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複数のテーマを敢えて“だらだら”追究する。その継続こそが、一人の天才に匹敵する価値を生み出す?──ZUU・CTO後藤正樹

「コミュニケーション」を軸に様々なサービス開発にチャレンジ

私がこれまで携わってきたサービス開発で共通している点があるとすれば、それは「コミュニケーション」でしょうか。どんなサービスも、主役はあくまで人。人と人とがITの技術を活用しつつ、いかに円滑なコミュニケーションができるかを追求することで、有益な価値をもたらすと、考えています。

最初に就職したサイボウズでは、社内の情報共有をいかに円滑にするかというテーマで開発。現在勤務しているZUUでは、金融という複雑かつ専門性の高いテーマに関して、誰もが気軽に金融に関する相談ができるプラットフォームを構築することによって、金融情報の非対称性をフラットにすることが大きなテーマです。

また、同時に5年前から個人的に取り組み、最近法人化した「コードタクト」では、小中学校におけるタブレット学習の本格導入に合わせて、先生と生徒にとってタブレットを介した理想のコミュニケーションツールや環境を構築しようとしています。それぞれ全くジャンルが異なるものの、「コミュニケーション」という共通のテーマを通じて、社会に貢献していくスタンスは全く同じなのです。

▲株式会社ZUU CTO 後藤 正樹 氏
東京大学大学院では人工生命をはじめとした複雑系と呼ばれる物理を研究。洗足学園音楽大学指揮研究所卒業。独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)「未踏IT人材発掘・育成事業」において2010年度スーパークリエータに認定される。オンライン英会話のベストティーチャー元取締役CTO。株式会社ZUUの技術顧問を経て、現在、株式会社ZUU CTO、株式会社ライトワークス技術顧問、琉球フィルハーモニックチェンバーオーケストラ”イオ” 副指揮者、日本デジタル教科書学会委員、株式会社コードタクト代表取締役。

アインシュタインに勝つために、ITを駆使して凡人の英知を結集させる

私にとって、ITは「一人の天才」に対して、凡人が対抗できるための有力な手段だと考えています。人類の歴史は、一人の天才によって大きく進化してきました。

物理の世界でいえば、アインシュタインがまさにその天才です。アインシュタインが相対性理論で「世界観や技術」に大きなパラダイムシフトを起こしたように、たった一人の突飛なアイデアが世の中の常識を大きく変える。

一方、誰しも天才のように社会の仕組みを大きく変える活躍がしたい、と考えたことがあるはず。私も昔からクラシック音楽の指揮者として活動してきましたが、クラシックの世界にも天才はいて、どう頑張っても敵わないと挫折したこともあります。

しかし今、ITという技術を使って多くの人のアイデアを結集させることができれば、そこから集合知としての「アインシュタイン」を生み出すことができる。だからこそ今、私は先ほど触れたコミュニケーションの円滑化を、ITの力を活用して実現しようとしているのです。

「やめずに、だらだら続ける」その先に、新たなチャンスが

これまで触れてきたように、私は「教育」「金融」「クラシック」等、全く異なるいくつものテーマを追求しています。基本的な性分として、「辞めることが嫌い」という考えが根底にあります。

ただし、どんなことでも全力で取り組む、というスタンスではなく「あえて、だらだらやる」というスタンス。例えば教育分野の場合、2011年に未踏スーパークリエータに認定されましたが、その頃はまだタブレットが学校にあまり普及しておらず、そもそも市場がなかった。

けれど懲りずに週2回くらいの頻度で開発を“だらだら”続けていたら今年、ようやく国が2020年までを目標に小中学校におけるタブレット学習を普及させる動きがスタートしたので、今まで取り組んできたことがようやく実を結ぼうとしています。

クラシックは再現音楽の性質を持ち、楽譜から作曲者の意図を忠実に読み取り再現するのですが、正直に言うと、以前は楽譜から得られる宝石のように美しい情報に気付けなかったため、単純な音楽しか作れず、このまま続けて良いのだろうかという迷いがありましたが、それでも続けました。

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