なぜ、今「小屋」? 無印良品がMUJI HUTをつくったわけ

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なぜ、今、「小屋」? 無印良品がMUJI HUTをつくったわけ

“ミニマルライフ”や“コンパクトライフ”といった、モノを持たないシンプルな生活が注目されています。その流れを受けて「小屋での暮らし」にも脚光が集まり、最近はデザイン性に富んだ小屋も続々と登場してきました。
そうしたなか、雑貨から家具、家電までシンプルかつ斬新なデザインが持ち味のブランド「無印良品」も「MUJI HUT」という名の小屋の模型デザインを発表。どうして無印良品が小屋をつくったのか、その理由を聞いてきました。
「アルミ」「木」「コルク」デザインや大きさの異なる3種類の小屋

11月に東京ミッドタウンでの展示ではじめてお披露目された「MUJI HUT」は、全部で3種類。まずは、そのラインナップを紹介したいと思います。

【画像1】コンスタンチン・グルチッチ氏のデザインによる「アルミの小屋」。日本の配送トラックにインスパイアされ、荷台の部品と断熱性に優れた構造を取り入れた(画像提供:無印良品)

【画像1】コンスタンチン・グルチッチ氏のデザインによる「アルミの小屋」。日本の配送トラックにインスパイアされ、荷台の部品と断熱性に優れた構造を取り入れた(画像提供:無印良品)

【画像2】木の温もりを感じる内装は、ロフト付きで縦の空間を活かした造り。和の落ち着きを感じる障子仕様の扉と窓も魅力(画像提供:無印良品)

【画像2】木の温もりを感じる内装は、ロフト付きで縦の空間を活かした造り。和の落ち着きを感じる障子仕様の扉と窓も魅力(画像提供:無印良品)

【画像3】深澤直人氏のデザインによる「木の小屋」。2人で利用することを想定した25平方メートルの開放的な造りが特長。外壁には黒塗りの杉材とトタン屋根を採用している(画像提供:無印良品)

【画像3】深澤直人氏のデザインによる「木の小屋」。2人で利用することを想定した25平方メートルの開放的な造りが特長。外壁には黒塗りの杉材とトタン屋根を採用している(画像提供:無印良品)

【画像4】内装には美しい木目が魅力のタモ材を採用。全面に木材を使用しているため、木に包まれたような温もりを感じる(画像提供:無印良品)

【画像4】内装には美しい木目が魅力のタモ材を採用。全面に木材を使用しているため、木に包まれたような温もりを感じる(画像提供:無印良品)

【画像5】ジャスパー・モリソン氏のデザインによる「コルクの小屋」。3つのなかでは最も広い35平方メートルの小屋。家の外と中をゆるくつなぐ縁側も設置されている。また、外壁には安心できる強度をもつポルトガル産のコルクを使用(画像提供:無印良品)

【画像5】ジャスパー・モリソン氏のデザインによる「コルクの小屋」。3つのなかでは最も広い35平方メートルの小屋。家の外と中をゆるくつなぐ縁側も設置されている。また、外壁には安心できる強度をもつポルトガル産のコルクを使用(画像提供:無印良品)

【画像6】小屋内部には、ゴロゴロできるようにと畳が一面に敷かれている(画像提供:無印良品)

【画像6】小屋内部には、ゴロゴロできるようにと畳が一面に敷かれている(画像提供:無印良品)

5日間にわたる展示期間中には、たくさんの来場者が足を運んだそう。客層も年配の夫婦や若いカップル、ファミリー層などさまざまで、なかには具体的な販売日や価格を尋ねる人も。小屋に対する興味関心は、幅広い層に広がりをみせているようです。3種それぞれのバリエーションを増やした商品開発を目指す

ちなみに、この3つの小屋のラインナップはどのようにして決められたのでしょうか? 「MUJI HUT」企画責任者で良品計画企画デザイン室長を務める矢野直子さんに聞きました。

「最初にテイストの方向性を特に決めず、3人のデザイナーに自由につくっていただきました。結果、素材もデザインも自然とばらばらになりましたね。『アルミの家』を手掛けたコンスタンチンさんだけには、”10m2以内でつくってください”とお願いしていたのですがやはりテーマは指定せず、自由な発想で手掛けてもらいました。3人ともプロダクトデザイナーなので、内装のディティールやつくり付けの家具やキッチン、壁に設置されたテーブルなど随所に”らしさ”を感じました」(矢野さん、以下同)

今後は商品化して販売することも考えているそう。ちなみに商品化にあたっては、内装のデザインやサイズなどある程度タイプを選べるように進めていくとのことです。

「ミニマルでコンパクト、コストを削減しつつ無印良品ならではの『MUJI HUT(小屋)』を展開していきたいと思っています。お客様によって小屋に求めるものも違うので、現在どんなカスタマイズ要素を追加するべきか、商品化に向けて具体的に内容を詰めている段階です。例えば、北欧では電気もないような環境で過ごすことが楽しみ方のひとつになっていて、その延長に小屋があります。夜はろうそくに火をつけて暖炉に薪をたいて、日中は森を散策してベリー摘んだりして楽しんでいるようです。その一方で、設備はしっかり整っていてほしいという方もいるので、しっかりタイプ分けしていきたいと思っています」

最近は家の販売や団地のリノベーションなども手掛けている無印良品ですが、なぜいま小屋なのでしょう?

「現在、日本では820万戸の中古物件が余っていることが問題視されています。当社としても何とか改善できないかということで、『MUJI RENOVATION CLUB』という住宅のリノベーションを促進する事業をスタートさせました。そうした取り組みの中で、都会ではリノベーションをして賢く気持ちよく暮らし、余暇は都会から少し離れた郊外で、『キャンプ以上・別荘未満』の住まいに滞在してのんびりと過ごす、そんなライフスタイルの提案ができないかと思案していたんです。
その延長として去年持ち上がったのが、MUJI HUTの企画。小屋ならコストも抑えながら、多拠点での暮らしも叶うのではと考えました。また、会社として千葉県の鴨川に田んぼを借りていて、有志で田植えをしているのですが、現地に訪れたときに『お風呂がついているような、ちょっとした小屋があるといいよね』という会話が生まれたことも、小屋開発のきっかけになりましたね」小屋で過ごす時間が生活に豊かさをもたらす

“車ではなくて小屋が欲しい”という若者層の新たなニーズ創出と、ライフスタイルの選択肢をつくっていきたいと語る矢野さん。将来的には、個人向けにも小屋の販売をスタートする予定とのこと。

「いまは仕事のモバイル化が進んでいるので、働き世代でも多拠点居住ができる環境に移り変わってきています。これまでリタイアメントライフという言葉でくくられていた田舎暮らしが、20代30代の若手中間層でも実現していくといいなと思っています。そんな暮らしを叶えるツールのひとつとして無印良品の小屋を選んでもらえたらいいなと。都会の喧騒から離れて、週末だけでもちょっとホッとするのに訪れる場所があれば、きっと生活が豊かになるはずだと思います」

自然に囲まれたなか、自分だけの住まい基地を持つことは多くの人にとって憧れでもあります。家具や雑貨といったツールで、私たちの暮らしに新たな価値やデザインを吹き込み、支持されてきた無印良品が3つの小屋をどのようなプロダクトにしていくのか、今後の展開に期待が高まります。●取材協力
・無印良品/MUJI HUT
元記事URL http://suumo.jp/journal/2016/01/18/104351/

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