制緩和の検討を行っているが……。
マンション管理組合がAirbnbにどう向き合うか、関心は高い

「静かな生活の場と民泊は相容れない。分譲マンションではAirbnbは禁止すべき」
ーーー マンション管理組合の理事らの勉強会での発言だ。

2016年1月16日、中央区勝どきの超高層マンション「THE TOKYO TOWERS」のパーティースタジオ(集会室)で、「理事会活動・コミュニティー活動の活性化とAirbnb対策」と題された勉強会が開催された。この勉強会を行っているのは、ネットを通じた管理組合理事長らのコミュニティ「RJC48」だ。

RJC48は、首都圏を中心に約150のマンションから理事経験者など約170人が参加するグループだ。普段は、ネット上のコミュニティサイトで、管理組合運営の悩みやアイデアを情報交換しあっているが、年に4~5回、テーマを絞った勉強会(オフ会)を参加メンバーが持ち回りで開催している。

この日は、近年の訪日外国人の急増や2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えて耳目を集める、民泊・Airbnb問題をテーマの一つに据えた。RJC48としては第17回目の勉強会だ。集まったのは、30~50代を中心とした管理組合理事ら約50名だ。話題のテーマでもあり、会場のパーティースタジオに用意された椅子はほぼ満席で、大手新聞社を含めてマスコミ取材も数社入る、熱気が感じられる勉強会だった。

【画像1】2016年1月16日、コミュニティ活性化と民泊をテーマにRJC48の勉強会が開催された(写真撮影:村島正彦)

【画像2】この日の勉強会には約50名の理事等の参加があった(写真撮影:SUUMOジャーナル編集部)自宅を旅行者に貸す「民泊」、法的にはグレーなまま実態が先行

最初に、民泊問題におけるマンションが置かれた状況を整理してみる。
訪日外国人の急増によって、東京をはじめとして国内の宿泊需要が高まり、宿泊費が高騰したり、宿泊需要に対応できないなど課題となっている。こうした背景とともに、自宅などを貸したい所有者と旅行者をマッチングする、アメリカ発祥のAirbnbが我が国でも活況を呈している。

ただ、このような自宅を旅行者に貸す、いわゆる「民泊」を営業行為として継続的に行う場合は、旅館業法にのっとって行わなければいけない。2015年11月に京都である事業者が旅館業法違反として書類送検となったが、ほとんどの場合は実態が先行しており「グレー」なまま放置されている。

国は、2020年東京オリンピック・パラリンピックを控えて、東京周辺の宿泊施設不足や空き家解消を担うことを期待し、規制緩和の検討を行っている。また、既に国家戦略特区に準じて大阪府や大田区、大阪市では「民泊」条例を可決して、事業者の認可、「6泊以上の宿泊」などを条件に旅館業法の適用除外としている。

ただし多数の住民の生活する分譲マンションにおける民泊は、ほかの住民の静かな生活を脅かす、不特定の人が出入りすることでセキュリティ面での不安など、拒否感を持たれるケースが多い。そもそも、マンションの標準管理規約には「専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない」(第12条)とあり、貸し部屋として営業に利用してはならないと理解されるのが一般的だ。居住環境や資産価値を重視するマンションは「民泊反対」

この日、登壇したのは4つのマンションの理事らだ。いずれも、2000年代以降に竣工した500戸以上の大規模マンションだ。マンションの立地は、都心の港区、オリンピック会場のある江東区、周辺部(郊外)と立地特性にばらつきはあるものの、生活の場としての価値に重きを置き、居住環境や資産価値について重視する理事・管理組合だ。いずれの登壇者からも、基本路線は「民泊反対」の立場に立った意見とその対応策が述べられた。

政府の規制改革会議では継続的に民泊の取り扱いについて議論されている。2016年1月15日にはマンション管理組合としてブリリアマーレ有明(江東区・1085戸・2005年)にヒアリングが行われている。この際に管理組合法人理事会が会議に提出した資料に4つのポイントが要約されていた。「マンション管理組合側からみた民泊の問題点」
1.静謐で穏やかな住環境を破壊する
2.セキュリティの懸念がクリアできない
3.区分所有者全員が払う管理費にフリーライドしている
4.マンションは不特定多数のゲストを受け入れる構造になっていない

