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アスベスト訴訟、国が3件連続で敗訴

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 建設現場でアスベスト(石綿)を吸い込み肺がんなどを発症したとして、大阪府などの建設労働者と遺族が国と建材メーカーに計約7億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は1月22日、一部の原告に対する国の責任を認めて、14人に計9746万円を支払うよう命じました。一方、メーカーへの請求は棄却しています。
 建設現場でのアスベスト被害を訴える集団訴訟は、2008年以降全国で提起され、今回が4件目の判決でした。
 国の責任は認め、メーカーの責任は否定する判決が続いていて、今回もメーカーの責任がどうなるのか注目を集めていました。1月22日の判決により、国は3件連続で敗訴したことになります。
 今回は、問題となっているアスベストについてどのような規制となっているのか、見てみたいと思います。

 アスベストとは、天然の鉱物繊維です。極めて細い繊維で、熱、摩擦、酸やアルカリにも強く、丈夫で変化しにくいという特性を持っていることから、建材(吹付け材、保温・断熱材)や、摩擦材(自動車のブレーキ)といった様々な工業製品に使用されてきました。
 しかし、アスベストはその細く軽い性質から、吸入すると肺の奥まで入ってしまう可能性があり、長期間高濃度の環境の中にいると、塵肺、肺線維症、肺がん、悪性中皮腫、といった深刻な健康被害が発生することが明らかになりました。

 そこで、法律はアスベストについて規制を行いました。
 労働安全衛生法では、建物の解体等の工事で生じるアスベストの粉塵が作業環境を著しく汚染し、労働者の影響に重大な影響を及ぼすことを防止する観点から、作業場内の基準を定めています(労働安全衛生法施行令6条)。

 廃棄物の処理及び政争に関する法律では、アスベストの処分を行う際に、分別、保管、収集、運搬等について処理基準を定めています。
 建築基準法においても、建築材料に吹付けアスベスト等の使用禁止や建築物の大規模な増改築時におけるアスベストを吹きつけたロックウールの除去義務等を定めています(建築基準法28条の2等)。
 これら以外にも、大気汚染防止法や、建設リサイクル法等によっても規制が行われています。

 また、アスベストによって健康被害を受けた方を救済する法律もあります。
 石綿による健康被害の救済に関する法律(「石綿健康被害救済法」といいます。)は、日本においてアスベストを吸入することによって、特定の病気にかかった被害者を迅速に救済するために制定されました。
 労災の対象とならない周辺住民に対して救済給付を、労災補償を受けずに亡くなってしまった労働者の遺族に対して特別遺族給付金を支給することで、救済を行うという制度を定めています。

 なお、仕事により発症した場合は労災保障の対象となるためこの法律の支給対象からは外れます。平成23年に改正石綿健康被害救済法が施行され、特別遺族給付金の支給対象が「平成28年3月26日までに亡くなった労働者の遺族」に拡大され、請求期限が「平成34年3月27日」までに延長されました。

 近年、「お宅の壁にアスベストが塗りこまれているのでリフォームが必要だ」といったような、悪質なリフォーム業者による被害もあるそうですので注意が必要です。
 アスベストにさらされているかの相談は、アスベスト疾患センターや都道府県保健所で行うことができますので、心配だと思った時はまずは相談してみましょう。

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アスベスト訴訟、国が3件連続で敗訴

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