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フランス家族を描く映画『愛しき人生のつくりかた』監督インタビュー

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右からダヴィッド・フェンキノス、ジャン=ポール・ルーヴ、ミシェル・ブラン(ミシェル役)

TRiPORTライターのレティです。

フランスをはじめ、ドイツやベルギーなどで2015年にヒットした映画『愛しき人生のつくりかた』(Les souvenirs)が、ようやく日本でも公開。

パリで暮らすマドレーヌが、夫に先立たれるシーンから幕が開けます。夫と共に住んでいたアパルトマンで思い出に囲まれながら、静かな日々を送るマドルーヌ。そんな彼女が、ある夜にケガで病院へ運ばれます。85歳のマドレーヌを心配した息子たちは、彼女を老人ホームへ入れることに。しかし、まだまだ元気なマドレーヌは自分の夢を実現するために老人ホームを飛び出しました。

定年退職して自分の居場所を失った息子のミシェルが警察にいなくなったマドレーヌを探してほしいと助けを求めますが、門前払いされて落ち込む日々。ちょうどその頃、夢を持たず恋もしない孫のロマンがマドレーヌから絵はがきをもらい、祖母(マドレーヌ)を探しに旅立ちを決心します。

高齢者が増える社会や家族関係の変化、3世代に渡って家庭の問題を描くこの作品は日本でも共感を得るはず。今回は監督のジャン=ポール・ルーヴさんに、お話を伺いました。

―映画の前半はパリが舞台となっていますが、撮影されているのは無名な場所ばかりで、観光スポットはあまり出ていません。監督は、どのようなパリを描こうと思ったのでしょう?

みんなが想像している大都市のパリではなく、私の中のパリを見せたかった。だからパリに住む人が送っている日常生活のパリ、地方の都市のようなパリを撮影しようとしたのです。

―一方、後半はノルマンディーのエトルタが舞台になっていますが、映画の中でパリとエトルタはどういう関係を持っているのですか?

ダヴィッド・フェンキノスの同名小説が映画の原作となっていますが、それもマドレーヌが老人ホームを飛び出してエトルタに行きます。原作でも映画でも、パリは主人公の現在を意味しているのに対して、エトルタは彼女の過去であり、思い出の場所として描かれているのです。

―そういえば、フランスでは映画も原作も題名が「思い出」(Les souvenirs)になっていますね。

そうですね、ダヴィッド・フェンキノスの小説”Les souvenirs”において「思い出」が重要な要素であり、原作の流れの中に映画を位置づけたかったので、同じタイトルを使いました。

―ルーヴさんは監督だけではなく、『愛しき人生のつくりかた』の作品中にもロマンが働くホテルの主人として登場していますよね。この人物の役割について聞かせてください。

ロマンの父ミシェルと競争する人物としては描きたくなかったので、ロマンの兄のような存在にしました。原作ではこの人物は60代の男性ですが、映画ではもっと若くしようと思いました。お父さんやお母さんと同じ世代の人物だとなかなかロマンとの関係が築きづらいですが、親や祖母と違う世代の人物に設定することで、ロマンとのいい距離感を描けたと思います。

―映画の中で「高齢者問題」や「家族の危機」が描かれていますが、この作品はフランスの現代家族における問題を反映しているのでしょうか?

日本と同じようにフランスでも、この映画で描かれている以上に家族内の関係が複雑になっています。『愛しき人生のつくりかた』では、このモチーフを中心に一つのフランスの家族を描きましたが、観客にとって自分が置かれている家庭状況を振り返るきっかけになると思います。
また、映画の中で孫ロマンと祖母マドレーヌの関係が理想的な関係になるようにつくりました。現代のフランスの家庭では、このような関係の祖母と孫はほとんど見られないですが、あえてポシティブな関係を描くことによって、自分が今存在していることが、両親、またその両親によるものであり、過去の積み重ねだと、この映画で伝えたかったのです。


『愛しき人生のつくりかた』は1月23日〜ロードショー。公式サイトはこちら

聞き手・文:Letizia Guarini

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