1の静かな住環境については、「自宅の隣人が毎日入れ替わることを望む人はいないし、許容できない」という理由からだ。騒音を出してクレームしたとしても、次の日は違う人が泊まるのであれば、意味が無い。
2のセキュリティは、多くのマンションがオートロックによって守られているが、不特定多数が日替わりに泊まりに来るようでは、その意味をなさない。
3は、最近の大型マンションに見られる豪華な共用施設などは「ルールを守って節度を持ち合わせた住民が使うことを想定しているのであって、宿泊者が使うのでは荒れるだろうし、破損した場合に犯人不明になる恐れもある」からだ。
4の受け入れ構造については、マンションはホテルと違って受け付けカウンター機能など存在しないし、住民が入れ替わり訪れる宿泊者と常に鉢合わせになる。マンション規約を改定、サイトをチェックしてホストに注意も

ブリリアマーレ有明は、4年後のオリンピック会場が至近であり、こうした問題点をいち早く認識したうえで2014年4月の管理組合総会に諮り、先に紹介した規約第12条に民泊を厳格に禁止する条項を書き加えることを可決し施行している(併せてシェアハウスの利用も禁止している)。

この日登壇した役員の報告によれば、同マンションでは規約改正後、定期的にAirbnbのサイトを調べるなどして、規約に反する貸し出し掲載を数例見つけている。発見した場合はホストに連絡を取り、サイトから情報を取り下げてもらっている。これまでに大きなトラブルはないという。

同様に、地下鉄白金高輪駅直結の白金タワー(港区・588戸・2005年)の管理組合理事長・星野芳昭さんも「私どものマンションでは管理規約・細則違反として、断固たる態度で取り締まります」と語る。

さらに「民泊容認のマンションと思われること自体が、風評被害を考えるとマンションの資産価値低下につながります。そこで管理会社にAirbnb等のモニタリングを指示し、掲載が発見されたら顧問弁護士に厳正に対処してもらいます」と説明する。

登壇したほか2つのマンション理事からは、立地が郊外部で民泊向きではないものの、最低限、民泊(やシェアハウス)を禁止する管理規約の改正は行い、様子見することが発表された。国の規制緩和とは別に、マンションの意向で規制は可能

RJC48の世話人の應田治彦さん(イニシア千住曙町理事)は「通常の管理規約の条文でも民泊は規制されるものと考えるが、きちんと規制していくには規約の改正が必要でしょう。また、本当にそれが守られるには、ネット上でのパトロールなども含めて厳正に対処していかないといけないだろう」と話す。

「国の民泊規制緩和との関係は?」と質問したところ「国の意向がどうだろうと、それは、そのマンションの住民の意向に従えばよいことです。例えばペット飼育についても、そこの住民の意向に委ねられます。総会で規約改正を行えばそれがそのマンションの規則となる。民泊問題も同じことでしょう」(應田さん)と説明する。

国が検討する民泊についての規制緩和については、2016年中にはその方針が示されることになる。ただ分譲マンションにおいては、そのマンション住民の意向が、居住環境を重視するか、あるいは所有者の裁量・投資的な意向を容認するかによって対応が変わってくるだろう。都心の、例えば商業や事務所利用と混在するマンション、空き室が目立ち管理費徴収など不透明なマンションにおいては、むしろ民泊を積極的に受け入れる管理組合も出てくるかもしれない。

民泊を規制するにせよ、容認するにせよ、マンション内での住民トラブルを避けるうえでも、マンション管理組合がこの問題について積極的に議論して、結論を導き出す必要がありそうだ。●RJC48
●「民泊サービス」のあり方に関する検討会
●管理組合法人ブリリアマーレ有明提出資料(第25回地域活性化ワーキング・グループ)
元記事URL http://suumo.jp/journal/2016/02/01/105120/

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