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再婚禁止最高裁判決

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 平成28年12月16日に夫婦同姓及び再婚禁止についての最高裁判決が出されたこと、さらにその内容については、マスコミで大きく報道されたから、皆さん御存じのとおりだと思う。

 夫婦同姓及び再婚禁止のそれぞれについて、合憲とされた高裁判決を前提として、最高裁が弁論を開いていた。
 弁論を開くということは、高裁判決を見直すことを意味しているから、いずれの件についても違憲、いずれか一方が違憲であるとの判決となることは、誰でもが予想したところであろう。
 そして、おそらくではあるが、現在の一般的な感覚に従えば、夫婦同姓について合憲、再婚禁止について違憲となるだろうと予想した人も多いのではないだろうか。かくいう私も、そうなるだろうと思っていた。

 さて、まだ詳細な判決文に接しておらず、新聞報道の判決要旨を読んだだけであるが、再婚禁止についての、私の感想を述べたい。

 まず大前提として、この問題は、出生した子供の父親は誰と推定されるべきかという問題に直結しているので、この点を明らかにしておく必要がある。
 民法772条2項は、離婚後300日以内に出生した子供は前夫の子と推定されるとしている。これは女性の懐胎期間が280日と考えられていたことから、離婚直前に懐胎することも当然にあるので(といえるかは疑問であるが)、前夫の子と推定し、280日より区切りよく300日とした規定である。

 他方、再婚後200日を経過した後に出生した子は、再婚相手である夫の子と推定される。
 つまり、待婚期間の180日を加算すると、離婚して待婚期間を明けてすぐに再婚した場合、離婚後380日を経過した後に出生した子が再婚相手の夫の子と推定されるということである。

 その結果、離婚後300日以内の出生の子は前夫の子、離婚後380日を経過した後の出生の子は再婚相手の夫の子となるが、離婚後300日を経過し、かつ380日未満に出生した子は、誰の子でもないという状態が発生してしまうとういう不都合があった。

 そこで、最高裁は、100日という数字を設定したのである。上記の計算例にあてはめてみると分かるが、これによって、誰の子でもないという状態が解消されるのである。

 さて、問題は、そもそも本質的には再婚禁止が女性にだけ適用されることから、これは法の下の平等に反するものであるとの裁判であるにもかかわらず、そこに誰の子でもないという状態を発生させる法の不備を解消させることによって、再婚禁止の立法目的は、「父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐことにあり、関係が早期に明確になることの重要性から合理性が認められる」として、その限りで(100日を越える範囲で)憲法14条に反するとしたことに妥当性があるかどうかである。

 原告や原告代理人としてみれば、何かはぐらかされた思いではないだろうかと思う。
 そもそも、再婚禁止によって、父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防止することができるのだろうか?あり得ないというべきではないか。
 というのも、この考えは基本的に、婚姻期間中は、妻は夫外の者と肉体関係を持たないということを前提としているように思えるからである。
 婚姻期間中に他の者と肉体関係を持たないと考えているからこそ、推定規定に意味がでてくるのである。

 しかし、現代でそのようなことが通じるのか疑問であるし、そもそも、自分の子と推定されているから、自分の子でないと疑いつつも、紛争にするのはやめようという図式は、まず成立しないと思う。
 父の推定はあくまでも推定にすぎないのであるから、推定によって紛争防止をできるはずもないと思う。
 つまり、最高裁のいうところの立法目的は、それが果たせない状況となっていると思うのである。
 とすると、原告が主張したように、科学的検査をもって容易に父子の判断ができる以上、再婚禁止規定は違憲であると思う。

元記事

再婚禁止最高裁判決

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