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ハリウッドは『スター・ウォーズ』を愛したが、ジョージ・ルーカス監督はハリウッドを愛さなかった

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12月14日(現地時間)にハリウッドで開催された映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のワールドプレミアにて、ジョージ・ルーカス監督は、観客からスタンディングオベーションを受けた。ルーカス監督なくして『スター・ウォーズ』は生まれなかったからだ。しかしながら、今作は、初めてルーカス監督が直接的に関与していない作品である。『スター・ウォーズ』がハリウッドのDNAに不可欠な存在である一方で、ルーカス監督自身は、未だハリウッド最大の内部関係者であり部外者でもある。

本紙ヴァラエティは、1968年に紙面にて初めてルーカス監督の名前を挙げた。南カリフォルニア大学の3年次に、全米学生映画祭で3作品がノミネートされたのだ。153のエントリー作品から46の最終候補作品が選ばれ、その中にはルーカス監督の『6-18-67(A Desert Poem)』、ドキュメンタリー作品『The Emperor』、ドラマ部門には短編SF作品『電子的迷宮/THX-1138 4EB』がノミネートを果たした。『電子的迷宮/THX-1138 4EB』は、ドラマ部門を受賞した。しかし、その後数年間は決して安泰とはいかなかった。

フランシス・コッポラ監督がルーカス監督を指導したおかげで、1971年公開版の『THX-1138』が、米ワーナー・ブラザース=セヴン・アーツとの契約を獲得した。興行成績は思わしくなく、コッポラ監督は主流の客層に向けた映画製作を促した。すると、ルーカス監督は、『アメリカン・グラフィティ』の製作をスタートした。米ユニバーサル・ピクチャーズの幹部たちは、(ルーカス、ウィラード・ハイク、グロリア・カッツが手掛けた)脚本に夢中になったのではなく、劇中の時代にヒットしたロックナンバーをサウンドトラックに使用するというアイデアを気に入った(映画は1962年の高校卒業生を中心に描かれた)。米ユニバーサルは、75万ドルの予算を投じることに同意した。

米ユニバーサルの幹部たちは、車内の薄暗い照明と低予算の映像を好まず、直接テレビ放送してしまおうと考えた。しかし、若い観客向けの2回の試写会を経て、彼らは考えを改めた。『アメリカン・グラフィティ』は、米国内で1億1500万ドルを稼ぎ、少ない予算に対して莫大な利益をもたらした。さらに、アカデミー賞の作品賞、監督賞、脚本賞、編集賞(ヴァーナ・フィールズ、マーシア・ルーカス)、助演女優賞(キャンディ・クラーク)にノミネートされた。

ルーカス監督は、『アメリカン・グラフィティ』で稼いだ資金をもとに、米20世紀フォックスと素晴らしい契約を結んだ。ルーカス監督は、『スター・ウォーズ』の利益の40%を得るとともに、続編の製作権、映画の商品化権を保持したのだ。今にして思えば、米20世紀フォックスの幹部が正気とは思えないかもしれないが、映画シリーズが長く続くのは当時まだ一般的ではなく、キャラクター商品が成功するのもアニメキャラクターに限定されると見られていた。『スター・ウォーズ』のキャラクター商品が成功したことで、スタジオ各社はこの方法が実写映画を含めた別の映画作品にも適用できる、とすぐに学んだ。

『スター・ウォーズ』やスティーヴン・スピルバーグ監督の『JAWS/ジョーズ』は、マーケティングに力を入れて大規模公開される超大作映画のようなメンタリティーで製作された、と思われがちである。しかし、ルーカス監督のハリウッドへの貢献はそれ以上に大きかった。第一に、ルーカス監督はエンタテインメント業界に対して、ビデオゲーム、テーマパークのアトラクション、テレビアニメ、そしてもちろんキャラクター商品が誕生する出発点としての映画の役割を示した。

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