体験を伝える―『ガジェット通信』の考え方

面白いものを探しにいこう 本物を体験し体感しよう 会いたい人に会いに行こう 見たことのないものを見に行こう そしてそれをやわらかくみんなに伝えよう [→ガジェ通についてもっと詳しく] [→ガジェット通信フロアについて]

JR西日本が「新駅」を積極的に開業する理由

JR西日本が「新駅」を積極的に開業する理由

2016年3月26日、京阪神(京都・大阪・神戸)を結ぶ鉄道の大動脈であるJR神戸線に新駅が2駅誕生する。周辺エリアの利便性にも大きな影響を与える、新駅の成り立ちとその影響について調べてみた。
JR神戸線に2つの新駅が誕生。この計画をつくったのは?

JR西日本が3月に開業させる新駅は、JR神戸線六甲道~灘間に設置する「摩耶(まや)駅」と、御着(ごちゃく)~姫路間の「東姫路駅」。京阪神を結ぶ幹線としては「桂川駅」以来の、8年ぶりとなる新駅だ。

新駅には地元住民や企業、自治体などが積極的に誘致し、建設費用の一部を負担する「請願駅」と呼ばれるものと、逆に鉄道会社が主導して自治体などに計画を持ちかけるものがあるそうだが、今回はどうなのだろうか? 西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)近畿統括本部総務課の西内花菜子氏にうかがってみた。

「今回の2駅に関してはいわゆる請願駅というものではなく、JR西日本が主体となって地元の自治体とも協議をしながら進めた新駅計画です。周辺道路の整備など地元自治体にもご負担いただいた費用もありますが、駅舎建設など基本的な整備は自治体協力のもと当社が行っています」とのこと。

地元にとっては、多額な費用をかけずに駅ができて利便性がアップするのだから、うれしい話である(例えば摩耶駅の建設費用は約40億円という報道もある)。何故、JR西日本は費用をかけて新たに駅をつくろうとしているのか?

【画像1】摩耶駅の完成予想図。鉄道施設があった隣接敷地にはマンションの開発もすすめられている(画像提供:JR西日本)

【画像1】摩耶駅の完成予想図。鉄道施設があった隣接敷地にはマンションの開発もすすめられている(画像提供:JR西日本)これまでの新駅は乗客数が増加し、新しい人の流れが誕生

人口減少が現実となった現代の日本は、手を打たなければ乗客数も自然減少していく可能性が高いという、鉄道会社にとっては厳しい市場でもある。各社は都市開発や商業施設の運営など多角化による収益確保も図るとともに、自社路線の利用客を増やすためのさまざまな戦略を進めているが、そのひとつが自社主導による積極的な新駅の設置だ。

実は、JR西日本ではJR神戸線・JR京都線において、この10年間でも4つの新駅を設置してきている。JR神戸線・JR京都線は京阪神を直通で結ぶ大動脈だが競合する私鉄路線も多く、速度や運賃面でも厳しい競争を続けている路線である。その中で積極果敢に新駅投資を続けてきたわけだが、その成果や影響はどうなっているのか?

西内氏によると「おかげさまで、いずれの駅も乗客数は順調に伸びています。開業翌年の年間乗客数と直近の年間乗客数を比べると約40%から約100%アップとなっています」とのこと。■JR西日本 JR神戸線&JR京都線での新駅開業と乗客数の変化
さくら夙川(2007年3月開業) 154%
須磨海浜公園(2008年3月開業) 140%
島本(2008年3月開業) 155% 
桂川(2008年10月開業) 202%
※いずれも、開業翌年の1年間と2014年の年間乗客数を比較した数値。

これらの4つの駅も請願駅ではなく、JR西日本が主体となり自治体などと協力して開業した新駅だ。鉄道会社の投資計画としては成功、と判断してもよさそうだ。逆にいうと、乗客数が確保できるというリサーチを綿密に行った新駅投資計画なのだろう。それだけのポテンシャルを秘めた場所でないと、新駅計画は成立しないはずだ。こうした投資の成果もあって、JR西日本の輸送人員は減少とはならずに横ばいを維持しているようだ。

【画像2】JR西日本の資料によると、私鉄合計の輸送人員が減少傾向にある一方、在来線の輸送人員は横ばいを保っている(出典:「データで見るJR西日本2015」よりデータ抜粋し、編集部にて作成)
1 2次のページ
SUUMOジャーナルの記事一覧をみる
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。