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食から社会の変革を考える!「食生態学」という学問に迫る

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「食の砂漠(フード・デザード)」という言葉を聞いたことって、ある?

 

今の日本では、過疎地域で近くにスーパーなどがなく、移動手段もなく食料品を買いたくても買えない高齢者がたくさんいる。

 

こういった問題を、「食の砂漠」という。そして、この分野を扱うのが『食生態学』という学問だ。

 

栄養学の一分野でありながら、食に関する幅広いテーマにかかわっている。

 

いったい、『食生態学』とはどんな学問なのだろうか?

この分野を専門とする女子栄養大学教授の武見ゆかり先生にお話をうかがった。

 

“食べる”ということを今より良いものにするための学問

 

「食生態学とは、人々をとりまく“食”にかかわる個人的要因に加え、社会の仕組みを明らかにする学問。例えばお米がどこで作られ、どう加工され、流通し、消費者の手元に届くのか、その消費者は何を考えてお米を選択し、どのような料理として、誰とどこで食べているかということを丸ごと扱うのが食生態学の研究分野です」

 

という武見先生。

 

 

食生態学は今から約50年前に女子栄養大学でスタートした学問だという。

 

例えば家族が一緒に食事をせず、一人ひとり個別に食べる『孤食』という現象も本研究室の調査結果によって世の中に知られるようになりました。食べることは個々人の生活ですが、食にまつわる問題は『個人が努力しても解決は難しい』という部分があります。このような個人ではどうにもならない問題を、地域での活動や国・自治体の政策レベルで解決するように働きかけるのも食生態学の役割です

 

若い世代の“食”への興味をいかに高めるか、を考える

 

現在、武見先生の研究テーマの一つが「若い世代の“食の貧しさ”」。

 

10~20代の若者は、朝食をとらない、コンビニやファーストフードで買ったもので済ませてしまう、家族で一緒に食べることが少ないなど、いろいろな問題が指摘されている。これによって心と体の健康が保てなくなるなど、さまざまな悪影響が及ぶ恐れがある。

 

どのようにしたら若い世代が“食”への関心を高め、量的にも質的にも貧しい状況を脱せるのだろうか?

 

 

「若者が“食”に興味をもつためには、小さいうちからさまざまな食体験をし、時には親と一緒にキッチンに立つことも大切」

 

と武見先生はいう。

 

いくら外食や惣菜の品ぞろえが充実しても、それだけで栄養バランスのよい食事を整えることは難しく、また、外のものにはなぜか飽きが来ます。ですから外食や惣菜・弁当などに頼らず、自分で食事を整える力が必要です。それを本研究室では『食事づくり力』と呼んでいます。この力をつけるには、小さいころは家族が食事を作る様子をそばで見たりお手伝いをしたりして、中学生や高校生になったら自分一人で主体的に食事を作る体験をすることが必要だとわかってきました

 

武見先生は、高校時代こそ、“食”に関しての興味をもって、楽しい食事作りの体験をしてもらいたいという。

 

 

毎日とは言いません。日頃食事を作ってくれる方が留守の時や、友達を家に呼んだ時などに、自分が主体的に食事を作って、人と一緒に食べる体験を高校生や大学生時代にしてほしいと思います。“おいしい“と言われる体験が次の励みになります

 

ニーズが高く、研究者も求められている学問分野

 

このように「食生態学」は“食”に対する幅広いテーマを研究しており、「食を通じて世の中をどう良くできるか?」ということを考えられるのが魅力だ。

 

栄養学は基本的には自然科学系の学問ですが、食生態学は文系にも理系にもどちらにも興味があるという人にはぴったり。特に今、少子超高齢化の社会にあって、人間の生活を“食”という観点から分析することへの社会的ニーズはとても高まっているので、研究しがいがあると思います

 

 

今日、朝食はとっただろうか?その朝食は誰が作って、誰と一緒に食べただろう?

毎日の食生活から自分を取り巻く環境を考えてみると新たな発見に出会えるかもしれない。

 

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