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子供の戸籍をめぐる法律(2)

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 前回に引き続き子供の戸籍をめぐる問題について取り上げたいと思います。

無戸籍児問題

 文部科学省は今年の7月に、出生届が出されていない無戸籍の子供が全国の小中学校で少なくとも142人いて、現在も学校に通っていない1人を含む7人に未就学期間があったと発表しました。
 最近、新聞やインターネットで、「無戸籍児問題」「離婚後300日問題」といった言葉を目にすることが多くなり、また数年前には無戸籍である人が主人公となるドラマも放映されました。
 身近になりつつある「無戸籍児問題」、これはどのような問題なのでしょうか?

 戸籍法では、子供が生まれた場合、出生の届け出を原則14日以内にしなければならないとしています(法49条)。しかし、日本人であることは明らかですが、何らかの事情で出生届が出されなかった人の問題を、無戸籍児問題と言います。

 戸籍は、法律上の親子関係を公証するものですので、出生届には、法律上の親子関係のある父母を記載しなければなりません。子供の父母が婚姻している場合には、夫を父、妻を母とする出生届を提出すれば、出生届が受理されて、子供が戸籍に記載されます。

 ここで、子供の血のつながった父(血縁上の父)が夫とは別の男性である場合には、血縁上の父と法律上の父が異なることになります。
 この場合に、血縁上の父を父とする出生届を提出しても、出生届は受理されません。なぜなら、市区町村区の戸籍窓口では、子供の法律上の父が血縁上の父と同じなのかそうではないのかという実質的な審理が出来ないからです。

 そして、民法は、母が離婚後300日以内に出産した場合には、元夫の子として扱うと定めています(民法772条)。母が再婚し、子供の血縁上の父は現在の夫であったとしても、離婚後300日以内に産まれた子は、原則として元夫を父とする出生届しか受理されず、戸籍上も元夫の子として扱われることになります。

 このような扱いを避けるために、母が出生届を提出せず、子供が無戸籍となってしまうケースが多発しました。
 なお、無戸籍児問題が起こる理由の7割は、この民法772条の規定が背景にある、といわれています。

 では、戸籍がないとどのような問題が起こるのでしょうか?
 日本では行政上の手続を受ける場合に、戸籍を基準とすることが多いため、行政サービスが受けづらくなる場合があります。
 近年無戸籍児問題を受けて、住民票への記載、パスポートの発給、国民健康保険、保育所への預け入れ等も出来るようになりましたが、サービスを受けるためには通常よりも厳しい条件が課せられています。

 例えば、住民票の記載が認められるためは、出生証明書、母の戸籍謄本(又は戸籍抄本)、認知・親子関係不存在確認の調停を申し立てていることを証明する裁判所の書類等が必要とされています。

 このように行政サービスを受ける途は一応開かれているものの、まだまだ厳しい状況であるといえます。
 次回も引き続き、無戸籍児問題について取り上げます。

元記事

子供の戸籍をめぐる法律(2)

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