「均質な日本人、均等な日本がバラバラになりつつある」IT復興円卓会議で佐々木俊尚氏が語る

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第2回「IT復興円卓会議」

 ITを中心にすえた震災からの復興策を議論する「IT復興円卓会議」の第2回会合が2011年8月18日夜に都内で開かれ、ニコニコ生放送で中継された。今回のテーマは「メディア」。マスメディアとネットメディアの展望について議論がなされた。そのなかでジャーナリストの佐々木俊尚氏は、震災時に「避難のための情報がほしい被災地と、原発事故の情報がほしい東京などでは求めている情報の種類が違う」とし、「均質な日本人、均等な日本がバラバラになりつつある」と、新たなメディアの形をデザインする必要性を説いた。

■被災地の避難所で「役に立ったメディア」とは

 番組で慶應義塾大学の菊池尚人准教授が示した「避難所の情報源に関するアンケート結果」(サーベイリサーチセンター調べ)によると、被災地の避難所では情報源としてラジオ61.9%、新聞31%、口コミ29%と、特にラジオが用いられたことがわかる。これについてエフエム東京の取締役・藤勝之氏は、「被災地において無料でラジオを配布したことや、電源がないなかでも利用できたことが理由だろう」と述べた。またフォアキャスト・コミュニケーションズの常務取締役・田村和人氏は、大震災後の津波をテレビで知った人が少ないという別の統計を引用。「ワンセグやカーナビのテレビでの情報入手は多かったようだが、バッテリーを消費するので止めたという声を聞いている」と述べ、被災地におけるデジタルメディアの有用性の低さを指摘した。佐々木氏は、「そもそも、避難のための情報がほしい被災地と、原発事故の情報がほしい東京などでは求めている情報の種類が違う」と述べた。

 こうした議論から、番組後半にはモデレーターの中村伊知哉氏が「『マスメディア』や『ソーシャルメディア』といった分け方が重要かと思われたが、どうやら関係ないという話になりつつある」と問題提起。日経新聞論説委員兼編集委員の関口和一氏が「政府の情報開示や、マスとソーシャルが一緒になって情報を共有する場作りが求められる」と述べると、佐々木氏は「均質な日本人、均等な日本というのがバラバラになりつつある。多様化する社会で、さまざまなメディアがさまざまな形で情報を届けていくことが出来るようになるべき」と指摘。震災を機に新しいメディアの形をデザインすることの重要性を説いた。

(慶應義塾大学メディアデザイン研究科)

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]第2回IT復興円卓会議を視聴する – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv59798260?po=news&ref=news#00:00

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