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スカッとする、生きる指針になる! 年末年始に観る映画7選

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 2015年の終わりまであとわずか。年末年始の休暇は出かけず家でひとり、ゆっくり過ごす人も多いのではないだろうか。そこで、年末年始にゆっくり観たいオススメ映画を映画解説者の中井圭さんに聞いた。

 一年を振り返り、来年をどう生きるか考える機会ともなる年末。さまざまな困難に立ち向かっていく元気をもらえる映画をテーマに、中井さんが選んでくれたのは7本。まずは“一年間にたまったモヤモヤをスッキリさせたいときに見るべき映画”の2作から。

■『ベテラン』(劇場公開中/韓国)
 韓国最大のタブーとされる財閥の横暴に切り込んだ作品。韓国で動員1300万人を超え、韓国で歴代3位の大ヒットを記録。金と権力で社会を支配する大財閥に立ち向かう、武闘派のベテラン刑事が率いる5人の個性派広域捜査隊の活躍を描く活劇アクション。

「韓国で問題となっている財閥の権力支配を批判した作品です。警察さえも権力で押さえつけられている中で、ある刑事が立ち向かっていく勧善懲悪エンターテインメント。観ていて非常にスカッとします。勇気を持って間違ったことを間違っていると言うこと、愚直に正しいことをする意味を改めて考えさせられます。僕たちは社会の中で長いものに巻かれることも多く、本当にそれでいいのかと常々悩みますよね。長いものに巻かれず、少しでも正しいことをやっていこうと勇気をもらえる一本です」(中井さん、以下「」内同)

■『アフタースクール』(2008年/日本)
 カンヌ国際映画祭4部門を受賞した『運命じゃない人』や『鍵泥棒のメソッド』で有名な内田けんじ監督による、新感覚のエンタメ作。学校教師(大泉洋)の元へやってきた同級生を名乗る探偵(佐々木蔵之介)、行方不明の友人(堺雅人)。大人になった同級生と過ごす“放課後”を予測不可能な展開で描く。

「内田監督の脚本はどんでん返しでおなじみですが、この作品も非常にトリッキーでものすごく面白い。物語の起伏を楽しみながらも、気持ちよく生きていく上で重要なテーマが盛り込まれていて、本当に大事なことは、地位や名誉やお金にはないのだと気づかされます。また、内田監督の映画はすごくいいセリフがたくさんあって心に響きます。人はうまくいかないことを環境や人のせいにしがちだけど、自分でつまらなくしているだけでしょ?と問いかける。人生をどうデザインするかは自分次第だと教えてくれる、後味爽快な娯楽作品です」

 続いて“新年をどう生きるかを考えるきっかけとなる作品”という3作。

■『風が強く吹いている』(2009年/日本)
原作は、直木賞作家・三浦しをんの大ヒット小説。小出恵介、林遣都らが演じる弱小陸上部のメンバーが、箱根駅伝に挑む姿を描く感動作。

「箱根駅伝に至るまでの水面下の部分をきちっと描いている上に、もちろん勝負ではあるけれど、勝ち負けよりも大切なものがあるという本質を見せてくれる。葛藤あり、家族との関わりがあり、駅伝に興味がない人をも引きこむ人間ドラマがある。映画を観てほとんど泣くことのない僕ですが、この映画では必ず泣いてしまいます。箱根駅伝の前に観ると俄然、面白く観られますし、新しい一年を前向きに生きる意欲がわいてきます」

■『エンド・オブ・ザ・ワールド』(2012年/アメリカ)
 小惑星の接近により滅亡が決定的となった地球。妻に逃げられた主人公の中年サラリーマン(スティーヴ・カレル)が、同じマンションに暮らす女性(キーラ・ナイトレイ)の母国イギリスへの帰郷を手助けし、一緒に旅をするロードムービー。

「地球滅亡までの残された数日をどう生きるかがテーマとなっています。主人公の男性は奥さんには逃げられ、父親との確執など問題を抱えていますが、その中で本当に大切にしなければならないことに気づいていく。人生の終わりが目前に迫ることで、本当に大切なものに気づくことが幸せなのだとわかる映画です。自分の身のまわりを見つめ直して、来年をどう生きるか、何を大切にすべきかを考えるこの時期にぴったりだと思います」

■『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』(2013年/イギリス)
 タイムトラベルの能力を持つ家系に生まれた青年(ドーナル・グリーソン)が、自分や家族の人生を幸せにするためにタイムトラベルを繰り返すうちに、本当の愛や幸せとは何かに気づくヒューマンドラマ。

「主人公の青年は、タイムトラベルを経験することで、いちばん大切なことは“今日をちゃんと生きること”であると気づく。僕たちは現実世界でタイムトラベルはできないけれども、毎日を丁寧に生きることで、同じように人生を変えることはできるということに気づかされます。生き方に迷っている時、指針となる映画だと思います」

続いては、世界規模で人の衝突の絶えない先行き不透明なこの時代、自分の身のまわりだけではなく、世界のことを考えていくきっかけとして観ておきたい1作をご紹介。

■『消えた声が、その名を呼ぶ』(劇場公開中/ドイツ・フランス・イタリア・ロシア・ポーランド・カナダ・トルコ・ヨルダン合作)
 舞台は1915年の第一次世界大戦中。オスマン帝国で起きたトルコ人による100万人のアルメニア人虐殺事件をテーマに、ひとりの男が生き別れた家族を探して地球半周の旅に出る壮大なロードムービー。

「トルコにおけるタブーをトルコ系ドイツ人の監督が、偏らずフェアに描いていることがこの映画の良さ。どの民族であるかではなく、個の“人”としての心境や立場に焦点を当てて、トルコ人もアルメニア人も、それぞれいい人もいれば悪い人もいるとフェアに描いている。偏見なく理解を示すことが重要なのだと示唆します。また、憎しみに勝るのは強い愛であることを学べる映画です」

 最後は、中井さんが「2015年を語る上で観ないという選択肢はない。年末年始関係なく、必ず観るべき1本」と豪語するこの作品。

■『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015年/オーストラリア)
 舞台は物資と資源を武力で奪い合う荒廃した近未来。独裁者に捕らえられた大勢の妻たちを元警官のマックス(トム・ハーディ)が手を貸し逃す。それを車で追う独裁者との壮絶なカーバトルを描く。

「話は“事情を抱えた人たちがトラックに乗って、移動する間に起きるドラマ”と、ものすごくシンプル。だけど実はさまざまな要素が盛り込まれています。動く人や物を撮る初期の映画スタイルに原点回帰し、意識的にCGもほぼ使わず、映画が映画たる原初的体験を描いている。それは、現在の映画作りに対してのアンチテーゼでもあります。

 それに加えて、今の世のヒーロー不在や、男性社会おける女性解放といった時流も反映しつつ、直球かつ破格のアクションで魅せ、娯楽映画的な興奮もきっちりつめこんでいるところが本当に傑作だと思います。何度も繰り返し観てしまう衝動があります。数十年前にマッドマックスシリーズを撮ったおじいちゃんが、圧倒的なクオリティで作品を更新しました。これを観ないことには2015年は語れないし、2016年も迎えられない。そういう1本です」


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