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“人権がない”? 無戸籍者たちが抱える苦悩

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 衆議院議員であり、ジャーナリストとして活躍する井戸まさえさんが著したノンフィクション『無戸籍の日本人』(集英社/刊)は、これまであまりスポットライトのあたらなかった“無戸籍者たち”に光をあてた一冊である。

 無戸籍者とは戸籍を持っていない人のことで、日本では推定で一万人以上いるといわれている。戸籍がないということは、例えば、教育や福祉の公的サービスを受ける際に支障をきたすこともあるということだ。
 井戸さんは自身の子どもが無戸籍児になってしまったことをきっかけにその問題に目を向け、現在は支援活動を行っている。彼女がその“現場”で見つめてきたこととは? そのお話をうかがった。
(新刊JP編集部)

  ◇    ◇    ◇

――「無戸籍者」にスポットをあてた衝撃的な一冊です。その人数は推定1万人以上にものぼると言われていますが、なぜそういった人が生まれてしまうのでしょうか。

井戸:主因は民法772条2項、いわゆる「離婚後300日問題」と経済的困窮やDV等の問題を孕んだ児童虐待、ネグレクトが絡む、と言われています。

――井戸さんは無戸籍者の支援活動を行っていますが、そのきっかけについて教えて下さい。

井戸:自らの子も「無戸籍児」となった経験からです。行政からは「存在しない子」と言われ、本当につらかった。そしてこんなことがあってはならないと思いました。
私がこの問題に打ち当たった14年前は弁護士さんたちに相談しても誰も受けてくれないというような状況でした。ならば、私がやろうと。

――無戸籍者の方々からの相談としてはどのようなものが多いのでしょうか。

井戸:まず、調停・裁判の手続きに関しての相談。そして健康保険証や健診等について。
調停・裁判をしないと基本的には住民票がとれないので、そうなると福祉関係や就学等に支障が出る場合があるんです。そうしたことを心配して、もしくは困って相談というケースが多いです。

――無戸籍が生まれる背景として、その家族や取り巻く環境による要因が非常に大きく、家族もまた苦しみを抱えています。過去13年間、井戸さんが無戸籍者とそのご家族の支援活動を行ってきた中で、彼らを取り巻く環境・状況に変化を感じることはありますか?

井戸:そうですね。支援を始めた当初は前夫に子どもの存在を知られたくないとか、親御さんたちの立場からの相談が主だったのですが、最近では成人無戸籍当事者の方たちからの相談も多いです。
戸籍がないまま成長せざるを得ない方たちの場合、生活困難など別の問題を抱えていらっしゃる方々も多く、そうした場合は家族関係も崩れているケースも少なくありません。
戸籍を取るためにはまず家族の再生が必要なので、そのあたりは支援をしていても難しいなと感じる部分でもあります。

――私たちは戸籍に対してその重さや存在を感じることが少ないと思います。戸籍の重みについて井戸さんはどのように考えていますか。

井戸:通常「あって当たり前」のものですから。ただ、今の日本では戸籍に載らないと生活の基盤すらない、つまり人権がないということになります。
支援をして来た中では戸籍に「バグ」が多いことも気づかされます。この国の登録制度として適切かどうかは、別途議論が必要ではないかと思います。

(後編へ続く)


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