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『あさが来た』友近 芸人として培った観察眼が演技に直結

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 好調が続く朝の連続テレビ小説『あさが来た』(NHK)。主人公・あさ(波瑠)を支える女中・うめを好演しているのが友近(42才)だ。お笑い芸人として変幻自在のキャラクターを見せる彼女は、朝ドラでも脇役として独特な存在感を発揮している。友近の演技力についてテレビ解説者の木村隆志さんが分析する。

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 このところ朝ドラでは、女性芸人の出演が定番化していましたが、友近さんは別格。うめが務める今井家の升毅さんと寺島しのぶさん、加野屋の近藤正臣さんと風吹ジュンさんなどの実力派俳優がそろう中、演技面で浮いてしまうことはありません。今や「脇役の1人」というより、「ヒロイン・あさとの名コンビ」というポジションの印象すらあるくらいです。

 たとえば、「なんでだす?」を繰り返し、大股で歩くあさを「おあさ様!」といさめるシーンは毎回絶妙。あさの奔放なキャラを引き立てるような芸人らしい間の取り方で、ほっこりとした笑いを生み出しています。

 その他のシーンで目立つのは、セリフの前後にひと呼吸入れるような、タメのある間合い。多くを語るのではなく、表情や仕草を軸にした演技で、「ときには母のように、ときには姉のようにあさを見守る」、うめの温かい人柄を表現しています。

 もともと友近さんは、視線の角度や手足の動きひとつで、感情表現できる演技力の持ち主。地元愛媛でのレポーター、旅館の仲居、通天閣のエレベーターガールなど、さまざまな経験で培った観察眼は、そのまま演技に直結し、感情を説明するようなセリフは必要ないのです。それまで一人コントの得意ネタだった「極道の妻」を、映画『地獄でなぜ悪い』で演じ切ったように、友近さんの芸はそのまま俳優業にも通用するのではないでしょうか。

 友近さんには2度インタビューしたことがありますが、ご本人は、外見や大声、ダジャレやお約束などで笑いを取るのが嫌いな“笑いの職人”。これまで時間をかけて自分が納得できる笑いを追求してきましたが、役作りでもその職人気質は変わりません。うめの役作りでは、「できるだけ存在感を薄めることで、陰からヒロインを支える姿を表現しよう」というスタンスが見えます。

 友近さんはバラエティー番組を見れば分かる通り、前へ出てしゃべり倒す派手な芸人ではなく、ボソッとひと言で笑わせる地味なタイプ。そもそも27歳で養成所に入り、30代に入ってブレイクした遅咲きだけに、「ヒロインに生涯を捧げ、恋心をそっと忍ぶ」、幸薄いうめの役がとても似合っています。

 物語は、亀助とふゆが結婚し、「次は、うめと雁助が結婚か?」という流れになりつつあります。これまでは、あさの背景になるような立ち位置を取ることで、うめの実直なキャラを表現していましたが、恋の結末を写すシーンでは画面の中央で存在感たっぷりの姿を見せてくれるでしょう。

【木村隆志】
コラムニスト、テレビ・ドラマ解説者。テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの聴き技84』(TAC出版)など。


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