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カンボジアの長粒米を輸出できるレベルに精白 念願果たしたタイワ精機

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国民の平均年齢が23.3歳と若く、経済成長が著しいカンボジアは、海外企業から「いま進出すべき国」と目されている。2015年1月12日放送の「未来世紀ジパング」では、そんなカンボジアで貧しい農村を技術で助ける日本企業を紹介していた。

カンボジアは国民の64%が農業に従事しており、そのほとんどがコメ農家だ。その暮らしは国の成長とは裏腹で、「世界コメ流通業者品評会」で3年連続1位を獲得した農家でも、「生活は厳しいまま」だと言う。
セレモニーでバリバリに割れ「穴があったら入りたい」

収穫はいまだに手作業で、運ぶのは牛の運搬車。脱穀は稲を叩きつける昔ながらの手法だ。精米技術も未発達で、小石が混入したご飯を食べて歯を折ることも珍しくない。

農家が精米できないのをいいことに、市価の半値で買い叩く米ブローカーもいる。モミ付きの米はベトナムなどに無許可で輸出され、年間およそ200万トンともいわれるヤミ米が海外に流出している。

富山県にある従業員45人のタイワ精機は、コイン精米機で日本トップクラスのシェアを誇る。1996年にカンボジアのフンセン首相の依頼を受け、1台の精米機を寄贈した。期待を集めセレモニーが盛大に行われたが、最新鋭の機械を動かすとコメがバリバリに折れてしまった。

「日本式に言ったら、商品価値がないくらいに割れる。穴があったら入りたいくらい恥ずかしい思いをした。プロじゃなかったら恥ずかしくないけど、プロだったのでね」

当時社長だった高井芳樹会長は、屈辱をこう振り返る。原因は、日本の精米機をそのまま持って行ったためだ。カンボジアのコメは長粒米で、細長く粘りが少ないため折れやすい。粘りが強く折れにくい日本の短粒米とは全くの別物で、精米のやり方を変えなければならなかった。
果たしたリベンジ「全然砕けていない。ピカピカだよ」

長粒米は世界のコメ生産量の8割以上を占め、番組ゲストのニューヨークタイムズ特派員のジョナサン・ソーブルさんも「欧米ではライスと言えば長粒米のこと」という。

2010年、フンセン首相はコメの輸出を1.6万トンから10年で100万トンに増やそうと通称「ライス・ポリシー」政策を打ち出したが、精米の質が低すぎて輸出が伸びていない。

タイワ精機は、一度は長粒米用精米機の見送ったものの、2009年に開発を再スタートさせ、2013年に商品化に成功した。プノンペン郊外に工場を建設し、長粒米用の精米機を普及させようと考えている。

この精米機を日本のJICA(ジャイカ)が、米どころタケオ州の農協に無償提供。現地で精米すると、「全然砕けていない。ピカピカだよ」とみな笑顔だ。農協の副組合長・ブンマオさんは飲食店などに熱心に営業活動していた。

この様子を現地で見守った高井良一社長は、「(農家が)自分たちで売れれば付加価値も高まり農村の裕福さにも寄与できる」と語った。番組ナビケーターの山口義行氏(立教大学経済学部教授)は、タイワ精機の開発秘話をこう説明した。

「コメはモミのまま輸入できないので、カンボジアに研究所を作り、大事な技術者を張り付けて開発を行った。中小企業としては大変な負担ですよね」

夢は大きく「カンボジアの1次産業をアジアの一大産業に」

およそ5000万円の精米機がカンボジア国内で30台売れ、さらに8台の予約が入っている。世界で流通するコメの8割が長粒米ということは、この精米機は全世界で売れる可能性を持っていることになる。

番組では他に、奈良の農薬会社の二代目・阿古哲史さん(30歳)が設立したジャパン・ファーム・プロダクツも紹介。カンボジアの農家を指導し、無農薬野菜作りを委託。新たな流通ルートも確立していた。阿古社長は「この国の1次産業をアジアにおける一大産業に、というのが我々のビジョン」と意欲を語った。

決して有名ではもなく、規模も小さいが、その国と地域に貢献しながらビジネスを成功させている企業が数多くある。その熱意と努力は、大企業に決してひけをとらないものだと感じた。(ライター:okei)

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