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貧困問題と大気汚染を同時に解決するIoT技術が興味深い

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新興国では、車両の排出ガスによる大気汚染が問題となっている。車両の多くが古い型で、排出ガス対策が十分でないからだ。市民の多くは、貧しさから新しい低炭素型車両への買い替えが難しい。日本では新車を買うときにローンを組むのが一般的だが、「貧しすぎて、お金を貸しても返ってくるかどうかわからない」(与信審査に通らない)ため、買い替え資金を調達することができない。そんななか、日本のベンチャー企業が開発したIoTサービスモジュールが、この問題を解決するソリューションとして注目を集めている。

GMS社が開発したMCCS(Mobility-Cloud Connecting System)は、自動運転技術の一部を自動車向けIoTサービスとして提供するモジュールで、自動車、二輪車、建機、農機などに後付けで搭載。あらゆるモビリティをコネクテッド・カー(ネットワークに常時接続し、多くのセンサーを搭載した通信機能を有する自動車)化してクラウドに接続する。従来の自動車向けテレマティクス(モバイル通信を利用した情報サービス)では、車両の位置情報や利用状況などの情報収集に機能がとどまるものがほとんどだったが、MCCSには双方向通信による遠隔起動機能が付加されていることが特徴だ。


車両提供サービスの仕組み(提供:GMS)

遠隔起動機能があるということは、遠隔で停止することもできるということ。これを利用して、支払われるべき入金がされなかった場合や、指定エリアからの逸脱など契約条件に抵触した場合、該当車両を起動しないように制御することが可能になる。つまり、MCCSを車両に取り付けることで、「お金を払わずクルマを持ち逃げされる」リスクを格段に低減できるのだ。こうすることで、「与信不要」な新しいビジネスモデルが可能となる。


フィリピンの庶民の足であるトライシクル(側車タイプ) オーソドックスな乗客定員4人のタイプ(DocodemodoaCC-BY

これを利用して、大気汚染対策と貧困対策に乗り出したのが、フィリピンのマカティ市だ。フィリピンでは、ガソリンを燃料とするトライシクル(三輪車)が日常の移動手段として定着しているが、これらの多くはオイルとガソリンを一緒に燃焼させる仕組みのエンジンを採用しているため燃費が悪く排気ガスが汚い2ストローク車両で、大気汚染問題が深刻化している。だが、トライシクルの運転者の多くは貧しく資金調達ができないため、車両の更新は困難だった。


新たな車両提供サービスにより電動トライシクルを導入するマカティ市トライシクル組合(提供:GMS)

2015年10月にマカティ市とGMS社のあいだで締結された覚書では、GMS社は車両メーカーから環境にやさしい4ストローク車両や電動車両などの低炭素型車両を仕入れ、MCCSを取り付けてリース会社に売却することを定めた。リース会社はその車両を与信審査なしでドライバーに貸す。こうすることで、ドライバーはお金がなくても新しい車両を利用できるようになる。

ドライバーに資金がなくても、車両が更新でき、大気汚染の低減につながる。また、そもそも車両を購入したり、借りたりできないためにドライバーにもなれなかった人にも車両利用機会を与え、商用タクシードライバーとしての経済参画を促すことで、市民の雇用を創出し所得水準を向上させることを目的としている。

近年、Finance(金融)とTechnoogyをあわせた「FinTech」という言葉が聞かれるようになったが、これもその領域の新たなサービスだ。

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