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「痛みの王様」「最も辛そう」と表現 死ぬ時に辛い病気は何か

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 できることなら安らかな最期を迎えたい。歳を重ねれば誰でもそう思うのが自然だ。しかし、当然ながらどんな死に方だと苦しむことになるのかという“体験談”を聞くことはできない。だから、余計に知りたくなる。そこで本誌は死の淵から生還した患者や、臨終の現場を見てきた医師の証言を集めた。そこから明らかになった「死の瞬間」の真実をレポートする。

 これはある男性の話。夜中に寝転びながらテレビを見ていて、ふと体の向きを変えた瞬間、背中のあたりに激痛を感じ、背骨に強い電流が走ったような刺激がずっと続いて床をのたうちまわった。呼吸と脈拍が一気に早くなって顔中から脂汗が垂れていく。風呂に入っていた妻が気付いて救急車を呼んだが、搬送される途中で意識が遠くなり、目が覚めた時に映ったのは―病院の白い天井だった。

 これはかつて石原裕次郎を苦しめた大動脈解離という病気だ。大動脈の内膜に裂け目が生じることで、猛烈な痛みに襲われる。ただし、米山医院医院長の米山公啓医師は「もしかしたら、死ぬ瞬間の苦しみはない病気かもしれない」と語る。

「大動脈解離は七転八倒するくらい激しい痛みを伴いますが、これは患者にとって『まだ生きられる』というシグナルでもあり、病院に駆け込んで応急処置をすれば命が助かることも少なからずあります。

 その一方で死因となる場合は血管が破裂し、出血多量で即死のことが多い。即死の場合、おそらく“痛くない”のでしょう。ただ、こればかりは亡くなられた方にしかわかりませんが……」

 医療関係者が「キング・オブ・ペイン(痛みの王様)」と呼ぶのが急性膵炎だ。膵臓は膵液という消化液を作る臓器だが、急性膵炎は出来上がった膵液がうまく流れず、膵臓内に炎症を起こしてしまうことで発症する。消化液が膵臓の細胞を溶かし壊死させる過程で鋭く重い痛みが生じる。

「急性膵炎は腹部を鈍器でえぐるような痛みが走るといわれます。以前、運転中に急性膵炎になった50代の患者が、あまりの痛みでハンドルを握れなくなり、交差点の真ん中で気を失って停車してしまったことがありました」(医師でジャーナリストの富家孝氏)

 重篤な急性膵炎の場合、命を落とすこともある。医師の多くが「最も辛そう」と話すのががんの骨転移だ。

「骨の周りには神経が束になっていて、そこまでがん細胞が侵食すると、強い痛みを生じます。がん細胞が大きくなるとともに痛みも強くなる。ほんの少し体を動かしただけで、思わず声をあげてしまう方もいます」(医療ジャーナリストで医師の森田豊氏)

 あまりの苦痛に「いっそ殺してくれ」と懇願する患者も少なくないという。緩和ケアで処方されるモルヒネの量では末期がんの骨転移には効かない場合が多い。かといって痛みを抑えるため多量のモルヒネを処方すると、昏睡状態に陥ることもある。いずれにせよ苦しみ悶えているのが「最期の記憶」になる。

※週刊ポスト2016年2月5日号


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