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中古住宅の売り手・買い手に朗報、不動産情報システムに新機能

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一般には馴染みがないが、「レインズ」といわれる不動産会社間の不動産情報に関するシステムに、2016年1月から新しい機能が追加される。実はこれによって、不動産を売却したり中古住宅を購入したりする場合に、大きな影響が生じる。どんな影響があるのか、詳しく説明しよう。
「新築」から「中古住宅」の流通活性化へと住宅政策は転換

2006年に「住生活基本法」が施行されて以降、日本の住宅政策は「量から質へ」、「新築から中古(既存ストック)へ」と大きく転換した。2010年に策定された「新成長戦略」では、中古流通市場・リフォーム市場の規模を倍増させる目標を立てた。

国土交通省では、有識者による「中古住宅の流通促進・活用に関する研究会」の報告書(2013年6月)などを受けて、不動産取引にかかわる事業者や金融機関などを交えた「中古住宅市場活性化ラウンドテーブル」を設置し、報告書(2015年3月)をとりまとめるなど、中古住宅市場の活性化により住み替えが円滑に進み、良質な住宅が引き継がれるための対策を検討してきた。

一方で、自由民主党の中古住宅市場活性化小委員会では、中古住宅市場の透明性を高めるために、物件の囲い込み防止や建物診断(インスペクション)の普及などの具体策を盛り込んだ「中古市場に流通革命を」と題した提言(2015年5月)をとりまとめた。

物件の囲い込みとは、売却依頼を受けた不動産会社が物件情報を公開しなかったり、他の不動産会社に紹介を拒否したりして、自社でのみ買主を探そうとする行為で、一部でこうした行為がなされているといった指摘がされていた。これに対して、自由民主党の提言では、売主が自ら物件の取引状況を確認できる仕組み(ステータス管理)を導入することを求めていた。不動産の売主が取引の状況を直接閲覧できるようになる

国土交通省では、住宅市場の活性化のためには物件に関する情報開示が不可欠と見て、レインズを運営する不動産流通機構と検討を重ね、2016年1月から「レインズ」に新たな機能を追加することを決めた。

そのひとつとして、レインズにステータス管理の機能が導入された。
レインズとは、Real Estate Information Network Systemの略称で、不動産会社間で物件情報を共有するシステムのこと。不動産の売却の仲介を1社のみに依頼する場合(専任媒介契約または専属専任媒介契約を締結した場合)、レインズに物件情報を登録することが義務付けられている。

ここに新たに、「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」の3種類の取引状況の登録をさせることで、他の不動産会社が取引状況を確認できるようにした。さらに、売主専用の確認画面を用意することで、物件の売主が自らレインズの登録状況がどうなっているかインターネットで閲覧できるようになった。

レインズは、国土交通大臣の指定を受けた4つの不動産流通機構(東日本不動産流通機構、中部圏不動産流通機構、近畿圏不動産流通機構、西日本不動産流通機構)がそれぞれ運営している。新たな機能の導入は、東日本、中部圏については1月4日から、西日本については 1月5日から、近畿圏については1月6日から開始される。

【画像1】レインズの売却依頼主専用確認画面の例(画像提供:国土交通省)買主に朗報、中古住宅の性能や品質が不動産ポータルサイトで表示開始に

買主にとって朗報となるのは、レインズのもうひとつの新機能として、「住宅性能・品質等に関する情報項目」が追加されたことだ。これは住宅の性能の良さや維持管理の良さといった情報を分かりやすくするためで、具体的には下記の17項目だ(画像2の9「瑕疵保証あり(不動産会社独自)」を除く17項目)。

レインズ自体は不動産会社しか閲覧できないし、任意項目なので必ずしも登録されるとは限らないが、これらの追加項目が民間の不動産ポータルサイトでも確認できるようになる。不動産会社向けのレインズとは、項目の文言や表示する項目に多少の違いはあるものの、ほぼ同様の項目が今後追加されることになる(検索方法や表示項目は各ポータルサイトによって多少異なる)。

レインズに応じて項目を拡充するポータルサイトは、「at home」(アットホーム)、「HOME’S」(ネクスト)、「SUUMO」(リクルート住まいカンパニー)の3つ。各社は2016年1月下旬以降に順次公開予定だ。

【画像2】中古住宅の住宅性能・品質等に関する追加項目(画像提供:国土交通省の資料を元にリクルート住まいカンパニーで作成)
※「9. 瑕疵保証あり(不動産会社独自)」はポータルサイトのみの項目。「7. 省エネラベル」は2016年4月以降省エネに関する基準が変わる予定売主も買主も、情報を有効に活用して賢い消費者に

売主にとっては、自分の不動産の取引状況が情報として得られるようになったわけだが、重要なのは仲介を依頼する不動産会社を選ぶ際に、どういった売却活動をするのか確認をしたうえで選ぶこと、媒介契約を交わした不動産会社から適宜状況の報告を受けることだ。

事前の話と異なる売却活動をしていたり、レインズの取引状況と異なる報告をしたりしていないかをチェックする際に活用するのが、適切な活用の仕方だろう。

また、買主にとっては、検討したい中古住宅の性能や品質の情報が入手しやすくなるわけだが、その中でどの項目を気にするべきかは人によって異なる。例えば、築年の古い住宅を買って大がかりなリフォームをしようと思っているなら、住宅の基本構造部分の性能が重要視される。逆に、リフォームを考えていない、あるいはリフォーム済み物件を購入したいなら、過去のリフォームや修繕の履歴、インスペクションや瑕疵保険(かしほけん)・瑕疵保証の有無なども確認をしたいところだ。

いずれにしても、建築基準法に則って建築されているか(画像2の項目4. 建築確認完了検査済証と5. 法適合状況調査報告書)、一定の耐震性があると言われている新耐震基準で建てられているか(1981年6月以降の建築確認または画像2の項目の1. 耐震基準適合証明書)、検査や修繕で必要となる新築時の設計図書があるか(画像2の項目12. 新築時・増改築時の設計図書)については基本構造部分に影響するので、見た目がどうであれ、不動産会社を通じてあるいはポータルサイトの情報で確実に確認したい点だ。

レインズの機能拡充に応じて、民間のポータルサイトが情報項目を追加するということは、過去に例のない画期的な取り組みだ。これも幅広い関係者が協議に参加した「中古住宅市場活性化ラウンドテーブル」の効果といえるだろう。

スタートしたからといっても、すべての中古住宅で住宅の性能や品質に関する情報が得られるわけではないが、仲介する不動産会社も売主も買主も、情報開示に関心を持って住宅市場の透明性に積極的に関与してほしいものだ。●参考
国土交通省:レインズにおける取引状況の登録制度の導入と売却依頼主専用確認画面の提供について
元記事URL http://suumo.jp/journal/2016/01/05/103731/

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