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自動運転 一般道は歩車分離前提で判断力はまだ3歳児程度

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 自動車の世界ではいま、自動運転技術をめぐって日々、技術が更新されている。これまでにクルマを40台買ってきたフリーライター・清水草一氏(53)が、現在の自動運転の実情について解説する。

 * * *
 ご同輩諸君。人間、歳を取ると欲望が枯れてくる。当然、クルマに対する欲望も枯れてくる。ただ、「自動運転」に対してだけは、皆さん欲望ギラギラではないだろうか? なにせ自動運転が実現すれば、美女とイチャイチャしている間に温泉に到着できる。死ぬまでクルマを楽しめるのである。

 で、その自動運転だが、実際のところ実現するのか? 日本はこの分野で先頭集団におり、昨年はトヨタと日産が、報道陣を同乗させて公道上での自動運転を公開した。

 トヨタが披露したのは首都高上での合流を伴う走行。概ねスムーズだったが、一度だけ、合流時に相手のドライバーが譲ろうと減速したことで、その後ろに入ろうとしていた自動運転車が混乱してさらに減速。結局合流できず、テストドライバーが自動運転を切って手動操作した。

 トヨタが現在目指しているのは、あくまで高速道路上での自動運転の実現だが、それでもこういったことが起きる。まだまだである。ましてや一般道に関しては、「最低限、歩車分離されていることが前提です」(トヨタの技術責任者)と言う。歩行者や自転車という、何をするかわからない存在に完全に対応するのは、現時点ではハードルが高すぎるとのことだった。

 対する日産は、いきなり一般道での自動運転を披露した。高速道路に比べてその難度は100倍レベルと言うから、日産が自動運転に関する我が国のリーダーということになる。CMで永ちゃんが「やっちゃえ日産!」と言っているのは伊達ではない。

 ただここでも、道路上の白線が消えかかっているところでは、クルマが困って身悶え(?)し、ハンドルを小刻みに揺らした。「自動運転車のセンサーは人間よりもはるかに高い潜在的能力があるが、曖昧な状況での判断力はまだ3歳児程度」(日産の技術責任者)とのことである。

 しかし、こういった技術的な課題はいずれ必ず解消されるので、我々が深く考える必要はない。日本政府が目指している2020年東京オリンピックでの「準自動走行システムの披露」は、間違いなく実現するはずだ。

「おいおい、“準”が付くのかよ! 完全自動運転じゃないのかい?」

 そう。あくまで“準”だ。準とはドライバーが常にスタンバっていて、自動運転車が困ったら即座にバトンタッチできるようにしておくこと。これを政府は「レベル3」と呼んでいる。

 完全自動運転は「レベル4」だが、それについてはまだ有人か無人かも定義していない。技術と議論の成熟を待って決めましょう、という状態だ。

 正直、レベル4の可能性はまだ考えても仕方ない。政府は2020年代後半の実用化を想定しているが、その前に国際的な基準作りと、法的な問題をクリアしなければならない。

 例えば現時点では、自動運転車はスピード違反ができない。大半のクルマがスピード違反で走っているのが現実だから、それとどう整合性を取るかだけでもかなりの難問だ。

 そして最大のハードルは、「この世に絶対はない」ということだろう。絶対に自動運転車が事故を起こさないと言い切ることはできない。その場合、誰が責任を取るのか? 「やっちゃえ日産!」のゴーン社長なのか?

 レベル4は、自動運転の安全性が限りなく100%に近づいた上で、それでももし何かあったら誰かが責任を取るという法整備が成されてからだ。私見だがゴーン社長のムショ入りは現実的ではないので、責任はやはり乗っている誰かが取ることになろう。そのあたりがキッチリ決まらないと、レベル4は見えない。

 ただしその頃には、動体視力の衰えた我々のヘッポコ運転より、自動運転の方が数百倍安全になっていて、我らオッサンは喜んで「万が一の場合は責任取りますボタン」を押し、自動運転をオンにするのだろう。助手席の美女もそれを望むはずだ。

「えっ、自分で運転するのォ? こわ~い。ここで降ろして!」

 そんな時代はそう遠くない。

※週刊ポスト2016年1月15・22日号


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