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映画『信長協奏曲』 秀吉を演じる山田孝之の「暗黒」が見所

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 1月23日に公開スタートした映画『信長協奏曲(のぶながコンツェエルト)』。公開から2日間の興行収入&観客動員数で1位を獲得。小栗旬を主演に、月9ドラマ史上初の時代劇として話題を集めた作品はスケールアップした劇場版でも注目を集めている。「本能寺の変」が描かれる劇場版はいったいどんな作品になっているのか? 時代劇研究家でコラムニストのペリー荻野さんが見所を解説する。

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 そんなわけで、やっとのこと結末が映画で公開された『信長協奏曲』。ドラマ版では、突然、戦国時代にタイムスリップした高校生サブロー(小栗旬)が、自分のうりふたつの織田信長に遭遇。病弱な自分に替わって信長として生きてくれと頼まれる。そんな大事をほいほい引き受けるサブローの能天気さにはびっくりだが、信長として屋敷に帰ってみると、そこには生真面目男の池田恒興(向井理)や髭ヅラの熱血男柴田勝家(高嶋政宏)ら織田の家臣団や妻の帰蝶(柴咲コウ)までずらりと揃っていて、二度びっくり。

 とりあえず、どっかり殿様席に座ったものの、「え、マジで?」などと武将としての常識も風格もゼロのサブローは、帰蝶に「うつけ」と呼ばれる始末。しかし、血みどろの戦いを経ても「やっぱ平和が一番でしょ」などと戦国の常識にとらわれないサブローは不思議に家臣たちをまとめ、快進撃を続けて行く。

 映画版では、いよいよ信長が明智光秀に急襲される「本能寺の変」が描かれる。ポイントは頭巾で顏を隠した光秀が実は本物の信長ということ。光秀は家臣や妻の心をつかむ偽物を憎んでいる。ということは、本物が偽物を抹殺する流れですね、と納得しかかったそこの人! それだけじゃありません!

 日本史最大のミステリーともいわれる光秀の反逆とともに、ドラマで氷点下の冷たさを漂わせていたあの羽柴秀吉(山田孝之)の不穏な動きに注目せねば。信長に肉親を殺された過去を持ち、憎しみを募らせる秀吉は、気が付くといつも日影にいて、顏の半分は真っ暗という見た目も暗黒男。戦の勝利でみんながわっはっは!と明るく笑っているときでも、秀吉のところだけ薄暗く、逆スポットライトが当たっているようなのである。

 おお、これぞ、『闇金のウシジマくん』などで見せた山田孝之得意のダークモードではないですか。憎い相手を平然と刺し殺し、マンガのごとく常に顏に黒いしましまが入っている秀吉。ドラマでは、サブロー信長が「長政くーん」と呼び、友人関係にあった浅井長政(高橋一生)を裏切らせる陰謀を仕掛けたのもこの秀吉だった。サブローはそんな秀吉を「サルくん」と呼んでにこにこしている。あんまり口を開かずにしゃべる山田孝之は危険なのに。油断しすぎだ。

 そして、その暗黒パワーの極め付けは、映画の予告編でも出てきた戦国最高の名セリフともいえる「敵は本能寺にあり!」を秀吉が言っちゃってること。それは光秀のセリフでしょ!と驚いた人も多いはず。それにいつもぶつぶつとつぶやくような話す秀吉が、このときばかりは元気いっぱいなのである。

 一方、歴史音痴のサブローは「オレ、死ぬの?」と困惑。運命に逆らって見せると、帰蝶に、本能寺で結婚式をあげようと言い出す。サブローの夢も希望も帰蝶の涙も秀吉のブラックホールに吸い込まれるのか。そこが映画の大きなみどころだ。

 それにしても、ドラマの最終回では秀吉の陰謀に気が付いた賢人竹中半兵(藤木直人)を本物信長が斬り捨てていたが、暗黒演技ではまだまだ小栗旬はダーク山田には負けている。すごいな、秀吉。


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